水川あさみ「前田敦子のかっこよさを知った」 子育てに悩むカップル演じる「モダンラブ・東京」インタビュー(1/2 ページ)
「パートナーが女性という点も、とりわけ何か説明するわけではなく当たり前にストーリーに組み込まれている」愛についての物語。
東京の街を舞台に現代の愛を描くAmazon Originalドラマ「モダンラブ・東京〜さまざまな愛の形〜」が、10月21日からPrime Videoで配信を開始。1話完結のオムニバス形式で、マッチングアプリの出会いやセックスレス、シニアラブや国境を越えた愛など、21世紀らしいトピックを扱った全7話で構成されています。
同作のオリジナルは2019年から現在まで2シーズンが製作された米版で、『ニューヨーク・タイムズ』紙に掲載されたコラムを基に、愛にまつわる物語を描いたオムニバスドラマ。日本版第1話「息子の授乳、そしていくつかの不満」には、水川あさみさんと前田敦子さんが出演しています。
二人は同性カップルを演じていますが、主に描かれるのは幼い子どもを働きながら育てる母親としての葛藤という普遍的なテーマ。日本出身でハリウッド帰りの経歴を持つ平柳敦子監督の演出や脚本の特徴を、主演の水川さんは「余白の多い作品」だと評しています。ねとらぼエンタでは、水川さんと前田さんにインタビュー。撮影での苦労話やお互いの印象を聞きました。
「芝居をするな」「顔を動かすな」 存在と空気を創る演出
―― 水川さんご自身も“余白が多い”と表現された物語。最近は倍速視聴を意識してか説明的なせりふばかりで構成される作品も多く感じる中、珍しいと感じるほど情報量が少ないという印象でした。演者としてはどうだったのでしょうか?
水川あさみ(以下、水川) 私が演じる真莉という役が、どうしてこの仕事に就き、パートナーの彩とはどう出会ったのか、ストーリーの表に出ないけれど演じる上で必要な背景を監督からいただいていました。
何か大きな事件が起きるようなお話ではないところがいい。パートナーが同性という点もとりわけ何か説明するわけではなく当たり前にストーリーに組み込まれている。
そういうナチュラルな展開の仕方も私がこの作品に引かれた理由です。言葉で説明する場面が少なくて、空気感や相手との温度が作品に出るのかな。
前田敦子(以下、前田) 私の役はどちらかというと俯瞰(ふかん)で家族を見守る役柄。言葉も少ないですし、雰囲気や空気感は意識した方がいいなと思いながら淡々とやっていました。
限られた時間の中で、シーンごとに切り替えていく水川さんを「すばらしいな、さすがだな」とただただ見守るばかりでした。
監督は空気感から作るのを大切にしている方で、撮影という感じじゃなかったですね。みんなでボソボソとしゃべる感じ。
水川 私はとにかく監督から「芝居するな」「芝居するな」と言われて大変でした……。
最初のうちは、それがすごく難しくて捉えるまでに時間がかかった。とにかく監督は「ここに存在する」と言いたかったんだと思います。だけど“表現する”となると、存在することに付け加えちゃうというか、どうしても何かをプラスしてしまう。それをなくしてほしいという演出方法が新しくて、悩みはしましたがとてもいい経験でした。
―― 芝居をしない……キャリアが長いからこその苦労があった?
水川 「表現するな」と監督から演出されるうちに、「顔を動かさないで」というのもありましたね(笑)。
前田 言われてましたね。動くなって。
水川 「能面だと思って芝居しろ」って監督から言われて。自分が思っているより私は表情が豊かだから、ひとつのせりふに気持ちを込めすぎていると。初めての演出だし、ゼロにする作業が大変で。帰宅するだけのシーンを何回も何回も撮り直すたびに、「頑張れ、頑張れ」と監督に励ましてもらって……。
前田 監督、諦めないですもんね。「もう1回!」「もう1回!」って。で、「何がダメなんだろう……」と。
水川 「わかんないよー!」って思いながらやっていました(笑)。
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