「ドラクエIII」の“何でもありRTA”がついに夢の5分台に突入 時代はホットプレートの向こう側へ(1/2 ページ)

「ドクターマリオ」「星のカービィ」「ファイナルファンタジー」の3神器を使った新チャートが注目。

» 2021年04月07日 20時30分 公開
[ねとらぼ]

 ファミコン版「ドラゴンクエストIII」のRTA(リアルタイムアタック)で、またも新たなテクニックが開発され、走者たちによる激しい更新合戦が行われています。この記事を書いている4月7日時点での最速記録は「5分53秒」。世界って5分で救えたのか……!


ドラクエ3RTA 現在の最速記録は「5分53秒」ですが、まだ今後更新されるかも……(ひっしーさんの生配信より)

 「ドラクエIII」のRTAにはさまざまなレギュレーションがありますが、今話題になっているのは、バグあり、カセット差し替えあり、任意コード実行(後述)ありの「何でもあり」部門。2020年12月に行われたイベントで「ホットプレートでファミコン本体を温める」という謎のテクニックが話題になったのと同じ部門ですが、そのときのクリアタイムは“22分07秒”関連記事)。あれからわずか3カ月ちょっとで一体どうやって16分以上もの大幅更新をなしとげたのか、ここまでの流れをまとめつつ、現在の記録保持者である“ひっしー”さん@Hitsheegame)にもお話を聞きました。


更新のカギは「途中で別のゲームに挿し替える」テクニック

 記録更新のカギになったのは、有名RTA走者の一人“ピロ彦”さん@pirohiko)が考案した新チャート。従来の「電源ON/OFFバグ」に加えて、“途中で別のゲームに挿し替える”というテクニックを使っているのが特徴で(「ドクターマリオ」「星のカービィ 夢の泉の物語」「ファイナルファンタジー」の3本を使用)、去る3月27日に行われたRTAイベント「TAS好きの人たちがRTAでわいわいする3」の中ではじめて披露されたものでした。



 このときピロ彦さんが出したタイムは、一発勝負で“13分53秒”。これでも十分にすさまじいタイムだったのですが、その後ピロ彦さんが詳しいチャートを公開すると、他のRTA走者たちも続々参戦し、たちまち激しい更新合戦が行われることに。4月4日には同じく有名RTA走者の“ばくぜろ”さん@baku_zero)が7分10秒でクリア、さらに4月5日にはホットプレートでおなじみ“ひっしー”さん6分47秒でクリアと、すさまじい勢いでクリアタイムが短縮されていきました。なお、冒頭でも書いた通り、現在はひっしーさんが4月6日に出した「5分53秒」が最速記録となっていますが、RTA走者の間ではさらなる新テクニックも発見されており、これもいつまで“最速”でいられるかは分かりません。






 今回の新チャートのポイントについてもざっくり解説しておくと、やはり最も大きいのは「(電源を入れたまま)途中で他のカセットに挿し替える」という工程を挟んでいる点です。

 古くは「スーパーマリオブラザーズ」のプレイ中、「テニス」に挿し替えて特定の操作を行い、また「スーパーマリオブラザーズ」に戻すことで幻の「9-1」面に進むことができる――という裏技がありましたが、原理的にはこれと同じもの。カセットを挿し替えても本体内に記憶されているメモリは残ることを利用し、別のカセットを使ってメモリを特定の値に操作、その後再び「ドラクエIII」に戻すことで、本来はできないことを実行してしまう……という仕組みです。こうしたテクニックを幾重にも積み重ね(※)、最終的にはゾーマを倒すことなく“エンディングに必要なフラグ”を立て、ラダトーム王に話しかけることでエンディングに突入してしまう……というのが今回のチャート。これを考えつくのも、現実に実行可能なチャートに落とし込むのもすごすぎる……。

※追記・補足:ドラクエIIIの最終的なエンディングフラグは本体メモリ上ではなくカートリッジ(セーブデータ)上で管理されているため、従来の「電源ON/OFFバグ」だけでは「いきなりエンディングフラグを立てる」ことは不可能でした。今回のチャートでは最終的に、任意コード実行によりセーブデータ上にエンディングフラグを強制的に立てていますが、任意コード実行に必要なバグアイテム生成のためにカートリッジ差し替えが必要でした



ドラクエ3RTA 途中で「ドクターマリオ」にカセットを交換。ここでメモリを特定の値に操作

ドラクエ3RTA なんやかんやあって、最後にラダトーム王に話しかけるとゲームクリア

 現在の記録保持者であるひっしーさんにもお話をうかがったところ、ピロ彦さんのチャートを見たときは「なんでこんな手順を見付けられたのか意味が分からない」「ホットプレートが不要になってしまった……」と驚いたそうです。また、これもピロ彦さん発案ですが、今の記録からさらに30秒は更新できる技術が既に編み出されており「現行チャートでも5分30秒くらいまではいける見込みです」とのことでした。

 ひっしーさんはさらに、これから使用する予定の“最新環境”の写真も提供してくれました。写真には「ドクターマリオ」「カービィ」「FF」だけでなく、右上には謎のスイッチが取り付けられたむき出しのカートリッジが……。果たしてどこまで記録が短縮されるのか、今後の動きに注目が集まります。


ドラクエ3RTA ひっしーさんが「現在の最新環境です」と見せてくれた写真。右上のスイッチ付きカートリッジは一体……

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた