「入院生活で出会った欅坂46に救われた」 楽曲やメンバーモチーフの和菓子を創作し続ける和菓子職人を取材(1/2 ページ)
あきらめようと考えた職人の道、偶然出会ったMVが1人の和菓子職人を救った。
欅坂46の楽曲やメンバーをモチーフに、お菓子を創作し続ける和菓子職人がいます。なぜ職人は繊細かつ独創的な“欅菓子”を作り始めたのか、ご本人を取材しました。
あきらめようと考えた職人の道、偶然出会ったMVが和菓子職人を救った
欅坂46をモチーフにした和菓子をTwitterで投稿しているのは、欅菓子職人のVL(ベル/@kyzwgs)さん。2019年9月に欅坂46の「黒い羊」をテーマにした「菓銘『曼珠沙華』」を発表して以降、40種もの和菓子を創作してきました。
そんなVLさんですが、意外にも「2018年までは欅(けやき)って書けない、どころか漢字が読めなかった」と振り返ります。当時、立ち仕事で発症したヘルニアが悪化。主治医から「手術をしても再発の可能性がある」と聞かされたことから、和菓子職人としての道をあきらめようと考えていたといいます。
そんなとき出会ったのが欅坂46の「エキセントリック」でした。入院中、YouTubeのおすすめ動画として偶然出てきたその作品を見た瞬間、「MVの世界観、笑わないアイドルという概念を超えたパフォーマンスに衝撃を受けました」とVLさん。
欅坂46の過去のMVやバラエティー番組をのめりこむように視聴し、「職人としての人生はあきらめようと思っていたのに、欅坂46のパフォーマンスに触発されて、気づけば『欅坂46のダンス、楽曲、作品からもらったエネルギーを芸術として昇華したい』と考え直していました」と明かしました。
欅坂46への恩返しの気持ちで始めた和菓子の投稿
手術が成功した後、武道館で初めて生のパフォーマンスを見たVLさんは、欅坂46に関しての投稿に特化したTwitterアカウント「VL 欅菓子職人」の開設を決意。当時はお菓子で欅坂46の世界を表現する人が珍しかったこともあり、「和菓子職人として欅坂46への恩返しの気持ちを込めた“欅菓子”」を作り始めました。
初めて作ったのは、欅坂46のファンになって初めてリリースされたシングル「黒い羊」をモチーフにしたお菓子で、いくつものデザインの中から最終的に、白餡に竹炭を使った練り切りをコーティングし、彼岸花をあしらったものを見事に仕上げました。
「着色料はなるべく天然のものを選び、作った作品は食べる」のがこだわり。楽曲モチーフ以外にもメンバーやOBの誕生日などに合わせて、メンバーの好きな色やフルーツを練りこんだ和菓子も創作してきました。
――どのお菓子も細部まで美しくておいしそうですが、特に思い入れの深い作品があれば教えて下さい。
VL:「金木犀」と名付けたお菓子です。ユニット「五人囃子」が歌う「結局じゃあねしか言えない」をモチーフにした作品なのですが、2019年の東京ドーム公演で客席が一面黄色のサイリウムに染まった光景に本当に感動して。ちょうど金木犀の時期でもあったので、ドライフラワーを使用して仕上げました。
――Twitterでもっとも反響があったのはどの作品ですか。
VL:副キャプテン・守屋茜さんの誕生日をお祝いして制作した「柘榴」です。クローブ、レモンピールを混ぜ込んだ特製餡に、針細工で仕上げた赤い練り切りをかぶせました。針細工は和菓子の中でも特に難易度の高い技術なのですが、情熱的に艶やかに咲き誇る花々をイメージして細部までこだわりぬきました。
―欅菓子作りの工程はどのように展開していくのでしょうか。また製作時間はどのぐらいかかりますか。
VL:作品によってバラバラですが、頭の中で30分ぐらいで構築して、作ってみたらたまたまうまくいったという場合もありますし、ラフ画を起こしてみても、作ってみたらうまくいかないというときもあります。
基本的には材料作りから始めるのですが、餡子を使うものの場合は、下ごしらえにすごく時間が掛かります。また中には完成までに1週間を要した作品もあります。
――投稿を見た人から「食べたい」と言われることもあるのではないですか。
VL:ありがたいことにそういうお声をいただくこともありますが、基本的には自分で食べることがほとんどです(笑)。SNSで仲良くなった方とお会いする際には、お菓子を持っていくこともあるのですが、仕事ではなく個人的に人にお菓子をプレゼントするという機会がこれまであまりなかったので、「人にお菓子をあげると喜ばれるんだ」とすごく驚いています。喜んでいただけると、自分までうれしくなりますね。
――改めてお伺いしたいのですが、欅坂46のどんなところに惹かれると思いますか。また気に入っている楽曲はどの曲ですか。
VL:ジャンルレスだけど、かゆいところにも手が届くというところでしょうか。私も長くバンドをやってきたのですが、音楽好きも思わずうなるようなジャンルの曲が多く、またそれを彼女たちならではの言葉やダンスで表現しているところに本当に驚かされます。
一番思い入れが深いのは、前述した通り「エキセントリック」なのですが、楽曲として驚かされたのは「Student Dance」です。
アイドルなのに、ここまでディープな路線を攻めるのかと思いましたし、アーティストとしての幅の広さに感銘を受けました。あとは五人囃子の「少女には戻れない」もアシッドジャズっぽい雰囲気が好きです。
――欅菓子を作る上で大切にしていることがあれば教えてください。
VL:まず私はアーティストや芸術家ではありませんし、お菓子は人に食べていただいてはじめて成立します。ですから、作品を作るときには自分の色を出しすぎないように気を付けています。
また派手なものを作るというよりは、相手の好きな食材、好みの甘さをリサーチして、作品を食べてくださる方が、ホッとしてもらえたらそれで十分だと思って作っています。人の体に入るものだからこそ、相手のことを思って、いろいろと探究することが最も大切なのではないかと思います。
――今後作ってみたい作品があれば教えて下さい。
VL:最近はメンバーをモチーフにしたお菓子がメインになっていましたが、そろそろまた楽曲をテーマにしたお菓子を作りたいと思っています。ずっと作りたくて案をたくさん出しているのに、一歩踏み出せずにいるのは「エキセントリック」ですね。フラットな目で見られないというか、どうしても自分の想いを強く出しすぎてしまうんでしょうね。でもいつか世に出せたらなと思っています。
欅菓子は、欅坂46への恩返しとともに、職人としての技量を試すために作り始めましたが、私の作品をきっかけに「和菓子」に興味を持ってくださる方が少しでも増えたらうれしいなと思っています。Twitterへの投稿を通して私の作品を全て受け取るということではなく、「こういう和菓子もあるんだ」と和菓子への興味を持つ入口になれたら、こんなにうれしいことはありません。
取材後記
欅坂46への想いを和菓子という形で発信し続けるVLさん。色鮮やかな練り切りをはじめ、透き通るような錦玉羹、蒸して裏ごしした山芋などに餡子を加えて練り上げた薯蕷(じょうよ)練切など、和菓子がもつさまざまな魅力を伝え続けています。
オンライン取材中は、質問に対して誠実にていねいに回答する姿が非常に印象的で「いつかメンバーの方の目に自分の作品が写ったらな、と思うこともあります」とはにかむ場面も。次回はどんな作品が発表されるのか、楽しみですね。
画像提供:欅菓子職人 VL(@kyzwgs)さん
(Kikka)
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