小淵沢駅「そば屋の天むす(駅弁135周年記念バージョン)」(750円)〜駅弁135年! 駅弁とは何か(3)

米、水、海苔の大きさをはじめ、さまざまなこだわりが詰まった「そば屋の天むす」! ふたを開けたときに「うわ〜っ!」と感動してしまう駅弁の1つです。

» 2020年08月02日 09時00分 公開
[ニッポン放送(1242.com)]
ニッポン放送

【ライター望月の駅弁膝栗毛】

駅弁 E261系電車・特急「サフィール踊り子」、東海道本線・大森〜蒲田間

135年前の明治18(1885)年、日本鉄道の大宮〜宇都宮間(現・東北本線)開業と共に誕生したとされる「駅弁」。

「駅弁膝栗毛」では、この駅弁135年に合わせ、日本鉄道構内営業中央会の沼本忠次(ぬまもと・ただつぐ)事務局長にお話を伺いながら、これまでの足跡を振り返っています。

今回は、現在のコロナ禍、そして、これからの展望についても伺いました。

駅弁 東京駅に6月オープンした、JR東日本フーズの新しい駅弁売店「駅弁屋 踊」

―駅弁135年、駅弁屋さんの形も大きく変わりましたね?

沼本:昭和40年代(1960〜70年代)までの駅弁は、駅ホームでの立ち売りが中心でした。

しかし、新幹線の開業や特急列車のスピードアップによって、これまでの形態では、商売が立ち行かなくなり、「車内販売」へと活路を見出していきました。

沿線の駅弁業者が国鉄の認可を受けて、車内販売の会社を設立し、全盛期には、全国で20社以上の「車内販売」の会社がありました。

―しかし、その車内販売も、いまではかなり少なくなりつつあります。

沼本:人件費などの問題で車内販売員の確保が難しくなりましたし、設備面では、車販基地の問題も生まれてきました。

加えて、駅構内の売店やコンビニエンスストアが充実したことで、手軽に軽食や土産を買い求めることができるようになりました。

このため現在は、中央会に加盟している業者は、100社を割り込んでいます。

駅弁 E257系電車・特急「踊り子」、東海道本線・根府川〜早川間(車販は行われていない)

―そのなかでの「コロナ禍」……「いまがいちばん厳しい」と話す駅弁業者も多いですね?

沼本:(以前から云われてきたことですが)「駅だけではダメ」ということですね。

特に東京駅への輸送駅弁を頑張っていた業者さんも多かったんですが、これでは東京がダメになってしまったときに、共倒れになってしまいます。

まずは、地元を中心に、駅以外の販路を拡充させることが、いますべきことです。

さらに最近は、海外に進出して、販売拠点を設ける業者も出てきています。

―「コロナ禍」における、注目すべき駅弁屋さんの取り組みも多かったと感じます。

沼本:若手経営者の業者を中心に、さまざまなチャレンジが生まれています。

姫路を皮切りに、神戸、小淵沢、出水、大館などの駅弁業者ではドライブスルーで駅弁を販売したり、業者同士の相互販売、通信販売に取り組む業者も増えました。

大事なのは、このようないい取り組みを全国の駅弁業者で共有し、水平展開して、コロナ禍を乗り切っていくことだと思います。

駅弁 そば屋の天むす(駅弁135周年記念バージョン)

―水平展開という意味では、この春、4月10日の「駅弁の日」に合わせて、全国の有志駅弁屋さんで、135周年記念の「おにぎり弁当」を出されたのが記憶に新しいですが、改めて140年、150年と「駅弁」が続いていくために、いま、何が必要でしょうか?

沼本:駅弁の「質」を上げていくことだと思います。

1000円以上の価格帯になっても、コンビニ弁当との差別化をしっかり図ること。

駅弁とデパ地下の惣菜とコンビニの弁当は、すべて役割が違うんです。

駅弁には、ふるさとの味や旅の思い出といった、付加価値がたくさんあります。

ふたを開けたときに「うわ〜っ!」と感動する駅弁を、1つでも増やしたいですね。

(日本鉄道構内営業中央会・沼本事務局長インタビュー、おわり)

駅弁 そば屋の天むす(駅弁135周年記念バージョン)

【おしながき】

  • 天むす 海老天 海苔 きくらげの佃煮
  • たくあん
駅弁 そば屋の天むす(駅弁135周年記念バージョン)

米、水、海苔の大きさをはじめ、さまざまなこだわりが詰まった「そば屋の天むす」。

通常は赤いパッケージですが、今年(2020年)は、個数限定で「駅弁誕生135周年おにぎり弁当」のロゴが入った黒いパッケージで販売されています。

各社で開発された135周年記念のおにぎり弁当、残念ながら4月の緊急事態宣言後に販売されたこともあり、お目にかかることができなかった方も多い筈……。

事態が一定の収束を見たら、ぜひ改めて一堂に会する機会があると嬉しいものです。

駅弁 211系電車・普通列車、中央本線・小淵沢駅(2019年撮影)

「おにぎり2個、たくあん2個」から始まったとされる、ニッポンの「駅弁」。

窓が開く普通列車から、窓が開かない特急・新幹線へと、旅の主流が変化するなかで、その販売形態も変えながら、各駅弁屋さんの努力で発展を遂げてきました。

「駅弁とは何か」、それは私たちの食文化が詰まった小箱であり、時代の鏡でもあります。

135年の節目、未曽有のコロナ禍を経て、駅弁はまた新たな一歩を歩んでいきます。

(参考文献)「日本鉄道構内営業中央会70年史」「駅弁小史」「汽車辨文化史」ほか

連載情報

photo

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史

昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。

駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  6. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  7. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」