春分の日の意味とは? 年に2回あるお彼岸と、日付が変わる理由

» 2020年03月19日 07時00分 公開
[日本気象協会 tenki.jp(http://www.tenki.jp/)]
Tenki.jp


 今年も花の便りが届きはじめました。どんな時でも季節が巡ると規則正しく開花する桜は、私たちの心を和ませてくれますね。

 3月20日は春分の日。春分の日とは、どんな意味があるのでしょうか。この時期をお彼岸というのはなぜなのでしょうか。今回は春分の日にまつわる風習と暦との関係についてご紹介します。

春分の日と秋分の日は、重要な国家の祭日だった

 春分の日とは1948年(昭和23年)に法律で定められた国民の祝日で、「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日とされています。このような趣旨の日だったと、はじめて知る人も多いのではないでしょうか。

 国民の祝日となる以前の春分の日は、「春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい)」という国家の祭日でした。宮中で歴代天皇、皇后、皇族の神霊を祀る儀式が行われていました。

 春分の日と対になるように、秋分の日も国民の祝日と定められています。秋分の日の趣旨は、「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」日。秋分の日も以前は「秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい)」という国家の祭日で、同様の儀式が宮中で行われていたのです。これらの儀式は、伊勢神宮をはじめ各地の神社で現在も執り行われています。

 遡ると、春分と秋分の日の頃に先祖を供養し故人をしのぶ「お彼岸」の仏事は、日本独自の風習として古来行われていました。このような仏事は「彼岸会(ひがんえ)」といわれ、最古の記録は平安時代の806年のこと。その後、庶民の間でも先祖供養の日として浸透していきました。

自然崇拝と先祖供養。日本古来の風習「お彼岸」

 春分、秋分の日をそれぞれ中日として、前後3日間を含めた計7日間が「彼岸」と呼ばれる時期です。彼岸とは「向こう岸、対岸」を意味し、仏教では悟りの境地、極楽浄土を指します。太陽が真東から昇って真西に沈むとされる春分の日と秋分の日は、彼岸に通じる最短の日。そのため、先祖を供養するための特別な日とされていたのです。

 また、春の彼岸は種蒔きの頃に、秋の彼岸は収穫の頃にあたることから、彼岸は自然の恩恵に感謝する日でもありました。自然崇拝と先祖供養を合わせた大切な時期として、彼岸の風習は現在まで受け継がれてきたのですね。

2020年の彼岸

【春彼岸】

彼岸の入り:3月17日(火)

中日(春分の日):3月20日(金・祝)

彼岸の明け:3月23日(月)

【秋彼岸】

彼岸の入り:9月19日(土)

中日(秋分の日):9月22日(火・祝)

彼岸の明け:9月25日(金)


日付が変動する!天体の運行に導かれる祝日

 天文学上の「春分」は、太陽が黄経0度の春分点を通過した時を意味します。太陽が真東から昇り真西に沈むとされ、昼と夜の長さがほぼ等しくなり、この日を境に太陽が出ている時間が長くなっていくため、本格的な春の到来を告げる日とされていました。一方、「秋分」は太陽が黄経180度の秋分点を通過した時。昼間がだんだん短くなり、冬に向かって寒さが増していく時期になります。春分と秋分はそれぞれ季節の変わり目にあたります。「暑さ寒さも彼岸まで」といわれますが、「季節の変わり目」が彼岸の時期にあたるからなのですね。

 春分の日、秋分の日は、年によって異なります。それは、地球の公転日数が365日ちょうどではなく、実際には365日5時間48分45.147秒と6時間弱のずれがあるため。閏年が入っても、春分の時刻は4年前と全く同じになることはあり得ないのです。そのため、長期的に見ると春分の時刻は少しずつ早まっているそうです。4年後の2024年からは、閏年を含む3年間は3月20日が春分の日で、残りの1年が3月21日という組み合わせになります。さらに、2056年からは毎年3月20日になると予想されています。秋分の日も同じ理由で変動しています。毎年9月23日となったのは1980年のことで、2012年からは4年に一度9月22日が秋分の日になっています。

 このように日付の変動が予想されるため、国民の祝日のなかでも春分の日と秋分の日は、「国民の祝日に関する法律」に具体的な日付が記載されていません。前年2月の最初の官報に暦要項を掲載して発表されているのです。春分の日と秋分の日は、天体の運行によって決められる祝日だったのですね。

 現在、日本をはじめ世界中の多くの国で使用されているグレゴリオ暦では、キリスト教の宗教行事のために春分の日は重要な日でした。日本でも古より春分の日の前後はお彼岸の時期として、自然をたたえ祖先を敬ってきたことに不思議な繋がりを感じますね。

参考文献

岡田芳朗・松井吉昭 『年中行事読本』 創元社

参考サイト

国立天文台


関連リンク

Copyright (C) 日本気象協会 All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/06/news012.jpg 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
  2. /nl/articles/2502/08/news008.jpg 「本当にこれでいいの?」 親子の“価値観の違い”で対立も…… 100万箱以上売れた「家庭科のドラゴン」、人気再燃の理由
  3. /nl/articles/2502/08/news087.jpg 木村拓哉がタイプロで「弁当」差し入れ→“衝撃の価格帯”に騒然 「ぶったまげた」「庶民には買えない」
  4. /nl/articles/2502/08/news038.jpg スーパーで買ったちりめんじゃこをよく見たら…… 紛れていた“まさかの生き物”が2000万表示「これは当たり!」
  5. /nl/articles/2502/07/news132.jpg 「いまこんななの?!」ディズニーリゾート内の商業施設、“ゴーストタウン化”に衝撃の声 改装前の閉店ラッシュに「寂しい」
  6. /nl/articles/2502/08/news091.jpg 北海道の“雪のヤバさ”が伝わる写真に460万表示の反響 衝撃的な光景に「何かの冗談でしょ?」「見たことない景色」
  7. /nl/articles/2502/07/news135.jpg 「なんだこの暗号は……」 マクドナルドの“大人だけが読めるメッセージ”が410万表示「懐かしい〜」「読める人同世代w」
  8. /nl/articles/2502/08/news016.jpg 「味見したら止まらなくて危険」 “何度も作ってしまう”簡単サラダが間違いない! 「思う存分作って食べます」と95万再生
  9. /nl/articles/2502/08/news015.jpg パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  10. /nl/articles/2502/06/news004.jpg 14歳のとき、親友の兄と付き合うことになった女性→13年後…… “まさかの結末”に「韓国ドラマみたい」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議