ニュース
» 2021年07月20日 11時00分 公開

イチジョウは“20歳前後のつらかった俺たち” 『上京生活録イチジョウ』原作者&担当編集インタビュー(1/2 ページ)

圧倒的“上京物語”はこうして生まれた。

[にゃるら,ねとらぼ]

イチジョウ

 7月20日、漫画『上京生活録イチジョウ』(協力:福本伸行 原作:萩原天晴 漫画:三好智樹 瀬戸義明)の第1巻が発売されました。『中間管理録トネガワ』『1日外出録ハンチョウ』に続く「カイジ」シリーズのスピンオフ第3弾は、悪魔的パチンコ台「沼」を生み出した帝愛裏カジノの店長・一条聖也の青春時代を描いた作品です。まだ何者でもなかった一条による圧倒的“上京物語”はいかにして生まれたのか、原作の萩原天晴さんと担当編集の村松さんに取材しました。エピソードの一言コメントとあわせてご覧ください。

萩原天晴(@hagitenten

漫画原作者。小学5年生の頃に『銀と金』を読み、福本伸行先生の大ファンに。『賭博破戒録カイジ』シリーズのスピンオフ、『中間管理録トネガワ』で累計300万部超、『1日外出録ハンチョウ』で累計250万部超のヒットを飛ばす。他作品にNetflix×テレ東でドラマ化した『さぼリーマン 飴谷甘太朗』。

担当・村松(@yogoharu5535

講談社『モーニング』編集部次長。週マガ→ライバル→ヤンマガ→コミックDAYS立ち上げを経て、20年7月よりモーニング所属。ヤンマガ時代にトネガワ、ハンチョウを担当。最近は萩原さん、現ハンチョウ担当らとバスケをしている。

にゃるら(@nyalra

オタク。


イチジョウ
イチジョウ

にゃるら


本日はよろしくお願いします。連載1話目からとても楽しく読んでいます。自分自身、上京して友人とルームシェアして、東京の自由度と残酷さを日々感じていたので、共感しちゃって。

【友人とルームシェア】にゃるらは大学中退後、友人の岡島くんと無職同士で一定期間ルームシェアをしていた。詳細は「無職のオタク2人による退廃的なルームシェア時代の想い出」を参照


萩原


ありがとうございます。


にゃるら


まず作品ができた経緯、「上京生活録」というタイトルや上京をテーマにするまでについて聞きたいです。


ねとらぼ


「中間管理録」「一日外出録」などストレートだったこれまでと違い、今回はひとひねりありますよね。


萩原


一条を主人公にした連載企画の話はけっこう前からありまして、話がでてきて2年はたっているんじゃないかと。しかし紆余曲折あり、「○○録」でいろんな案がありました。例えば、ぶっとんだやつだと未来創生録


にゃるら


未来創生録!?


萩原


地下1050年行きになった一条が、実際に1050年間コールドスリープして。地上に出ると荒廃した世界になっていて「ざわっ」となっている――。


にゃるら


『望郷太郎』みたいだ……。


【地下1050年行き】カイジの世界では、帝愛グループの総帥、兵藤会長のための王国(核シェルター)を地下に建設中。地下懲役の目安は借金1000万円につき15年。一条は帝愛に7億円の損害を与えたため、15年の70倍、すなわち1050年の地下行きを命じられた。

【望郷太郎】山田芳裕さんの新作で、2019年より「モーニング」にて連載中。2025年の地球が大寒波に見舞われる中、大企業の経営者である主人公・舞鶴太郎は、家族と人工冬眠をする。500年後、目覚めると現代社会は壊滅していて、家族の装置も故障していた。たった1人となった太郎が選んだこととは――。


担当村松


本気で12時間くらい打ち合わせしてましたね。コールドスリープ装置で一条が目を覚まして、かすかに残っている記憶に「自分が眠る装置ができたから、お前を実験台にする」と笑う兵藤の姿が。冒頭の5Pまで作ったんですよね。


萩原


兵藤そっくりな長老に治められている部族に出会うとか、本当の沼がでてきて足をとられるとか、アイデアは出たんですが……(笑)。


担当村松


でもこれって鳥人間コンテストでいう“めっちゃ派手な飛行機”では……となって。期待感はすごくあるんですが、実際の飛翔能力は感じられない(笑)。


【鳥人間コンテスト】人力飛行機の滞空距離、飛行時間を競う大会。1971年に英国のセルジーで始まったとされ、日本国内では77年より毎年夏に琵琶湖で開催されている。定期的にビジュアル特化型の機体が登場することで有名で、レッドブル主催のフルークタークでは特にその傾向が強い。


萩原


僕はそういった思いきった設定の話よりも、どちらかというと半径10メートルのところを描くタイプなので、難しかったですね。異世界転生みたいなのが得意な方であればいけたかもしれない。それで未来創生録は断念して、子どもを拾って「育児奮闘録」だったり、貧乏ポジションの「貧乏録」だったりを考えて。


ねとらぼ


間違って「路上生活録イチジョウ」というタイトルでメールがきたエピソードを見ました。


担当村松


印刷所の方が間違えたんですよね。「ゲラあがりました」という内容のメールに「路上生活録イチジョウ」と書いてあって。


にゃるら


それはそれで面白そうですね。


担当村松


かわいそうですけどね。


萩原


貧乏路線でいろいろ考えたときに、やっぱり僕自身が経験したことの方が描きやすいので、単身上京した下積み時代のことをできないかなと。それで「上京生活録」が浮かびました。


イチジョウ 第1話より
イチジョウ 一条といえば「眉毛を整える」

ねとらぼ


モーニングは社会人以上が読むイメージがあるので、そこで一条が上京話をするのはばっちりだなと。想定読者はいるんですか?


萩原


この読者に読んでほしい、みたいなのは特に意識してないです。利根川、班長と違って一条は美青年ですが、そっちに寄せていこうとは全く思ってないです。


にゃるら


一条、確かに女性にも人気ありますね。


萩原


イチジョウは、ハンチョウを読む感覚でいくと求めているものが来ない可能性があります。大槻班長たちは、今の何でもない生活を肯定するんです。一条はそれを否定する。


にゃるら


一条の意識の高さというか、そのギャップを楽しむ作品ですからね。


ハンチョウ ハンチョウの場合
ハンチョウ 宮本さん宅で餃子パーティー(※このあとループ)
イチジョウ 一方、一条
イチジョウ 背負っている業が深い

萩原


そうですね。ちょっと見守る目線で読んでほしい。共感していただいてもうれしいですが。


       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2201/23/news039.jpg 梅宮アンナ、娘の20歳バースデーに“姉妹のような親子”ショット 2002年にアメリカで出産「あれから20年かぁ」
  2. /nl/articles/2201/23/news040.jpg Excel「1+1=4」 謎の計算結果になる原因を特定したツイートに「セルの結合は悪」「セルの結合を滅ぼせ」
  3. /nl/articles/2201/23/news005.jpg 雪道で「ルンルン♪」と木の棒を運ぶワンコ→次の瞬間 雪が落下するハプニングに混乱!!【ノルウェー】
  4. /nl/articles/2201/23/news006.jpg 和尚様「この水あめは子どもが食べると毒」 → クロマトグラフで分離分析 全て数学で解決する漫画“理系一休さん”が頓知ゼロ
  5. /nl/articles/2201/23/news024.jpg ガンプラが品薄で買えないならランナーで作ればいいじゃない→できあがったガンダムが不思議と本物に見える
  6. /nl/articles/1903/17/news030.jpg 武田久美子、離婚した米国人夫との写真公開 “日にち薬”の効用か「隣に居ても何とも思わなくなりました」
  7. /nl/articles/2201/21/news019.jpg 子猫「イヤー!!!」→「あれ……?」 初めてのお風呂で元保護子猫が見せた意外な反応に、飼い主もビックリ
  8. /nl/articles/2201/23/news032.jpg 武田久美子、皮膚科医を目指す娘と2ショット 親密な姿にファン「姉妹にしか見えん」「憧れます」
  9. /nl/articles/2201/21/news169.jpg お姉さんたちの美ボディにメロメロ! 「東京オートサロン2022」美女コンパニオンまとめ第3弾
  10. /nl/articles/2201/22/news028.jpg 「中がホテルみたい」 チュート徳井、自慢のハイエース「おじキャン仕様」を披露「ハイエース乗って人生変わりました」

先週の総合アクセスTOP10

  1. 勝手に「サービス終了ゲーム総選挙」をやったら6700票も集まってしまったので結果を発表します 2位の「ディバインゲート」を抑えて1位に輝いたのは……
  2. ママとの散歩中、田んぼにポチャンした柴犬さんが帰宅後…… パパに一生懸命アクシデントを報告する姿がいとおしい
  3. “26歳年の差婚”の菊池瑠々、第4子妊娠を発表「もう、とにかくうれしいです!」 年上の夫も満面の笑み
  4. 桐谷美玲、隠し撮りに「絶対ヤバい顔」 “ほぼ半目”な不意打ち写真に「100点満点に可愛い」と全力フォローの声
  5. 村田充、3匹目の愛犬の存在明かす 神田沙也加さんから引き取ったブルーザーとは「数日で仲良くなりまして」
  6. 三浦孝太、母・りさ子誕生日に“家族4ショット”でお祝い キングカズも笑顔の写真に「家族が1番!」
  7. バレー日本代表の清水邦広の再婚に盟友・福澤達哉さん「相手は私ではございません」 元妻は中島美嘉
  8. 「駅の待合室をバケモンが占領している」→“謎の生き物”の正体について大分県立美術館に話を聞いた
  9. 滝沢カレン、倖田來未の“バックダンサー”になりすまし 感極まって「人一人洗えるくらい泣きました」
  10. 宮崎駿愛用の「電動消しゴム」が故障 → サクラクレパス公式が倉庫の奥から発掘 Twitterが繋いだ温かな展開が話題に

先月の総合アクセスTOP10

  1. 「どん兵衛」新CMに星野源が復活も衝撃の新展開 “どんぎつね”吉岡里帆の正体明かされ「完全なホラー案件」「狂気を感じる」
  2. ハラミちゃん、“公称145センチ”も本当の身長にゴチメンバー驚き 「デカイっていわれるのが嫌になっちゃって……」
  3. 西川史子、退院を報告 「生きていて良かったと思っていない」と告白も、力強い現在の心境明かす「私は医師です」
  4. 「もうアヒル口」「美人確定ですね!」 板野友美、生後2カ月娘の“顔出しショット”にみんなメロメロ
  5. 「気ぃ狂いそう」 木下優樹菜、生配信中止で“涙のおわび動画” やらかしたスタッフに「生きてたらミスぐらいする」
  6. 東大王・鈴木光、“お別れの笑顔”で司法試験合格を報告「本当にありがとうございました」 SNS閉鎖に涙のエール続々
  7. 「こんな普通に現れるの?!」「バレそうで心配」 倖田來未、駅のホームに“普通に並ぶ”姿にファン驚き
  8. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」「どストレートに餅で笑った」と称賛集まる
  9. 第1子妊娠のすみれ、母・松原千明と2年ぶりに涙の再会 「やっとママに会えました」と感動的な親子ショット公開
  10. 渡辺裕之、66歳バースデーで息子と2ショット 合同誕生日会に「すごいお料理とケーキ」「イケメン息子さん」