目指すは「90年代の“週刊少年漫画”」 漫画アプリ「サイコミ」ブラウザ版がリニューアル、編集長に聞くその狙い(2/2 ページ)

» 2023年01月31日 19時30分 公開
[たけしな竜美ねとらぼ]
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まず「少年漫画」をしっかり作る

――サイコミを開いたら「まずはこれを読んでほしい」という、おすすめの作品があれば教えてください。

葛西 ……全部ですね(笑)。作家さんと編集部で力を合わせて、全ての漫画を最高に面白い作品に仕上げていますので。

 とはいえ、全ての漫画を読むのは時間的にも難しいでしょうし、人によって好みのジャンルや好きな絵柄などあるかと思います。まずは新連載や作品一覧を見ていただいて、ピンと来たものを読んでみていただければと思っています。

――サイコミのヒット作としては、バトルものの『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』や、特に女性読者からの支持も厚い『明日、私は誰かのカノジョ』など、作風が幅広いイメージがあります。特に力を入れているジャンルはありますか。

葛西 どんなジャンルでも面白い漫画なら載せたいと思っています。それが前提とはなりますが、まず「少年漫画」をしっかり作る、という方針はあります。今後もバトルやスポーツなど、少年漫画作品は育てていきたいと思っています。とはいえ先ほども申し上げました通り、特定ジャンルに「だけ」力を入れたいとは思っていないので、最重要課題である「大ヒットIPを生み出す」ために、最終的にはどんなジャンルでも大ヒットを送り出していきたいです。

『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』

TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには

“最強”を求めた者が必ず行きつく人物。 その名は「TSUYOSHI」。 「最強」ということ以外、謎に包まれた彼は一体何者なのか――!?「川島・山内のマンガ沼」(読売テレビ)や「アメトーーク」(テレビ朝日)でもおすすめ作品として紹介。コミックスの累計発行部数は200万部を突破。


『明日、私は誰かのカノジョ』

明日、私は誰かのカノジョ

「一週間に一回、私は【誰か】の彼女になる」彼女代行として日々お金を稼ぐ女子大生と彼女に魅せられた男達の、恋愛のリアルを描くビターラブストーリー。第68回(2022年度)小学館漫画賞の少女向け部門にて受賞作品に選ばれた。また、2022年4月にTVドラマが放送。コミックスの累計発行部数は500万部を突破。



サイコミ編集部について

――新たな才能の発掘はどのように行っているのでしょうか。

葛西 作品を投稿していただく「サイコミ漫画賞」を開催しています。寄せられる作品は非常にレベルが高く、魅力的なものが多いので、審査の際には編集部一同で頭を悩ませつつ、うれしい悲鳴を上げています。

――SNSなどもチェックされていますか。

葛西  もちろん、SNSやWebもチェックしていますし、そこからお声がけもさせていただいています。そこは他の媒体さんとあまり大差はないのかな、と思います。

――サイコミでの連載を狙っている人へのアドバイスなどがあればお願いします。

葛西 特に伝えたいのは、サイコミは最初から連載を狙っていけるという点でしょうか。例えば賞を取って担当がついたら、「まずは読み切りを描きましょうか」ではなく、面白そうで売れそうな作品ができれば、すぐに連載開始となります。連載枠が空くまでの順番待ちもありません。

 また、それまで連載経験のない作家さんの連載が非常に多いです。これは特筆すべきことだと感じていますし、「サイコミ」ならではだと思いますね。デビューでいきなり週刊連載、ということで尻込みされてしまう作家さんもいるとは思いますし、実際週刊連載は非常に大変なのですが、編集部一同で親身にサポートいたしますし、われわれの持つノウハウやテクニックをしっかりとお伝えします。安心してサイコミの門をたたいていただければと思います。

――原稿料などに関する取り組みについてはいかがでしょうか。

葛西 「週刊連載という大きな負担に見合う原稿料」となっております。またアプリ内課金や書籍などの印税をお支払いしています。

 十分な報酬、万全のサポート体制、打ち合わせの濃密さなど、さまざまなアプローチで、作家さんにとってよい環境を整えています。

――編集部の雰囲気についても聞かせてください

葛西 編集部に来ていただくと分かるんですが、打ち合わせが活発です。打ち合わせブースも編集部の隣に机がドンと置いてあって、風通しがとても良いですね。最初はオープンな場で発言するのは緊張するんですけど、結局、最後は編集部みんなで見る作品ですし、そこは気にせず作っていこうと。

――最後に、あらためてサイコミが目指すかたちを教えてください。

葛西 先ほどもまずは「少年漫画」をしっかり作る、と申し上げましたが、目標は20〜30年前の“週刊少年漫画”です。『ドラゴンボール』は今でも新作映画やゲームがたくさん出ていて、どれもヒットしていますよね。まさにサイコミが目標とする「10年後、20年後にも残って読まれ続けている、大きなオリジナルIPコンテンツ」です。

 われわれは常に、最高に面白い作品を作り出していこう、と考えています。そんな熱量のある作品をアプリやWebで体現していきたいと思っていますので、今後ともサイコミをよろしくお願いいたします。

記事・取材:たけしな竜美(@t23_tksn



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