「スプラトゥーン3」が「不慣れな人に敗北のストレスを感じさせない」ことを徹底していてすごいなーと思った話:今日書きたいことはこれくらい(2/3 ページ)
「スプラトゥーン3」における「敗北ストレス軽減策」
さて、「スプラトゥーン3」の話をします。
9月9日に「スプラトゥーン3」が発売されまして、しんざき一家もインク塗りにハマっております。
私はナワバリ中心、長男はガチ寄り、長女はヒーローモード中心、次女はサーモンランが中心という感じでして、それぞれ違ったやり方でイカライフを楽しんでおります。おかげでSwitchの争奪戦が激しく、プレイ時間を確保するのが大変です。
しんざきは「対戦ゲーム」についてはともかく、スプラトゥーンをはじめとするFPS/TPS(一人称/三人称視点シューティングゲーム)についてはそれほど遊んでおらず、端的に言うと素人なのですが、スプラ3は今のところ「敗北時のストレス」が非常に少なく、大変快適にプレイできているんですよ。
なぜスプラトゥーンは対人戦の敗北ストレスが少ないのか、ということをちょっと自己分析してみたのですが、少なくともしんざきに関する限り、以下のような要素がそこに寄与しているのではないかと思いました。
- そもそもシステム自体が「個人の責任」を感じずに済みやすい構造になっている
- 自分が勝利にどれだけ貢献したか/脚をひっぱったかが巧妙にボカされている
- どんなにコテンパンでも最低限システムに褒めてもらえる
- 勝負に疲れても逃げ場がちゃんとある
で、これが私にとっては、上で書いたような「不慣れなうちの敗北ストレス軽減策」として非常に有効に動作してるんじゃないか、と考えたわけなんです。
まず一つ、「3」に限らずシリーズに共通する話なのですが、スプラトゥーンは非常に「負けに対する自分の責任」を重く受け取りにくい作りになっています。
TPS初心者の最大の鬼門が「キル/デス」、つまり撃ち合いの部分だというのは論をまたないと思うのですが、スプラトゥーンの対戦システムは、シリーズの当初から「キル/デス」とは別の基準で勝負がつくようになっています。ナワバリなら「最終的に塗った面積の広さ」で勝負がつきますし、ガチバトルでも各種、キルデス以外の部分に勝敗条件が設定されています。
キルデスの意味が軽いわけではなく、むしろなるべく死なずに敵を倒し続けることは非常に重要なのですが、「自分のデスがどの程度敗北に直結したのか」ということは、ゲームにある程度慣れないと分かりません。たくさん死んでも負けるとは限らないし、たくさん倒しても勝てるとは限りません。
実際、「戦いから離れた地点もきちんと塗る」というのは、(モードにもよりますが)それはそれで必要な仕事だったりするんですよ。
つまり、「キルデス以外でもちゃんと仕事ができる、ないし仕事をした気になれる」。客観的に見れば死にまくりでチームの敗因になっていたとしても、「まあ仕事はできた」という形で自分のストレスを軽減できるんです。
さらにチーム戦の特徴として、言い方は悪いですが、非常に「負けを他人のせいにしやすい」ということも挙げられると思います。
スプラトゥーンのバトルは非常にスピーディで、チームの他の誰がどんな動きをしているのか、これまたある程度慣れないと分からないので、自分がどの程度足を引っ張ったのか、味方がどれくらい強かったのかも、初心者は良く分からないんですよ。
つまり、負けたとき、「自分は仕事をしたけど味方が悪かったから負けた」という、自分への言い訳を極めてしやすい作りになっている。
これ、もちろん熟練者の人から見れば「甘えるな」って話だと思いますし、「敗因を認識しないとうまくなれない」というのもその通りなんですけど。ただ、上述した通り「はじめたてのころのストレス軽減」って非常に重要であって、はじめさえ乗り越えればもっとうまくなれたのに、という人だってたくさんいるはずなんですよ。
世の中、「お前は下手だ」「お前のせいで負けたんだ」と言われ続けながら、ずっとゲームを続けられる人ばかりではない。まずはとにかく、勝ち負け以前にゲームの面白さを知ってもらわないといけない。
そういう意味で、「自分がどれだけ貢献できたか/足を引っ張ったかが、ある程度ゲームに慣れないと分からない」というこのデザインは、一つの理想だと思うわけです。
ちなみに、スプラプレイヤーの皆さん、「リザルト画面の見方」ってどこで覚えましたか?
この画面、塗りポイントにキル数にデス数にサポート数が人数分と、結構情報量多くって複雑なんですけど、実は「通常の導線では、リザルト画面の見方についてのチュートリアルが存在しない」んですよね。キャラクター作り直して確認しました。
操作方法やらショップの機能やら、これだけ親切にチュートリアルが表示されるのに、対戦ゲームではかなり重要そうな「リザルト」の見方が一切説明されない。長女次女に聞いてみても、キルデスは知ってましたがサポートの意味は分かってませんでした。関係ないですが、「向きを戻すにはYボタン」ってことあるごとに言ってくれるのマジで有能。
ゲーム中でも言ってますが、「習うより慣れろ」の精神。「2」ではキルデス数自体が表示されなかったんですが、今回はキルデスまでは表示しつつ、細かい情報についてはある程度慣れたあと自分で調べてね、というこれまたスプラトゥーンの一つのスタンスなのではないかと思います。
もう一つ重要なところとして、「システムが非常に褒め上手」という点が挙げられます。
今回、リザルト画面で「表彰」が表示されるんですが、これ、どんなにコテンパンにされていても、行動さえしていれば大体何かしら表示されるんですよ。
例えば「注目された時間No.1」とか「味方のジャンプ先No.1」とか、「冷静に考えるとそれは自慢になるのか?」といった表彰もあるんですけど、それでもまあ褒めてもらえるのはシンプルにうれしいし、なんだか「負けたは負けたけど何か成し遂げた」という気分になれる。
「意味が分かってくると素直に喜べないものもある」という点で、これまた「初心者のうちの敗北ストレス軽減」に貢献していると思います。もちろん、「トドメ数No.1」あたりがとれると、それはそれでとてもうれしい。
ちなみに今回、「負けBGM」「負け画面」というもの自体が存在しない、というのも、これまた指摘しておきたい点でして、リザルトでは例外なく「勝ったチームのメンバー」が表示されるんですよね。
これも、慣れた人からは「自分を負かした相手が喜んでいるのをいちいち見せつけられるのがイヤ」という声も聞くんですが、初心者の私としては、あんまりそういう受け止め方をしていなかったんですよ。なぜかというと、「自分が誰に倒されたのか」というのもそこまできちんと把握できているわけではなく、個別のイカを「自分を負かした憎い相手」とは認識していないから。
かわいいイカたちがぴょんぴょん喜んでいるところを眺めながら、自分はそこそこ活躍した気分でいられるという、これまた一つの「不慣れなうちのストレス軽減」として動作しているんじゃないかなあ、と。そんな風に考えるわけです。
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