2次補正予算案〜未だ「補填するお金」にしかならない実態
1カ月遅い。
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月28日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。第2次補正予算について解説した。
新型コロナ対策を含む第2次補正予算案が決定
政府は27日、歳出総額31兆9114億円となる2020年度第2次補正予算案を閣議決定した。およそ26兆円となった第1次補正予算を抜いて補正予算としては過去最大、民間投資を含めた事業規模は117兆1000億円程度となる。
飯田)6月8日に国会提出、17日までの今国会で成立を目指すということです。
鈴木)当然、2次補正はやらなければならない。25日までに緊急事態宣言が全面解除されました。政権幹部に話をしたら、「もう持たない」という言葉が出て来ました。何が持たないのかというと、1つはやはり経済活動。このまま緊急事態宣言が続けば経済が持たなくなるのが1つ。もう1つは財政的に持たないと言うのです。緊急事態宣言が続けば続くほど、国がいろいろな財政出動をして行かなければいけない。それがもう持たなくなるという本音を漏らしたのです。そういうなかで、今回の2次補正がどれくらい出るのかと思っていたら、事前の取材では俗に言う「真水」ですよね。予算規模は117兆とか、「空前絶後」という、言葉が躍っている感じはしましたけれど、大きいわけです。1次、2次を合わせるとかなり大きくなる、歴史に残るような補正ですが、これは事業規模だからいろいろなものが含まれています。
飯田)民間の投資なども含まれていますね。
財務省の描く補正予算は2次補正ですべて吐き出す〜第3次補正は考えていない
鈴木)税金や「支払いを免除します」というものが含まれていたり、それまでに使い残しているようなものが入っていたり。数字としては大きいけれど、実際に「真水」ということで、本当にどれくらい出しているのかがポイントです。これはもう少し、少ないと見られていたのですが、31兆というのは、かなり出したと思います。財務省の幹部を取材したときに、「コロナ対策の全体のイメージは50兆くらいだ」と言ったのです。年間予算の半分です。そういう意味では、2次で一気に使って来たのかなと思います。更に、31兆のなかの約10兆円は予備費なのです。予備費ということは、いまは使い道が決まっていないけれど、この後何かがあったとき、例えば第2波が来たときにサッと使えるようなお金として備えて取っておくお金ですから、実際に今回使うのは、31兆円からその10兆円を引けば21兆円。前回と合わせてだいたい46兆、第2波のときに10兆ということで、全体を収めるのかなという規模感が出て来ます。
飯田)財務省側からすると第3次補正というのはあまり考えていない、考えたくないところがあるのですね。
1ヵ月遅い〜2次補正も「補填するお金」になってしまう実態
鈴木)そうですね。第3次補正をせずに、この10兆円の予備を使う。そして当然、年度予算も最初に組んでいるものがありますから、こういうものと組み合わせる。だからいっぱいいっぱいで出して来たのかなという想像ができます。だけど1次、2次補正が遅かっただけに、緊急事態宣言を解除して前へ進もうという段階なのだけれど、今回組まれている予算の中身はやはりまだ輸血と言っていいのか、「コロナの損失を補填する質のお金」になっているのですよね。本当なら緊急事態宣言を解除するときには、いままでの損失を埋めてあげていなければいけませんでした。そして解除と同時に、今度はその次の、前向きの予算に行けばいいのだけれど、未だに、いまの予算は損失補償に使われています。やはり遅いですよね。とにかく、損失補償の分がみんなのところへ速やかに届いていなかったということは、非常に問題だし、大きいと思うのです。
飯田)今回も雇用調整助成金の積み増しであったり、あるいは家賃補助であったり、財務基盤の強化というところで官民ファンドを資金注入したり、劣後ローンを組んだり。前々から言われていたことですが、「1ヵ月早かったらな」というところがあります。
鈴木)1周遅れなのですよね。これが1次に入っていればよかったのですが、特に家賃などは緊急事態宣言を出す4月7日辺りから想像できることです。しかも家賃というのは前払いでしょう。1ヵ月くらいは何とかどこかから借りてしのいでも、次の月からは難しくなる。翌月の支払いは1ヵ月前に来るわけだから、家賃補助も1ヵ月早く手元へ来るようにしてあげなければいけませんでした。それがいまからということになると、手元に入るのは7月か8月ということになり、この間にも潰れてしまうのが実態です。そういうものをどういう形でつなげることができるのか、融資ができるのか。ある人が言っていたけれど、金融機関に借りようと行っても、金融機関の窓口はものすごい人が並んで、いつ出るのかと聞くと「1ヵ月かかります」と言われる。解除されたのは前向きな一歩なのだけれど、実態はずっと遅れているので、これをどうするのか考えなければいけません。
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