【M愛3話】すごいぞ田中みな実の肺活量! 「M 愛すべき人がいて」を漫画でレビュー
みんな身体能力高え〜。
一部で話題沸騰の土曜ナイトドラマ「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日×ABEMA共同制作/土曜23時15分〜)。歌姫・浜崎あゆみの誕生秘話本『M 愛すべき人がいて』にドラマオリジナル要素を盛り込んでドラマ化されたものです。5月2日放送の3話は狂人たちの驚異的身体能力が披露された回でした。
2話でのマラソンごぼう抜きを経て、デビューが決まった未来の歌姫アユ(安斉かれん)。しかしa victoryの専務マサ(三浦翔平)は大浜社長(高嶋政伸)から、「アユはソロではなくグループでデビューさせる」と宣告されます。マサの後輩・流川(白濱亜嵐)がプロデュースするグループのパンチが弱いため、アユをセンターとして混ぜよとのお達し。
マサにそれを報告され、アユは一度は受け入れますが、踵を返して「アユはマサさんにウソついちゃダメです! アユ、ソロじゃないなら辞めます!」。それを聞いて大喜びのマサ、ベルファインの階段でアユをお姫様抱っこし大回転! 驚異の身体能力を見せつけます。
マサは上層部と役員に、「アユが売れなかった場合、己のクビを切り、さらにプロモーション経費を自己負担する」と切り出してアユのソロデビューを強行突破します。前々から思っていたけど、社長はクセは強いけど、何だかんだマサの希望を通してくれるいい人なのでは……?
礼香劇場、開幕!
1話では巨峰攻撃、2話ではシャインマスカット攻撃と、「3話はどんなブドウなんだ……」と視聴者の期待をあおっていたマサの眼帯秘書・礼香(田中みな実)。3話もひとり昼ドラをしてくれていました。
上層部説得のためにa victoryを訪れたアユを迎え入れる最中、段差にハイヒールを引っかけて転倒するアクシデントが発生。「私眼帯をした方の片目が見えないの」「そうだったんですね!? すみません!!(?)」というドロドロあたりまえ体操を繰り広げます。
マサがアユに入れ込みまくるさまを見て、礼香の嫉妬はどんどん募っていきます。帰ろうとするアユに、マサの離婚ネタや、「あなたの手は人を不幸にする! どろぼうの手をしている!」などの昼ドラワードを浴びせ、片目を失った原因がマサにあるというネタバレも投下。最後に目をかっぴらいて「ゆるさな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い」で素人とは思えない肺活量を見せます(礼香さんの歌も聞いてみたいです)。あまりのロングトーンに尺が足りなかったのか提供テロップもドンかぶり。クレハとP&Gは大喜びに違いありません。
具体的描写は無いものの、どうやらこの時期に正妻との離婚が成立したらしいマサ。これまで気を使っていたとは思えないものの「もう奥さんに気を使わなくてよくなった」と言う礼香はこれまでしたためてきた「メモリーオブ・マサ」のアルバムを二人羽織態勢でマサに披露し、記入済みの婚姻届けもご開帳。マサは“無”の顔でそれを受け止めます。
ふんだりけったりのアユ、名曲を生む
ちゃんと“歌姫誕生”のストーリーも進みます。マサはアユに詩の才能があることに気づき、「A Song for XX」の作詞を任せます。
しかしいざやろうとすると悪戦苦闘。喫茶店(フードコート?)でノートを前に悩むアユのもとに、いまやライバルとなってしまった真理(傳彩夏)と理沙(久保田紗友)が乱入し、歌詞作成を妨害してきます。制作中の歌詞を音読されるという辱めを受けるアユ……これはつらい! 店員が止めに来るなどのわかりやすい演出は無いですが、実は後ろにドン引きしているガングロコギャル2人がうすら映っている芸コマポイントに目を引かれます。
ちなみに理沙は流川プロデュースでグループデビューが決まっており、「アユに負けたくない!」とバチバチ。「プロデュースするなら全力で愛す!」というマサイズムを継承した流川に酒を飲ませ、体の関係に持ち込みます。こんなエピソードのために白濱亜嵐にベッドシーン(事後)をさせてしまっていいんでしょうか!?
アユは嫌がらせのストレスと歌詞がうまく書けないプレッシャーで爆発。電車に負けない速さで線路脇をピンヒールで爆走します。マサの回転、礼香の肺活量に続き、今回は登場人物の身体能力の高さが目立ちますね。
ふんだりけったりのアユ、帰宅すると祖母が倒れており(喀血?)、福岡に帰って入院することに……さすがにかわいそう。そんな極限状態の中、超名曲「A Song for XX」の歌詞が爆誕。パチンコのリーチアクションのようなCG効果で歌詞が紡がれていきます。思春期の頃自分の気持ちを代弁してくれていると涙して聞いた「A Song for XX」の「どこから走ってきて ねぇどこまで走るの」が最終選考のマラソンのこととしか思えなくなりました。どうしてくれるんだ!
しかし完成した「A Song for XX」はさすがの名曲、マサも出来栄えに大喜びします(ここの大喜び演出で虹が写り込んでいるのもポイント)。さらにデビュー曲となる「ポーカーフェイス」の作詞を提出期限前日にアユに丸投げします。しかしここでアユにまたしても試練が。福岡で入院中のおばあちゃんの病状が急変し、危篤状態になってしまったのです。
アユは福岡に帰ろうとするも、自分をスターにすることに命を懸けると言ったマサや、スケジュールに鑑みて東京に残って歌詞を描くことを決意。最期に立ちあえないことは覚悟のうえで、おばあちゃんへの想いを詩に込めます。
翌日歌詞を書き上げ、アユは福岡へ。会うことができたおばあちゃんは、既に亡きあとでした。霊安室で眠るおばあちゃんに歌詞ができあがったことを報告する安斉かれんちゃんの演技はすばらしく、やいのやいの見ている筆者も思わず涙してしまいました。
お線香をあげ、アユをスターにすることをおばあちゃんに誓ってきたというマサ。アユは感極まってマサに抱き着き、自分の恋心に気づくのでした……。
――と、ここまで散々登場人物の奇行をいじってきましたが、今回の狂人MVPはバーテン尚樹(水江建太)です。これまで忠実にa victoryヒットメドレーを口ずさんできたはずだったのに、しれっと他社アーティストKiroroの「長い間」をブチこんできました。アユとマサの恋愛にかこつけたA社プロモーションドラマと言っても過言ではないこの物語の根底を脅かす謀反ではありませんか。尚樹恐ろしい子!
そして恐ろしいことはもうひとつ。新型コロナの影響がついにこのドラマにも襲い掛かってしまいました。今後濃厚接触しかなさそうな展開なので覚悟はしていましたが、4話からは放送予定未定の憂き目に……。9日23時15分からは、「話題沸騰!M 愛すべき人がいて 一話リミックスバージョン」として、1話+伊集院光&古市憲寿によるオーディオコメンタリーが放送されます。一気にラジオ感が出てきたよ! ねとらぼの1話記事もよければあわせて読んでくださいね。
蟹めんま
奈良県出身の漫画家・イラストレーター。自身の約20年間のバンギャル生活を描いたコミックエッセイ『バンギャルちゃんの日常1〜4』(KADOKAWA)が発売中。30代に差し掛かったあたりから他人の恋バナをつまみながらの飲酒が日常化。Twitter:@kanimen
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