タワマン高層階ではご飯がおいしく炊けない? ネットのジョークに「長野県民にケンカ売ってんのか」とツッコミ 実際どうか炊飯器メーカーに聞いた(1/2 ページ)

居住地域の高さによって炊け具合に差は出るのか、象印に聞いてみました。

» 2023年03月03日 19時30分 公開
[沓澤真二ねとらぼ]

 「タワーマンションの高層階は気圧が低いため、お米がうまく炊けない」とする、一時期ネットではやったジョークが、近ごろあらためて話題を呼んでいます。200メートル程度の高さで炊飯がうまくいかないのであれば、平均標高1132メートルの長野県はどうなるのかと。

タワマン文学 長野県と日本最高のタワマン、高さを比べてみるとなんだかシュール(画像提供:おもしろ地理さん) ※画像の「247メートル」は虎ノ門ヒルズ森タワーの高さ

 このジョークは、2021年ごろにTwitterで注目を集めた創作文「タワマン文学」に由来するもの。一連のツイートの中に、高層階の住人が「気圧が低くておいしく炊けない」と、自虐風の自慢で低層階の住人にマウントをとるくだりがあったのです。

 高山で飯ごう炊さんをする場合、気圧の低下に伴って沸点も下がり、普通に炊くとお米が生煮えになってしまいます。この有名な現象が妙な納得感をもたらしたこともあって、「タワマン高層階でお米炊くとおいしくない論法」は当時多くの関心を集めました。

 そして2023年、このジョークについてあらためて言及したのが、地理ネタを取り扱うYouTuberのおもしろ地理(@omoshirochiriYouTube)さん。長野県の平均標高と、日本最高のタワマンを比較し、「長野県民にケンカ売ってんのか」とツイートしたところ、広く拡散されました。

 リプライでは「うちは東京スカイツリーと同じくらい高い場所だけどおいしく炊けてる」「標高980メートルあたりに住んでいますが、ご飯は毎日おいしいです」など、長野県民からのツッコミが多数。その一方で、「実際に数百メートルの標高差でお米の味に変化は出るのだろうか」といった疑問も上がっています。

 そこで、編集部は大手炊飯器メーカーの象印マホービンに、「タワーマンション高層階ほどの高さ(200〜250メートル)で炊飯器でご飯を炊く場合、地上で炊く場合と炊き上がりに違いはあるのでしょうか」と聞いてみました。すると回答は「差はありません」。差が出る可能性があるとすれば、「非圧力タイプの炊飯器で、標高1000メートル以上で炊いた場合」だそうです。高層階に住んだばかりにご飯がうまく炊けない人が、実在しなくてよかったよかった。

 象印の担当者は補足として、より詳しい話を聞かせてくれました。まず前提として、お米をおいしく炊くには「α化」という過程が必要で、実現には98度の温度を20分維持する必要があるとのこと。標高1000メートルでは沸点が97.76度まで下がるため、圧力機能がない炊飯器ではα化の条件が満たせないのだそうです。

 つまり「逆を言うと、高さが1000メートルを超えない限り、お米のおいしさが大きく変わることはございません」と、担当者。ちなみに、同社製の圧力IH炊飯ジャーの場合、1〜1.3気圧または1〜1.5気圧をかけて炊飯を行うため、1000メートル以上の高度でもα化の条件は満たせるそうです。

タワマン文学タワマン文学 象印マホービンの圧力IH炊飯ジャー「炎舞炊き」

画像提供:おもしろ地理(@omoshirochiriYouTube)さん

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