水族館「オニカマス展示中です」→魚クラスタ「ヤシャカマスでは?」 野生の魚博士が間違いを発見、水族館に経緯を聞いた(1/2 ページ)
「オニカマス」でなく「ヤシャカマス」でした。
「オニカマス」を展示していたと思ったら、「ヤシャカマス」でした……。魚クラスタの活躍で判明した、水族館のあるミステイクがTwitterで話題になっています。
ことの発端は23日、福島県いわき市にある水族館「アクアマリンふくしま」(@aquamarinestaff)が、展示中の魚を「オニカマス」として紹介したことにありました(※展示はすでに終了)。
ところがこの投稿に、魚クラスタの一部が違和感を持ちました。投稿に「オニじゃない気がする」「ヤシャカマスぽい感じあるけども」「ヤシャカマス??」と指摘のリプライが寄せられ、翌日には水族館から「ヤシャカマスでした。ご指摘くださった皆様、ありがとうございます」との訂正ツイートが。
素人からすると「オニカマス」も「ヤシャカマス」も何が何やらなのですが、この一連の投稿が、多くの魚クラスタの注目を集める結果になりました。水族館のプロでも間違えてしまった内容を指摘できてしまう“市井の専門家”たちの観察眼。すごすぎませんか。
今回の経緯について、アクアマリンふくしまに話を聞きました。
――「オニカマス」でなく「ヤシャカマス」であると判明した経緯を教えてください
担当者:はじめは当館の問い合わせフォームに「ヤシャカマスではないか」との指摘がきました。魚類の検索図鑑などには載っていなかったので、過去の論文を探したところ、2020年にヤシャカマスの記載がありました。その中にオニカマスとの違いも記載されていたので、あらためて写真を撮って詳細を調べなおしました。
見た目がほとんど同じなので、過去に展示していた個体が「実はヤシャカマスだった」ということもあるのでは? と思っています。
ちなみにヤシャカマスは、もともとインド南西部岸のアラビア海にのみ生息するとされていました。しかし鹿児島大学の森下氏他の研究によって日本にも生息していることが判明し、2020年にヤシャカマスと命名されました。
――オニカマスとヤシャカマス、それぞれの特徴や見分け方はありますか?
担当者:眼の位置や模様の長さなど写真から判別は可能です。形態的に似ているオニカマスとは、上顎後端が眼の前縁に達しない、体側の暗色横帯は側線より下方に達し、腹部に届かない、体側に黒色班がないことなどから判別できます(図解)。
指摘してくださった方が2020年に和名がついたヤシャカマスを知っていることがすごいと思います。恥ずかしながら当館のスタッフはオニカマスだと思い込んでいました。
――Twitterで話題になっていることについて、率直な感想を聞かせてください。
担当者:当館のSNSに注目していただき、ご指摘していただいてありがとうございます。そして間違った情報を提供して申し訳ありませんでした。これを機会にヤシャカマスが多くの皆さまに知られることになって、「ここでも見つかった」などの多くの情報が集まれば、生態解明にも役立つのではないかと思います。
写真提供:アクアマリンふくしま
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