男を落とす女子高生のテクニックいろいろ「かぐや様は告らせたい?」4話 純粋な男子を1日で攻略できるか?(1/2 ページ)
御行の誠意が問われる。
恋愛は告白した方が負け! 「かぐや様は告らせたい?〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」(原作/アニメ)は、相手から自分に告白させるためにあらゆる知力体力を用いて戦うエリートたちを描いたラブコメディーの第二シーズン。とってもいとしくてとっても面倒くさい少年少女の、青春の無駄遣い物語。距離はどんどん近づきます。
御行が会長を務める第67期生徒会が終了し、次期生徒会の選挙がスタート。まあ当選するだろう、と思っていたところにライバル出現。新たな天才の登場です。
早坂、恋の籠絡大作戦
財閥の令嬢にして生徒会副会長、四宮(しのみや)かぐや。努力家の生徒会会長、白銀御行(しろがね・みゆき)。2人は自らの意地とプライドにかけて、自分からは告白しない、相手に告白させる、と心に決めて戦い続けている間柄。
生徒会が解散してしまうことで御行とのつながりが減ってしまったかぐやは、ただ悶々とするのみ。連絡しなさいよ。「まるで私が会長に会えず寂しいみたいじゃないの!!」そうじゃん。かぐやはやけくそになって、近侍の早坂愛に言います。「私にかかればどんな男もイチコロって言うなら、会長を1日で落としてみなさいよ!!」「他人事だと思って簡単に言ってくれますけどね! 実際やってみれば私の苦労もわかるってものですよ!」
かくして、早坂による御行誘惑作戦が行われます。彼女の戦法をいくつか見てみましょう。
1:レジの列で話しかける
本を買いに来た御行に接触する早坂。まずは「名前を覚えている」アピールから入り、自分のことを覚えていてくれたら喜ぶ、という好感度上げからスタート。御行はレジの列に並んでいたため、そこで話しかけられたら回避できない、というテクニックを早坂は駆使しました。まあ御行はそんなんじゃ逃げないと思いますが、トーク時間稼ぎにこれは有効。
2:教えて作戦
早坂が買ったのはPCの本。御行が参考書を買っていることを褒めてまず持ち上げ、自分がPCに詳しくないことをアピール。「どれがいいか教えてよー」とカフェに誘います。人に教えることで自発的に動いてしまう人間の心理をついた巧みな作戦です。
3:けなげアピール
今まで親のPCを借りていたけど、バイトのお金で自分のPCを買いたい、と説明。自分が頑張っていることをさりげなく話に混ぜ込みます。ウソだけど。PCで見るのは動物の動画と年頃女子っぽさをもさりげなくプッシュ。本当は自作PCを組むくらい詳しいです。加えて毎日10時間勉強していることを会話に混ぜ、勉強を教えてもらう流れに。「白銀くん教えるの上手いんだね―」というキラーワードも連発。
4:寝顔と恋に落ちた瞬間顔
寝落ちした姿を見せつつ、御行の動向をチラ見。起きた後、待っていてくれた御行に「恋に落ちた瞬間っぽい顔」を演出。普段から磨いていた早坂の演技力がここでさく裂。赤面し、告白へとスムーズに運びます。男子は赤面にシンプルに弱い。
5:最終手段、キープ女子化
最後に「試しに私と付き合ってみない?」「キープ的な彼女でいいし」と自ら都合の良い女になりにいく告白をします。このなりふり構わず感、恋愛初心者の心を乱すに十分。ただこの発言は御行のような、愛に真っすぐな青年には逆効果なのでは?という気がします。「キープ」なんてできるタイプじゃありません。一人の女性に自らの全てをささげるタイプの御行にこの作戦は全く効きませんでした。
結果、かぐやへの純愛を貫いた御行に早坂完敗。ただ彼女のこの流れるようなテクニック、1週間、1カ月あったら結果が大きく変わっていた気もします。今回は短期決戦のためにウソで固めていきましたが、長期戦であれば作戦は組み替えられます。見事な戦略の持ち主の早坂、彼女が何者なのかは、本誌掲載分を追っていくと分かります。
今回一番の勝者はかぐや。自分の口から出てしまった発言でこんな悲しみを産んでしまったとはいえ、御行のおとこ気を見ることができました。よかったですね、好きでもないのにふられたかわいそうな早坂には謝りましょうね。
愛の告白と同じくらい大切なこと
生徒会選挙に出ることになった御行。選挙演説の際大事なのは応援演説。必然的にかぐやにそれを頼もうとすることになるのですが、元会長と副会長は全生徒の憧れの男女。その2人のナイショのやりとりとなれば、生徒たちもテンション爆上がりです。
今まで生徒会室の中でのバトルしかなかったので、校舎内でのオープンな場でのやりとりはかなりレア。「俺たちのこれからに附いて話がしたい」なんて発言が御行からあがれば、呼び出しからの告白じゃないかとみんなが色めき立つのも無理はなし。この学校真面目で勉強三昧だから、恋バナには飢えています。そこでのビッグカップル、これは大スクープ。
御行は真面目だったので気づいていませんでしたが、ギャラリーの生徒たちは「告白しろ」というオーラ全開。応援演説の依頼なんてしようものなら、女の敵のレッテル貼られる事間違いなし。あまりにもやじ馬が集えるような場所にしてしまったのが悪い。
実は御行がかぐやのことを好きなのは間違っていない、告白には最高の据え膳状態。かぐやの方も見るからにまんざらではなさそう。チャンスだ。
まあ、できないんですが。これは普段のプライドの問題じゃなく、彼がチキンだったから。結局予定通り応援演説の依頼をします。
告白という形での進展はありませんが、ここでのかぐやの返しが、今後の2人の大きな転機になります。
かぐや「いいですか会長 私は会長の願いにはちゃんとこう答えるんですから 演説のお願いだろうと なんだろうと」「はい 喜んで」
この「なんだろうと」が告白への下地になっています。「告白してくれた場合「はい 喜んで」と返します」「待ってますよ」というにおわせ。これ自体が愛の告白のようなものですし、御行もさすがに分かっている様子。
「なんだろうと」は、恋愛問題のみならず後に2人が直面するさまざまな問題に際して、強固な信頼関係においての効力を発揮することになります。
対抗馬、伊井野ミコ登場
選挙の対抗馬の一人が、1年生の伊井野ミコ。入学以来成績は常に一位。風紀委員で精励恪勤、品行方正の才女。「天才たちの恋愛頭脳戦」に新たな天才が加わりました。
「私たちは この秀知院がより健全で尊いものになるよう努力を重ねているだけです」「その想いを 選挙活動を通して生徒たちに伝えたい。単なる票集めのつもりはありません」伊井野は非常に弁が立つ子です。
彼女の論説にすっかり狂わされる御行と石上。特に御行は普段そうそう(かぐやのこと以外では)焦らないタイプ。こんなに落ち着かなさそうなのは珍しい。理由の一つは、完全に気を抜いていたからでしょう。絶対受かるだろう、という自信があったゆえに、聡明な相手を目の前にし、ぐらついています。
もっとも伊井野の公約が「男子は坊主頭 女子はおさげか三つ編み」「男女は50cm以上の接近を禁止します」など時代錯誤なものだったため、負け確定にしか見えません。今の高校生に、坊主頭強制は地獄の所業すぎるよ。
明らかに負けそうな伊井野ミコ。でも当て馬キャラではありません。今回のやりとりだけでも、御行の自信をあっさり崩しました。今までまったりした生徒会室内部が中心に描かれていたため、御行は完全無欠キャラみたいに見えましたが、そんなことはない、一人の少年。御行もかぐやも中身は成長途中の高校生。伊井野ミコの登場で2人の脆いところがポロッと見えるようになります。
その一方で、この後伊井野の在り方を巡って元生徒会役員は大きな変化を遂げていきます。気が強くて生真面目で、頭がよくてかつ固すぎる彼女。御行、かぐや、石上、藤原書記の関係性がモラトリアム化しない、大きな要因へと変化していってくれるはずです。加えて、なぜこの面々が生徒会として信頼されていたのかも、彼女の登場で浮き彫りになります。
今週の幸せそうな藤原書記
今週は藤原書記的にはウマウマな回。今までで一番持ち上げられていたんじゃないか。今までは中身空っぽのアホの子みたいに見えていた藤原書記ですが、実は伊井野ミコの証言で、ピアノコンペ全国大会金賞を取ったことのある天才だったことが発覚。しかも5カ国語を操るマルチリンガル。今までそんな要素1ミリも出てこなかったもんだからびっくり。
こんなに褒められたのは初めてなので、藤原書記あっさり伊井野ミコに寝返る。にしてもこの才能、冗談抜きですごい。いったんこれを知ってしまうと、この先の藤原書記の迷走も裏になにかあるのではないかと深読みを……。
……しなくてもよさそうです。そのままの君が好き。
伊井野の出現で御行の弱さが出たのと反対に、藤原書記の長所が見えた、というのは興味深い部分。新しいキャラによる作品の変化は、他のキャラのプラス・マイナス両方に作用します。
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