鳥取県とのコラボの本気具合が異常 「宇崎ちゃんは遊びたい!」10話、鳥取は恋人の聖地だらけ(1/2 ページ)
君たちカップルにしか見えないね!
ウザくて、かわいくて、SUGOI DEKAI! 「宇崎ちゃんは遊びたい!」(原作/アニメ)は、マイペースで一人の時間が好きな桜井真一(さくらい・しんいち)と、彼にまとわりついてくるキュートだけどちょっとウザめの後輩、宇崎 花(うざき・はな)の、ニヤニヤな距離感を楽しめるキャンパスコメディーです。
さあ、鳥取に行こう!
「宇崎ちゃん」10話は、完全オリジナル回。隅から隅まで鳥取づくし!
というのも今回は「宇崎ちゃんは遊びたい!」×「鳥取」コラボレーション回だからです。実際にある鳥取の観光地をがっちり抑えて、行ってみたくなるシチュエーションをかなり詳細に描いています。
もちろんただの旅行番組ではありません。このアニメはれっきとしたラブコメディー。宇崎ちゃんと桜井の、無邪気な関係だけど傍から見るとカップルにしか見えないニヤニヤ感を、鳥取中から味わいましょう。
まず2人が着いたのは鳥取砂丘コナン空港。一応正式名は「鳥取空港」ですが、愛称として付けられたらしい。「コナン」はもちろん名探偵のやつのことで、原作の漫画家・青山剛昌が鳥取出身だから。ロゴもおなじみのものを使っています。
「スタバはないけどスナバはある! カニはいるけどカネはない!」という、鳥取県知事がかつて言っていたネタからスタート。今は鳥取にスタバはちゃんとありますが、宇崎ちゃんがこれを聞いて笑ってしまったように、自虐することで多くの人の印象に残り当時話題になりました。ちなみのちなみに、アニメに出てくるラクダのマークは、鳥取県にある「すなば珈琲」のものです。これ実際のままなので、アニメ化に際してわざわざ許可とったのかと考えると、今回の鳥取県とのコラボの質がディープすぎるのが分かります。
車で来た榊(正確には木へんに神)・亜実と合流し、一路鳥取砂丘へ。広大な砂丘と、名物の梨ソフト・砂丘コーヒーソフトも登場。宇崎ちゃんが遊んでいるのは砂をスノーボードのように滑り降りるサンドボードです。
眼鏡に前髪ぱっつん、そのうえKANARI DEKAI美人鳥取ガイドさんに率いられて向かったのが、円形劇場くらよしフィギュアミュージアム。日本一古い小学校の円形校舎を美術館に改装したもので、日本のフィギュア約2000体を展示。2021年3月31日まで「宇崎ちゃん」コラボがここでも行われており、場面カットや設定画の展示、「SUGOI DEKAIシール」の販売が行わているそうです。ミュージアム側も今回のコラボの熱量と愛が深くて見事。「宇崎ちゃん」ファンなら見逃せないスポットになりそうです。
ガイド「鳥取県はマンガ家を多く輩出しているマンガ県であり、県内にはフィギュアメーカーの工場もあります。つまり、鳥取県にとってマンガもフィギュアも特産品です!」
亜実「くっ…そう言われるとそんな気がしてきたわ」
実際、特産品として誇れるものだと思います。鳥取県の公式サイトには「まんが王国とっとり」として、さまざまな鳥取県出身マンガ家が紹介されています。フィギュアを重要な文化として大切にしてくれていて、しかもこのように「宇崎ちゃん」と精力的なコラボをしているこの状況、マンガ・アニメオタクから見ると大変うれしい。
因幡の白兎を助けたといわれる大国主命を祀っている、白兎神社。うさぎを助けた由来の神社なのにうさぎを焼いた形の「うさぎ焼き」というすごい名物があり、案の定桜井は宇崎ちゃんにたかられることに。アニメ内でも登場していますが、米粉を使っているためとても色がきれいで、実物を写真で見ると形状もめちゃくちゃかわいい。確実にインスタ映えします。
問題は、白兎神社は実は2010年に「恋人の聖地」として制定されていた、ということ(ちなみに他県だと「サンリオピューロランド」「横浜マリンタワー」「那須高原展望台」など全国137カ所、サテライトが76カ所)。大国主命と八上比売の仲を白兎が取り持ったという、日本初のラブストーリーが元になって、縁結び神社化。他にもこの2人の恋のものがたりの舞台になった土地が鳥取には何箇所かあり、なかなかにロマンチック。
そんな場所に連れてこられたと、ここでようやく桜井・宇崎ちゃんの2人は理解。以降は恋愛的なゴリ押しを周囲がする中気まずい雰囲気が漂い続ける、という周囲からみたらニヤニヤ、本人たちからしたら拷問のような時間がスタート。
宿泊場所は三朝(みささ)温泉。漬かってよし、飲んでよし、までは分かるんですが「吸ってよし」というのがちょっとめずらしい。蒸気風呂で気化した温泉の蒸気を吸う施設があるそうで、こちらは男女とも一緒。
やはりミラクルを呼び寄せる宇崎ちゃん、汗だくべちゃべちゃな状態で桜井とぬるぬる状態。勘違いもされるってもんです。なおこのシーン、亜実さんの色っぽさが尋常じゃないのでチェックしよう。
その他にも水木しげるロードに行ったり、縁結びの恋谷橋に行ったり、どう考えても恋人の聖地な高原に登ったりと鳥取を満喫。かつアイキャッチで宇崎ちゃんが燕趙園、東郷温泉、ハワイ温泉村などを紹介するという鳥取総ざらいレベルの内容。内容的にラブコメにニヤニヤしながら、面白そうな土地のユニークなネタをきっちり紹介しているので、10話があればPRに十分使えるのでは? というレベルの回になっています。
アニメでその土地を楽しく紹介できる事例として、今後の地域活性化の好例になってほしい回です。
なお鳥取県倉吉市にある喫茶店「混智恵流都」ではコラボカフェが開催されており「TVアニメ5話の宇崎ちゃんの大演説に感銘を受けて店主もチョコミン党に入党した」とのことで「チョコミン党による さくらいろソーダ」がメニューになっています。チョコミントと「宇崎ちゃん」への、熱い愛がある。
カップルにしか見えないという事実
今回は地元を離れて旅行先に来ていることもあり、桜井と宇崎ちゃんの距離がどう見えるのか、普段と違う切り口で見せてくれる回でもあります。周囲からイチャイチャしているように見えるといわれても、やっぱり先輩と後輩だという意識が桜井視点だとあります。しかし今回、恋愛対象としての意識が急激に跳ね上がることに。
顕著なのは、白兎神社のうさぎ焼きのシーン。宇崎ちゃんが桜井のうさぎ焼きを横から半分パクリと食べるシーンがあります。ここだけだと、普段のいたずらっ子宇崎ちゃん。しかしそばで鳥取見物をしていたカップルがイチャイチャ一緒に食べているのを見て間接キスだということに、2人とも自発的に気付きます。特に宇崎ちゃんが自ら気づいて赤面し、もん絶するのはかなりのもの。
加えて白兎神社が恋人の聖地であり、周囲からは自然と「カップル」だと思われていた可能性が急浮上。うさぎ焼きを食べたり食べられたりしていた桜井との子供っぽいじゃれ合いが「恋人たちのラブラブなやりとり」としても見えていたことに気付かされ言い訳ができなくなります。
イメージの中では、鳥取砂丘もミュージアムもうさぎ焼きも、イチャイチャの一環。亜実の「確実にカップルを思われてたわよ」は、自分たちの行動に恥ずかしさを覚えるのに十分。心当たりありまくり。桜井は宇崎ちゃんのうかつな行動のせいで振り回されていますが、乗ってしまっているのも事実です。
カップルに見える現象については、全くもってその通りではあるんですが……でもこの作品の2人の関係はそんな簡単に「カップル」じゃないからこそ、魅力的だと思うのです。
宇崎ちゃん「なんでもかんでもラブ方面に持ってこうとして、それしかないんスか? ラブバカッスか? ホントしょーがないッスね!」
赤面しながら叫びちらした宇崎ちゃんのこの言葉、半分は照れ隠しで思い当たる節ありでしょう。でも半分は、桜井と遊ぶのが心から楽しいからなんじゃないか、と思わされます。外からの価値観だと「カップル」にしか見えないけど、2人の間では恋愛じゃない部分での楽しい日々があるんだから、それでいいんじゃないか? 宇崎ちゃんは、2人だけにしか分からない特別な距離感の中で、遊びたいのです。
それはさておき、今回最大の見どころは温泉旅行番組のように三朝温泉になぜか入っている宇崎ちゃんママこと月さんの入浴シーンです。宇崎ちゃんたち一行のお風呂シーンはまだ分かるけれども、月さんのパートは物語の流れと一ミリたりとも関係ないのがすごい。ありがとうスタッフさん、ありがとう月さん、ありがとう鳥取!
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