「スマイルプリキュア!」10周年 震災の翌年、日本中を笑顔にしたシリーズで「追加プリキュア」が出なかった理由とはサラリーマン、プリキュアを語る(1/2 ページ)

10周年を迎えた「スマイルプリキュア!」。あのとき何が起きていたのかを振り返ります。

» 2022年03月24日 18時00分 公開
[kasumiねとらぼ]

 2022年は「スマイルプリキュア!」10周年の記念すべき年です。

 東日本大震災の翌年、その明るく楽しい作風で日本中の子どもたちを笑顔にした「スマイルプリキュア!」。玩具業界誌で「シリーズ最高のスタートダッシュを切った」と評されたプリキュアで、あのとき何が起きていたのか? 10周年を機に振り返っていきたいと思います。

advertisement
スマイルプリキュア! 2022年は「スマイルプリキュア!」10周年(画像はAmazon.co.jpから)

kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。

「スマイルプリキュア!」10周年

 「スマイルプリキュア!」は、2012年2月5日から2013年1月27日まで放送されたシリーズ第9弾。全48話が放送されました。

 「いつもスマイルでいれば、ハッピーな未来が待っている!」をテーマに、キュアハッピー、キュアサニー、キュアピース、キュアマーチ、キュアビューティら5人のプリキュアが大活躍しました。

 「スマイルプリキュア!」というタイトルには、「番組を見終わったら笑顔になって、元気に外に遊びに行ってほしい」というシリーズディレクター、大塚隆史さんの思いが込められていました。

物語以前にまず僕が大切にしたことは、「日曜日の朝8時半にどんなアニメが流れていると気持ちいいかなぁ」という事でした。
それで僕は「前向きで明るく元気なもの」にしたいと考えました。それを「プリキュア」という作品の世界観に合わせていこうと。
番組を観たら笑顔になって、終わったら元気に外に遊びに行ってほしい。そんな願いを込めて、タイトルを『スマイルプリキュア!』にしました。
『スマイルプリキュア!コンプリートファンブック』(学研ムック)P83

スマイルプリキュア! 星空みゆきが変身するキュアハッピー(画像はAmazon.co.jpから)
advertisement

 また、当初の企画では「1人でプリキュア」だったものが、東日本震災の影響で「みんなで力を合わせる事を描く」ため5人のプリキュアになった(『スマイルプリキュア!コンプリートファンブック』(学研ムック)P94)との経緯(けいい)もあり、「震災後の日本」を大きく意識したシリーズとなったのです。

 その作風は「明るく、楽しく、元気よく」。震災後の子どもたちに笑顔を届けたのです。

シリーズ最高のスタートダッシュ

 そんな「スマイルプリキュア!」。商業的にも歴代シリーズの中で最高のスタートを切ります。

 玩具業界紙『トイジャーナル』(東京玩具人形協同組合)によれば、前作比190%、変身アイテム「カラフル変身!スマイルパクト」が前年の270%と売れに売れ、「シリーズ9作品の中でも史上最高のスタートダッシュとなった」(2012年5月号)と言及されています。

スマイルプリキュア! 日野あかねが変身するキュアサニー(画像はAmazon.co.jpから)
advertisement

 その後も「一部では欠品も出ている」(同2012年5月号)や「プリキュア史上No1の年間売り上げも目指せる勢い」(同2012年6月号)など、景気の良い言葉が飛び交います。

前作比で190%(販売5週累計販売額)、これまでのシリーズ9作品の中でも史上最高のスタートダッシュとなった「スマイルプリキュア!」
現在特に同作品の年間メインアイテムである「カラフル変身スマイルパクト」の絶好調ぷりが際立っており、前作のメインアイテム対比で270%
『月刊トイジャーナル』(東京玩具人形協同組合)2012年5月号(P27)

お陰様でプリキュア史上No.1の年間売り上げも目指せる勢い
『月刊トイジャーナル』(東京玩具人形協同組合)2012年6月号

後半、勢いが失速してしまう

 このままシリーズ歴代最高の売り上げを更新すると思われていた「スマイルプリキュア!」。しかし、夏以降になると、玩具を含めた関連商品の勢いが、なぜか止まってしまうのです。

 玩具業界紙では「立ち上がりは良かったものの、夏以降に失速した印象」(『月刊トイジャーナル』2013年1月号)とまで表現されるようになりました。

スマイルプリキュア! 黄瀬やよいが変身するキュアピース(画像はAmazon.co.jpから)

 「失速」とまで書かれたその要因は何だったのでしょうか?

 玩具メーカーサイドは、後に玩具業界紙で「スマイルパクトに続くヒット商品が出せずに、年間を通した貢献が出来なかった」と分析しています。

本誌 一方で「プリキュア」は立ち上がりは非常に良かったものの、夏以降に失速した印象ですが。
上野 「スマイルプリキュア!」に関してはメイン商材の「スマイルパクト」に人気が集中しすぎてしまいました。
メイン商材が良すぎて第2弾商品の購買に結びつかなかった。ですのでこちらに関しては商品ラインアップに課題が残りました。
『月刊トイジャーナル』(東京玩具人形協同組合)2013年1月号(P35)

バンダイ取締役 佐藤明宏氏 プリキュアも前作ではスマイルパクトが年間通じて売れたものの、それに続くヒット商品を出せずに年間を通した貢献ができませんでした。
『月刊トイジャーナル』(東京玩具人形協同組合)2013年2月号(P25)

 「年間を通した貢献が出来なかった」とはどういった意味なのでしょうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2503/28/news169.jpg “有吉弘行も大ファン”の「伝説の女装愛好家」が死去 亡くなる2日前に「志半ばにして逝きますが燃え尽きる思い」とメッセージ
  2. /nl/articles/2503/28/news120.jpg 「参りました」 ユニクロ新作“4990円シャツ”に称賛殺到 「今季No.1かも」「全色欲しくなる」
  3. /nl/articles/2503/28/news079.jpg “17歳と19歳”、若くして子どもを授かった夫婦が10年後…… まさかの現在に反響「すごい」「最高の両親」【海外】
  4. /nl/articles/2503/28/news027.jpg ユニクロ&GUの“春ワンピ”を67歳主婦が着ると…… 簡単おしゃれな着回しコーデに「若々しくて素敵」「参考になります」
  5. /nl/articles/2503/28/news128.jpg ミスド、“55周年の箱”に賛否 「昔が良かった」「かっこよかった」の声も…… 驚きの“ミスドの箱”の変遷
  6. /nl/articles/2503/27/news056.jpg 福袋に入ってた“定価3万円”の高級魚を大事に育てたら…… 「やりやがったな」涙する結果に「すごい」「ほんと感動」
  7. /nl/articles/2503/28/news130.jpg 木村拓哉がタイプロで「弁当」差し入れ→“衝撃の価格帯”に騒然 「ぶったまげた」「庶民には買えない」【“タイプロ現象”の余波】
  8. /nl/articles/2503/28/news156.jpg 大谷翔平ら「ドジャース」スター軍団の球場入り、いかつい“超高級所有物”まで映り込み視聴者クギづけ「豪華すぎ」「ドライバーつき?」
  9. /nl/articles/2503/27/news190.jpg ミスド、“55周年の箱”に賛否の声 赤と白を基調したデザインに「絶対欲しい!」「鬼ダサパッケージ」
  10. /nl/articles/2503/28/news058.jpg 「昔はかなりモテた」と話す母→ウソかと思いきや…… 100万再生された“当時の姿”に娘も驚き「なんてこった!!」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「うそでしょ!?」 東京ディズニーランド、“老舗”レストランの閉店を発表 「とうとう来てしまったか」「いやだああああ」と悲しみの声
  2. Koki,、豪邸すぎる“木村家の一室”がウソみたいな広さ! 共演者も間違えてしまうほどの空間にスタジオビックリ「コレ自宅!?」「ちょっと見せて」
  3. 息子の小学校卒業で腕を組んだ34歳母→中学校で反抗期を迎えて…… 6年後の姿に反響 「本当に素敵!」「お母さん、変わってない!?」
  4. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが550万再生「凄すぎて笑うしかないw」「チーズが、、、」 話題になった作者に話を聞いた
  5. ディズニーランドがオープンした1983年当時、カップルだった2人→37年後…… 目頭が熱くなる現在の姿に感動
  6. ニットで口元が隠れた赤ちゃん、そっと脱がせてみると…… “想像を超える”表情が2300万再生「心に刺さった」「今まで見た中で1番!」【海外赤ちゃん記事3選】
  7. 水族館のイカに“指でハート”をしてみたら… “まさかのお返し”が190万表示「こ、こんなことあるのか」
  8. 「ひどすぎ」 東京ディズニーランドで“約100人のドジャースファン”が一斉に“迷惑行為” 「やめてほしい」と物議
  9. 19万8000円で購入した超高級魚を、4年間育てたら…… ド肝を抜く“大変化”に「どんどん色が」「すごい」
  10. 初めて夫の実家に挨拶した妻、初々しかった表情が9年後…… “そうはならんやろ”な変わりっぷりが1150万再生
先月の総合アクセスTOP10
  1. 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  2. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  3. パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  4. 和菓子屋で、バイトの子に難題“はさみ菊”を切らせてみたら……「将来有望」と大反響 その後どうなった?現在を聞いた
  5. 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
  6. 「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
  7. 希少性ガンで闘病中だったアイドル、死去 「言葉も発せないほどの痛み」母親が闘病生活を明かす
  8. “きれいな少年”が大人になったら→「なんでそうなったw」姿に驚がく 「イケメンの無駄遣い」「どっちも好きです!笑」
  9. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  10. 芸能界引退した「ショムニ」主演の江角マキコ、58歳の近影にネット衝撃「エグすぎた」 突然顔出しした娘とのやりとりも話題に