「みんなで選ぶ短編漫画傑作集」Twitterハッシュタグが盛況 萩尾望都『半神』をはじめおすすめの名作続々(1/2 ページ)

小学館の『日本短編漫画傑作集』に少女漫画が含まれず、物議を醸した件を受けてハッシュタグが発生。

» 2021年05月27日 20時10分 公開
[沓澤真二ねとらぼ]
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 Twitterハッシュタグ「みんなで選ぶ短編漫画傑作集」が盛り上がり、多数のおすすめ作品がとり上げられています。盛況の背景には、先だって小学館が発表した『日本短編漫画傑作集』にかかる問題がありました。

※文中敬称略

 『日本短編漫画傑作集』は、日本漫画史から厳選された短編のアンソロジー。6月30日発売の第1集だけでも、目次には手塚治虫や平田弘史、白土三平、さいとう・たかを、石ノ森章太郎、つげ義春ら、そうそうたる名前が並んでいます。

 しかし、書籍データを同日発売の第2集・第3集まで見渡すと、女性漫画家の作品は一部散見できる(発表済みの33人中2人)ものの、少女漫画は1作品も見当たらず。さらに選者を務めた作家・評論家6人が全員男性であったことから、「書名は“日本の短編漫画全般”を指していながら少女漫画を除外するのはいかがなものか」と批判が集まることに。

 これに対し、同書の編集に協力している、雑誌『フリースタイル』の吉田保編集長は「今回は、少年、青年漫画なんです。少女漫画は入りません」「全6巻ということで始まった企画ですので、どこかに線引きは必要なのです」とTwitter上で説明。また出版元の小学館はJ-CASTニュースの取材に対し、作品が偏った理由について「少年漫画誌、青年漫画誌の経験の長い編集者が企画し、選者についてもその人脈でお願いしたため」「女性作家の作品も収載しており、女性差別や多様性を否定する意図は全くございません」と同様の回答をしています。

 こうした流れを受けて、『AIの遺電子』で知られる山田胡瓜は「#みんなで選ぶ短編漫画傑作集 とかなんかタグ作ってみんなでオススメしあってはどうか」とTwitterで提案。自ら萩尾望都の『半神』や森雅之の「アラビアの空に似た瞳 アラスカの空に似た瞳」(『夜と薔薇』に収録)を勧めました。

傑作短編 山田胡瓜推薦の『半神』(Amazon.co.jpより)。ハッシュタグでも多くのTwitterユーザーが推している

 この試みは多くの共感を呼び、ハッシュタグは急速に広まりました。目立つ名前は最初に挙がった萩尾望都作品をはじめに、竹宮恵子や和田慎二など。藤子・F・不二雄や高橋留美子、魔夜峰央や諸星大二郎を推す声も多く、ジャンルを問わず多くの作品が勧められています。

 なかには「短編は単行本未収録になるケースも多いので光が当たるのはうれしい」といった感想も。「ここに挙がったラインアップは、新人の短編をきっちり単行本化している白泉社系が多い」といった分析も見られました。

 ハッシュタグ発案者の山田胡瓜は反響の大きさに驚きながら、「小学館にけんか売ろうとかではなく(個人的にはシリーズ名は変えたらいいと思いますが)、単純に男女問わずいろんな作家のオススメ短編が知りたかったというだけです。短編に焦点を当ててくれた小学館の今後の取り組みにも期待しています!」とコメントしています。


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