“おじさん構文LINE”遣隋使に皇帝が怒りの無言退会 虚構新聞版『歴史の教科書』話題に、誕生の経緯を聞いた(1/2 ページ)
学び直したくなるかも。
虚構新聞出版が制作中の非公認教科書が話題です。新たな視点で歴史を解釈し、学びやすいかもしれない工夫を凝らした内容に、約4万6000件のいいねが集まっています。
虚構新聞は、「実際にありそうで実は存在しない」をテーマにニュースを更新するサイト。しかし虚構新聞出版(@kyoko_pub)では、歴史の教科書の内容に沿った非公認教科書を本当に制作中です。
Twitterで話題になったのは、「虚構新聞出版『遣隋使』資料」です。「遣隋使の手紙」をLINEグループ風に表現し「日没する(日没絵文字)処の天子にメッセージを送るネ!!(キス絵文字)」「ナンチャッテ(汗絵文字)」と“おじさん構文”化。これを見た隋の皇帝が、無言でグループを退出することで怒りを表現しています。
歴史上の遣隋使の手紙は、国交を結ぼうとした聖徳太子が隋の皇帝に手紙を送ったというものですが、日本と隋が対等であると記されていたため、皇帝を怒らせてしまったとされています(参考)。
Twitterには「覚えやすいってか頭に残るなこれ」と評価する声や、「さすがに無礼すぎ」とネタとしての面白さにツッコミを入れる反応などが寄せられています。
では、一体なぜ虚構新聞が歴史の教科書を作ろうと思ったのか。虚構新聞社社主のUK(@Kyoko_UK)さんに話を聞きました。
――教科書を作ることになった経緯をお聞かせください
UKさん:「そろそろ虚構新聞以外の文筆活動をしたい」と思ったのがきっかけです。普段は中学生と関わる仕事をしていて、教科書に触れる機会が多いので、自作の教科書を作ろうと考えました。科目として「歴史」を選んだのは、某新聞社の系列会社が歴史教科書を作っているので、それにならいました。
自分一人で眺めて楽しむため、7年くらい前からちまちまと作っていたのですが、4月に「ほぼ日」のインタビューで教科書のことを話して画像を公開したら、「読みたい」という反響が思った以上にあったので、完成に向けて本格的に動き出すことにしました。
――→Twitterでは「デジタルネイティブな中学生にも親しみやすいよう」工夫を施しているとアピールされていましたが、具体的にどのような工夫をしたのでしょうか?
UKさん:そんなにご大層な話ではないですが、Twitterに載せた「おじさん構文の遣隋使国書」のように、ネット時代の視点から再構成した歴史資料は結構あります。教科書の本文も「神仏習合」に「フュージョン」のルビを当てるなど、今の言葉に置き換えて分かりやすくしています。初学者の中学生でも読んで楽しめる内容にしているつもりですが、実際には学生時代に歴史を勉強したことがある大人の方がより楽しめる本かもしれません。
――カバー範囲は何時代から何時代まででしょうか
UKさん:ひとまず今は古代(原始時代から平安時代)の完成を目指して作業中ですが、最終目標は当然現代までです。
――「当面は『新しい歴史』に専念」とのことですが、他にどのような構想がありますか
UKさん:詳しくはまだ話せませんが、「知と好奇心を養う書籍の発行」という理念に基づいて、文学関連の書籍制作も進めています。
文筆活動の幅を広げたい思いから始めたという非公認教科書の取り組み。「神仏習合」のルビが「フュージョン」とするなど、虚構新聞ならではのアクロバティックな情報の見せ方がなされそうです。ネット時代の視点から再構成した歴史資料を中心に、親しみやすい工夫を施しているという点がどのように表現されるか、期待が高まります。
画像提供:虚構新聞出版(@kyoko_pub)
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