朝ドラで話題の「万葉集」、情熱的な恋の歌に心を打たれた結果…… 人生を救われたエッセイ漫画に「勉強って面白い」(1/2 ページ)

知れば知るほどおもしろい。

» 2023年02月23日 13時25分 公開
[なびねとらぼ]

 学生時代に万葉集と出会い、感銘を受け人生の支えとしている人のエッセイ漫画がドラマチックだとTwitterで注目を集めています。投稿へは記事執筆時点で6200件以上のいいねが寄せられました。

万葉集のすばらしさを描いた漫画 遠距離恋愛中に出会った万葉集

 漫画を描いたのは、たぬポンド(@tan_uk_ijiru)さん。数年前に投稿した「夫とのなれ初め(と見せかけて違う)漫画」で描いた狭野茅上娘子の歌が、NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」で本歌取り(有名な古歌の一節を自作に取り入れる作歌法)されたことで再び注目を集めたため、ブラッシュアップして再投稿したといいます。

万葉集のすばらしさを描いた漫画 大好きな彼が海外留学に行ってしまい……

 これは、たぬポンドさんが大学生のころのこと。相手の事を考えるだけで指先がぎゅっと冷たくなるほどの恋が実ったものの、結ばれた直後に彼が海外留学へ行くことになり、遠距離恋愛になってしまったたぬポンドさん。抜け殻のような日々に出会ったのが、狭野茅上娘子のある歌だったのです。

万葉集のすばらしさを描いた漫画 歌を聞いて衝撃が走ったたぬポンドさん
万葉集のすばらしさを描いた漫画 歌の意味を知る前から胸に刺さったそうです

 机に顔を伏せ、ぼんやりしながら大学の講義を受けていたたぬポンドさん。先生が「君がいく 道の長手を繰り畳ね 焼き滅ぼさむ 天の火もがも」と詠んだとき、たぬポンドさんに衝撃が走りました。

 この歌は、狭野茅上娘子が流刑になる夫へ詠んだ「あなたが行く長い道のりを手操って、折り畳んで、焼き滅ぼしてしまう。そんな天の火が私は欲しい」という意味の歌。先生は「まぁ遠距離恋愛の歌だね」と続けますが、たぬポンドさんは意味を理解するよりも先にこの歌が心に刺さってきたといいます。

 古い時代に詠まれた歌にもかかわらず「未来を手繰り寄せて折りたたんで燃やす」という情熱的で面白い発想が詰まったこの歌と自身の境遇が重なり、「わかりみが深い……!」と感銘を受けたのでした。

万葉集のすばらしさを描いた漫画 先生に興味が湧いたことを伝えます

 授業後、先生へ歌に興味が湧いたことを伝え、いくつか質問をすると、先生はうれしそうに「僕はいつもね、質問に来る学生を『来むといふも 来ぬ時あるを 来じといふを 来むとは待たじ 来じといふものを』っていう気持ちで待っててね……」と、自身の思いを大伴坂上郎女の歌に例えて語り出しました。

万葉集のすばらしさを描いた漫画 先生が万葉集について教えてくれました

 これは「来ると言いながら来ない時もあるのに、来ないと言っているものを来るかもしれないだなんて待つのはもうやめよう。今日は来ないと言っているのだから……」という意味の恋の歌。先生は学生たちが質問に来ると言っても結局来ない日がある自身の境遇をあてはめていましたが、たぬポンドさんの恋愛にも重なります。思わず共感のあまり「わかる……!」と天を仰いでしまうのでした。

万葉集のすばらしさを描いた漫画 万葉集は全部で4536首あるそうです

 先生は万葉集には全部で4536首あり、そのうち大伴坂上郎女の歌は84首残っていることや、ウナギや腋毛などユニークなテーマの歌もあることを教えてくれました。万葉集、奥が深すぎる……!

万葉集のすばらしさを描いた漫画 先生、スカウトに大成功!

 先生が瞳を輝かせて「万葉集は本当に魅力あふれるものです、たくさん読んでもっと好きになってね」と言うと、万葉集に感銘を受けたたぬポンドさんもキラキラの瞳で「先生の万葉集やれるゼミに入信します」と、ゼミを即決したのでした。

 こうして万葉集と出会い、今なお人生の支えとしているというたぬポンドさん。その後、帰国した彼に自分からプロポーズをしてめでたく結婚したといいます。万葉集の歌と同じくらいの情熱的なハッピーエンドですね!

 漫画には「こういう世界が見えてくるから、勉強って面白いです」「万葉集面白そう……ってなった」と興味を引かれたという声や、「万葉集、そう、古くても今の時代の私たちにもわかる恋心が書いてあるんですよね〜!」「大好きな歌が、こんなすてきなマンガになっている」と反響が多数寄せられています。

 たぬポンドさんのTwitterアカウント(@tan_uk_ijiru)では、この他にも日々の生活や育児にまつわるさまざまなエッセイ漫画を公開中です。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/11/news033.jpg 妻「“157センチ、43キロが理想”と言う夫に、かわいいと言われたい」→プロに依頼したら…… 「エグッ!」「黒木瞳さんかと」
  2. /nl/articles/2502/11/news078.jpg “スーパーお嬢様”の現役モデル、実家で「総額3億円の15台の車」を所持 “18歳の時にもらった車”に驚きの声も
  3. /nl/articles/2502/10/news155.jpg 実家の間取り「5LLLLDKKBB」の超豪邸 “異次元お嬢様”が話題 専属使用人は「世界最強の兵士」で香取慎吾ら驚がく
  4. /nl/articles/2502/11/news025.jpg ←夫に出すやつ 自分で食べるやつ→ 目を疑うレベルの“落差”に爆笑「わ〜おw」「なんかとんでもないのいた」
  5. /nl/articles/2502/08/news015.jpg パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  6. /nl/articles/2502/09/news027.jpg マインクラフトで作った“超有名ゲームでおなじみの場所” 2カ月かけて建築した大傑作に絶賛「背景まで……」「全部ブロックだ!」
  7. /nl/articles/2502/11/news012.jpg 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  8. /nl/articles/2502/11/news044.jpg クラシック奏者「加工して絶世の美女にして」とAIに依頼→“とんでもない事故”になってしまい思わず二度見 「怖くて泣いた」
  9. /nl/articles/2502/11/news040.jpg 自衛隊で“ネットミームまみれの張り紙”が目撃され約1000万表示の反響 見覚えあるポーズに「めっちゃ笑った」「おもろすぎるww」
  10. /nl/articles/2502/11/news013.jpg フロッピーディスクに記録する大昔のデジカメ、30年後の今使ってみると…… 驚きの結果に反響「当時めっちゃ気になってた」「カッコ良すぎる」
先週の総合アクセスTOP10
  1. パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  2. 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
  3. 14歳のとき、親友の兄と付き合うことになった女性→13年後…… “まさかの結末”に「韓国ドラマみたい」【海外】
  4. リンゴを1年間、水の中で放置→顕微鏡で見てみたら…… 衝撃の実験結果に「これはすごい」「息をのみました」【海外】
  5. 海釣り中、黒猫に「ちょっと来い」と呼び出された釣り人 → 付いて行くと…… 運命のような保護から2年、飼い主に話を聞いた
  6. “駐車場2台分”の土地に、建築家の夫が家を建てたら…… “とんでもない空間”に驚き「すごい。流行る」
  7. 「なんだこの暗号は……」 マクドナルドの“大人だけが読めるメッセージ”が410万表示「懐かしい〜」「読める人同世代w」
  8. 着陸する戦闘機を撮ったはずが…… タイミングが絶妙すぎる1枚に「一部の専門家には貴重な一枚」 投稿者に話を聞いた
  9. ズボラ母が5人分サンドイッチを爆速で作ったら…… 目からウロコの時短テクと美しい仕上がりに「信じられない」
  10. 【今日の計算】「7−2×0+9」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議