「TAX FREE」と「DUTY FREE」、どっちも“免税”だけどどう違うの?
街中でも見かけることが多くなった「免税」制度について解説します。
ショッピング施設や街中のコンビニなどでも目にするようになったTAX FREE=免税の文字。この「免税」と、空港などにある「免税店」の違い、あなたは説明できますか? 元国税局員のさんきゅう倉田が解説します。
さんきゅう倉田
大学卒業後、国税専門官試験を受けて東京国税局に入庁。法人税の調査などを行ったのち同退職、芸人となる。芸人活動の傍ら、執筆や講演で生計を立てる。好きな言葉は「増税」。公式サイト、Twitter
TAX FREEとDUTY FREEの違いって?
免税【めんぜい】 税を免除すること。(引用:三省堂国語辞典 第7版)
辞書で免税と引いたときに出てくるのは、上記の説明です。では、英語では同じ「免税」をどのように表記するでしょうか。
街中を歩いていると、コンビニや家電量販店で「TAX FREE」という表記を見かけます。一方、百貨店や空港の保安検査場の奥のお店では「DUTY FREE」という言葉が掲示されています。
どちらも意味は同じ「免税」でも、表記を分けているということは、その意味が異なるということです。
TAX FREEで免税されるのは「消費税」です。消費税は、モノやサービスを買ったとき(難しく言うと、対価を得て行う資産の譲渡等)にかかる税金で、「消費する場所」でかかります。
そのため、外国人旅行者がお土産として日本国内でモノを購入した場合など、日本でものを買ったけれど、日本で使わないという場合には消費税はかかりません。同様に、日本人が外国に旅行してモノを買い、それをその国で使わないのなら、消費税はかかりません。
もちろん、口頭などで「家に帰るまで使いません」と言うだけでは免税になりません。パスポートを提示するなど、手続きを踏んで購入する必要があります。
また、日本国内に住んでいる人が、日本でモノを買って「開封せずに海外で使う」と言っても、免税の対象にはなりません。免税を受けるには、その国の「非居住者」である必要があるからです。
さらに、免税の対象となる物品と価格は、下限・上限が定められています。
・一般物品(家電、バッグ、衣料品等《消耗品以外のもの》) 5000円以上
・消耗品(飲食料品、医薬品、化粧品その他の消耗品) 5000円以上 50万円以下
また、事業用、販売用に仕入れるような場合は、免税の対象になりません。
一方、DUTY FREEは消費税に加え、酒税やたばこ税・関税も免税になります。街中にあるDUTY FREEショップは、その場で商品を渡すのではなく、出国時に空港で商品を引き渡します。
このような「空港形」の買い物に税金がかからないのは、国際空港内は「どこの国にも属していない」という位置付けになっているからです。
ぼくは経験がありませんが、保安検査場の奥のお店でたばこやお酒を購入するのがたのしみな人もいるのではないでしょうか。保安検査場の奥で買ったものであれば、液体を持ち込むことができるので、お酒のほか、化粧水などのコスメも人気ですね。
免税制度を利用した悪質な脱税も
お得な免税制度の一方で、それを利用した消費税の脱税が横行しています。
一般的に、事業者は、モノを仕入れるときには消費税10%を支払い、モノを売ったときには消費税10%を受け取っています。
仕入値より売値のほうが高いはずなので、消費税10%も受け取った額のほうが大きくなります。
この差額の消費税は、事業者がもらえるわけではなく、確定申告をして国に納めることになります。
一方で、海外の事業者に販売した場合はどうでしょう。品物は海外で消費されるので、消費税が免税になります。
すると、お店側は仕入れるときには消費税を払うのに、売ったときは受け取れなくなります。差額を納めるどころか、マイナスです。そこで、支払った消費税が多い場合は、負担した消費税を国に還付してもらうことができるのです。
しかし、この制度を利用して、取引実態がないのに仕入れを計上して、書類上は海外の事業者に販売したことにし、不正に消費税の還付を受ける脱税が行われています。
このような不正を行う人の中では、高級腕時計や化粧品を利用する手口が多いようです。国庫からの搾取を企てる、極めて悪質な行いです。
こうした不正を行った場合は、会社名や社長の氏名が公表されるので、インターネット上などにずっと名前が残ることになります。
免税は海外旅行で楽しんで
みなさんも、海外に行けば免税制度の恩恵を受けられることがあります。TAX FREEとDUTY FREEの違いを理解して、上手に買い物ができると良いですね。
前回のコラム
関連記事
- ニュースで見る「差し押さえ」はどうやって行われる? 納税を怠ると、こんな結末が待っています
元国税局員が解説します。 - ワインの密造がバレて税務署の人が自宅にやってきた! めったにない実体験を描いた漫画が勉強になる
お酒の密造、ダメ絶対! - 【漫画】取引先の会社が怪しげな商法をやっていた…… 本当にあった悪徳商法の怖さと、仕事の重みがわかる漫画が考えされられる
ゾッとするエピソード。 - コロナショックで印税溶けた…… 株に挑んで大損した漫画家にかける言葉が見つからない
ま……漫画描こう! - 「メンタル死亡保険」の保険金で、身なりを整えていい肉食べたら生き返った 画期的な保険に見立てた工夫に「すごくいいシステム」の声
何かあった時の心強い味方に。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
-
「これが生えたら庭終了」 プロも降参する“何をやっても全部ムダな最恐雑草”の正体が400万再生「ほんとこれ厄介」「土ごと変えないと不可能」
-
イトーヨーカドー春日部店が閉店へ 「クレヨンしんちゃん」に登場するスーパーのモデル 「残念」「寂しい」惜しむ声
-
夜、山中の側溝をのぞいてみたら…… 思わず声がもれる“あらぬ生物”の姿に「ヤバいw」「生で見てみたい」
-
水槽の中で卵を発見→慎重に見守って1カ月後…… 小さな命の誕生に飼い主も視聴者もメロメロ「まじで可愛すぎるほんとに可愛い」
-
「お父さんはママのオタクだった」 母親が「元・おニャン子」のタレント、アイドルとオタクが“つながっちゃいけない理由”を問いかける
-
「立体的に円柱を描きなさい」 中1の“斜め上の解答”に「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」
-
スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
-
工藤静香、15歳の愛犬が天国へ 感謝の言葉つづるも……「泣いてばかり」「心が追いつかない」と悲痛な思い
-
外国人が来日して“3年後”…… マクドナルドの“オーダーの変化”に「胃袋が日本人のそれなんよw」とツッコミ
- プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが360万再生「凄すぎて笑うしかないww」「チーズが、、、」
- 6年間外につながれっぱなしだったワンコ、保護準備をするため帰ろうとすると…… 思いが伝わるラストに涙が止まらない
- 「お釣りで新紙幣来た!!!!!と思ったら……」 “まさかの正体”に「吹き出してしまった」「逆に……」
- 赤いカブトムシを7年間、厳選交配し続けたら…… 爆誕した“ウルトラレッド”の姿に「フェラーリみたい」「カッコ良すぎる」
- ダイソーで買った330円の「石」を磨いたら……? 吸い込まれそうな美しさが40万回表示の人気 「夏休みの自由研究にもいいのでは?」
- 「これ最初に考えた人、まじ天才」 ダイソーグッズの“じゃない”使い方が「目から鱗すぎ」と反響
- もう笑うしかない Windowsのブルースクリーン多発でオフィス中“真っ青”になった海外の光景がもはや楽しそう
- アジサイを挿し木から育て、4年後…… 息を飲む圧巻の花付きに「何回見ても素晴らしい」「こんな風に育ててみたい!」
- スズメの首は、実は……? 「心臓止まりそうでした」「これは……びっくり!」“真実の姿”に驚愕の声
- 【今日の計算】「8×8÷8÷8」を計算せよ
- 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
- 日本人ならなぜかスラスラ読めてしまう字が“300万再生超え” 「輪ゴム」みたいなのに「カメラが引いたら一気に分かる」と感動の声
- 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
- 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
- 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
- かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
- 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
- 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈ったもの
- 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
- 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」