「日本の住所のヤバさ」河野デジタル相の発言きっかけで話題に 表記統一は難しい? 地図会社に聞いた(1/2 ページ)

丁目や番地の区切り1つとっても、ハイフンだったり「の」だったり、いろいろ複雑で……。

» 2023年06月12日 16時59分 公開
[沓澤真二ねとらぼ]

 河野太郎デジタル相のテレビ番組での発言をきっかけに、Twitterでは「日本の住所表記(の不統一性)がヤバい」と話題を呼んでいます。表記を統一するのは難しいのか? 地図会社のゼンリンに聞きました。

当該の話題は動画の5:00ごろから

 きっかけとなったのは6月4日放送の、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」。番組では、マイナ保険証に誤って別人の情報がひも付けられるトラブルなど、マイナンバーカードにかかる諸問題が議題となりました。こうしたエラーについて「AIなどを活用して人が介在せず防ぐ方策は取れないのか」と問われ、河野大臣は「AIを活用するまでもなく、ふりがなが振られれば、名前の照合はできる。名前、生年月日、マイナンバー、これらがきちんと照合されれば誤登録はなくなる」としたうえで、住所の表記ゆれがネックになると答えました。

河野太郎 マイナ保険証に誤って別人の情報がひも付けられるトラブルについて回答する河野大臣(FNNプライムオンライン公式YouTubeより)

 その一例として挙げたのが、番地の表記。例えば「港区赤坂1−2−3」ならば「一丁目2の3」と書く人もいますし、ハイフンを半角にするか全角にするかも人それぞれです。こうした表記のばらつきについて、河野大臣は「将来的にはAIの技術を使って表記ゆれを判断することがあり得るかもしれない」としました。

 この発言は、Twitterで上がった「その程度の表記統一にAIを使うまでもない」「Excelで置換するだけでいいのでは」といった意見がきっかけで広く注目を集めることに。確かに、番地等の区切りを統一するだけなら一括で処理するのも簡単そうに思えます。

 しかし、こうした声に対し、「住所の正規化(データベースとして扱えるよう、一定のルールに基づいて整理すること)は容易なものではない」といった反論が多数上がり、話題はさらに拡大。京都の「河原町通三条下る二丁目山崎町」といった複雑な表記や、市町村合併や区画整理の結果、同じ場所でも複数の住所コードが発生している地域など、イレギュラーな事例が次々と挙げられました。そもそも最初に例示されたハイフン自体、「―(ダッシュ)」や「─(けい線)」など類似の文字が混同されることもありますしね……。

 そんななか、地図製作に携わるinuroさんのnote「とにかく日本の住所のヤバさをもっと知るべきだと思います」も話題に。この騒動の原因を、「いつまで経っても解消されない、解決が困難な課題である」「その困難さが界隈(かいわい)以外に共有されていない」と述べつつ、複雑な日本の住所システムについて紹介しています。

 例えば、「○○市XX町1丁目」といった何となく一般的に見える表記のパターンにも、「静岡県下田市2-4-26(下田郵便局)」のように、市の直下に丁目があるといった例外があるとのこと。また、「埼玉県春日部市八丁目」の「八丁目」は意味合いとしては「固有名詞」で、「1〜7丁目は存在しない」というワナもあるそうです。

 ほかにも、「大阪市中央区上町A-○○」や「千葉県八街市八街○○番地」といった街区符号にアルファベットや「いろは」を使うケースや、「同じ番地に複数のビルが存在」など、日本の住所表記はイレギュラーだらけ。これらを一定のフォーマットに落とし込むのは難解で、AIの助けも必要そうに思えます。なんならAIも嫌がりそう。

 この難解な問題について、地図会社はどう取り組んでいるのか? ねとらぼ編集部はゼンリンを取材しました。


―― 正規化は難しいという意見が多いですが、地図会社としての意見をお願いします

ゼンリン 特定のリストの“記入・入力時のゆれ”による住所表記のゆれについては、ルールの作成や入力フォームによる制御、またチェックツールを使用してデータを補正する方法などで改善できることもあると考えます。

 その一方で、日本の住所の表現方法は多様であり、さまざまな住所表現が存在しています。また、近年変更された住所・所在地は自治体により明確に定義されていますが、昔ながらの住所は地名を由来としています。これにより、住所の表記のゆれや体系に一貫性がない状態が存在するため、正規化は容易ではないと考えています。

―― ゼンリンではどのような取り組みをしていますか?

ゼンリン 実際に使用されている住所表記を、調査スタッフが現地で確認することで、実態にあった住所データベースを当社独自の基準に基づき構築しています。

 その住所データベースを基に自治体や企業様がお持ちのリストの住所を最新の住所に変換する「データクレンジング」や、座標を付与する「ジオコーディング」などをサービスとして展開しています。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/10/news102.jpg 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  2. /nl/articles/2412/09/news188.jpg 結婚発表の高畑充希、「いつ恋」共演の有村架純と2ショット “プレートの文字”に注目するファンも「ただただ尊い」
  3. /nl/articles/2412/09/news077.jpg 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  4. /nl/articles/2412/09/news172.jpg 市川團十郎、亡妻・小林麻央さんが着用していた服を長女が着られるようになったと報告「よく似てる」 そっくりな姿を投稿
  5. /nl/articles/2412/10/news163.jpg 「えーー」「衝撃!」「食べれるんですか!?」 大沢たかお、“まさかの食事風景”にファンびっくり 「明日は雪かな」
  6. /nl/articles/2412/09/news049.jpg 道端で凍える野良子猫を保護→病院で安楽死を勧められるも…… 1年後の姿に感動「救ってくれてありがとう」【海外】
  7. /nl/articles/2411/05/news138.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  8. /nl/articles/2412/09/news063.jpg 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  9. /nl/articles/2412/10/news160.jpg 「マニアックすぎw」とざわつくも“1分で完売”の最新ガンプラ話題 「この令和の世に??」「珍しいヤツだから普通に欲しい」
  10. /nl/articles/2412/10/news032.jpg 黒留袖をざっくり切って大胆リメイクしたら…… 完成した“普段使いのオシャレアイテム”に「感動しました」「素敵!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」