学校の新型コロナ対策はなぜ進まないのか 現役中学教員に聞く「今なおオンライン授業ができない学校がある理由」(2/2 ページ)
全国の公立校にオンライン授業を導入させる“たった1つの方法”
全国の公立校にオンライン授業を導入させる方法があるとしたら、たぶん1つだけ。政治家や文科省、要するに“上”が「導入しましょう」とハッキリ言うことだと思う。
―― 逆に言うと、それってまだできていないことなんでしょ。どうしてだと思う?
ニュースを見ているとすごく感じるんだけどさ、コロナ対策ってゆるめると「ちゃんと対策しろ」、キツくすると「どうしてこんなに我慢しなきゃいけないんだ」と批判の声が上がるでしょ。
どちらもまっとうな意見なんだろうけど、“正しさ同士の板挟み”みたいな状態に陥っていると思う。何をやっても、必ず誰かに「それは間違いだ」と文句を言われてしまう、というか。
それで、“上”の人たちは責任を取りたくないのか知らないけど、自分たちで方針を決めたがらない。どうとでも取れるような答えを出すばかりで、具体的にどうするかは“下”、つまりは市町村や各学校に任せてしまう。
“下”は“下”で世間の批判を浴びたくないから、いざというとき「私たちはちゃんと対策してました」と言える程度に、行き当たりばったりに対応する。その結果の1つが「うちの中学はオンライン授業やってないけど、なぜか隣の市の学校ではやっている」みたいな、バラバラの状況なんだと思う。
本当に「生徒のために」と思っているのか
学校のコロナ対策で全国的に足並みがそろったのは、たぶん1度きり。2020年2月末に、安倍首相が一斉休校要請を出したときだけだ。
あのときみたいに“上”がズバッとね。「こうすることを検討してください」と判断を“下”任せにするのではなく、「ここはこうしましょう」と言わないとダメなんだと思う。
ただ、当時のことを思い出すと安倍首相はめちゃくちゃ批判を受けていたから、責任が伴う役目なのかもしれないけど。
―― 「この一斉休校ついでに、日本も9月入学制に切り替えるのはどうだろう?」と大真面目に議論されていたくらい、影響が大きい出来事だったからねえ……。オンライン授業の場合は、どうなんだろう。
オンライン授業を歓迎できない人がいるのは、教員の中だけではないからなあ。
親の中にも「昼間、子どもが家にいるのは困るから、学校に行ってほしい」「食事を作るのが大変だから、給食を食べてきてほしい」という人がいるんだよね。
とにもかくにも、こういう問題について考えていると「学校教育の世界ではよく『生徒のために』『生徒ファースト』と言われるけど、実際には大人の都合を優先させて生徒を後回しにしていないか?」という疑問が湧いてしまうときがあるよ。
(続く)
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