これでバッチリ! 水辺を彩るハス・スイレン 見分け方

» 2023年07月08日 10時00分 公開
[日本気象協会 tenki.jp(http://www.tenki.jp/)]
Tenki.jp


ハス スイレン

 夏に水辺を彩る、ハスとスイレン。

 「水辺に咲く花」というざっくりとしたイメージで、同じようなものだと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 ハスとスイレン、似ているようで、実は、全然違うんです。

 今回は、ハスとスイレンの簡単な見分け方とそれぞれの特徴をご紹介。

ハスとスイレン 基本的な説明

 ハスとスイレンは、両方とも水辺の植物で、開花時期はハスは初夏から夏、スイレンは少し長くて秋まで。

 どちらもおおむね夏が見ごろです。

 ハスは、ハス科ハス属で、水面から葉を立ち上がらせる挺水(ていすい)植物。

 スイレンは、スイレン科スイレン属、浮葉(ふよう)性植物です。

 ハスは、仏様が座っている「蓮華座」に使われています。

 泥の中にあっても美しい花を咲かせるハスは、極楽浄土で咲いているとされ、仏教と深い関わりがあるようです。

 一方、スイレンは印象派の画家、モネの油絵で有名ですね。

 では、簡単な見分け方を紹介していきましょう。

ハスとスイレン 見分け方(1)「花の高さ」

ハス スイレン

 これからの時期は、花が咲いているので、花を見て見分けたいところですが、

 ハスの方が少し丸みがあり、スイレンの方がややシャープというくらいで、パッと見ではわかりづらいです。

 そこで「花の高さ」に注目してください。

 ハスは、水面よりも高いところ(1メートルくらい)のところに咲きます。

 都築の身長は160センチちよっとですが、それよりも高く2メートルくらいになるものもあります。

 スイレンは、水面に浮かんでいるように咲きます。

 一部、熱帯性のスイレンは、水面から少し高いところで咲くものもありますが、ハスほど高くはなりません。

注意! 花の観賞は「午前中」が必須条件

 ここで注意。花を観賞する場合は、午前中に!

 ハスもスイレンも午前7時から9時ごろに開いて午後は閉じてしまいます。

 朝に花が開いて、昼ごろに閉じるというのを、3〜4日ほど続けます。

 ハスは開花して4日目くらいには、開いた花びらが一枚ずつ散っていき、昼にはすべて散ってしまいます。

 中華料理でスープをすくうときに使う蓮華(れんげ)は、ハスの葉から散った花びらに見立てたという説もあるんですよ。

 スイレンの花も、多くは朝に咲いて昼に閉じるというのを繰り返し、3〜4日間ほど咲きます。

※熱帯性のスイレンの中には昼に咲くものや、夜に咲くものもあります。

 スイレンは、花びらが散ることはなく、そのまま水の中に沈んでいきます。

ハスとスイレン 見分け方(2)「葉っぱ」

 花が咲いていない時期でも、大丈夫。

 葉っぱでも見分けられます。

 春先は、ハスもスイレンも、水に浮かんでいる「浮き葉」なのですが、

 ハスは、成長すると「立ち葉」といわれる一本の茎から上にのびる葉っぱが出てきます。

 立ち葉は、立ってる葉と書くだけあって、水面から立ち上がっているように見えます。

ハス ハス「立ち葉」

 上の写真のように水面からスッと伸びている葉っぱがたくさんあったら、間違いなく「ハス」です。

 スイレンは、成長しても水に浮かんでいる「浮き葉」だけ。

 下の写真のように夏になっても水面に浮かんでいるような葉っぱしかなければ、スイレンです。

スイレン スイレン「浮き葉」

 葉っぱの形にも特徴があるんです。

 ハスは、全体的に丸い葉っぱです。

 スイレンも丸い形をしていますが、切れ込みがあるのが特徴です。

スイレン

 ところで、植物は、葉っぱにある「気孔(きこう)」で呼吸をしています。

 光合成で作った酸素や、根から吸った水分を水蒸気として気孔から外に出しています。

 スイレンの葉っぱは、水に浮いているため、表側は空気に触れていますが、裏側は水に接していて空気に触れていません。

 そのため、葉っぱの裏側には気孔がなく、気孔があるのは、表側だけです。

 それに対して、ハスの「立ち葉」は、水に接していません。

 ハスの立場からすると、水辺に生息している以上、立ち葉であってもいつ水や泥で気孔が塞がってしまってもおかしくない状態。

 そこで、ある工夫をしているのです。

ハス ロータス効果

 ハスの葉の表面には、めちゃくちゃ細かい(10マイクロメートルほど)突起があり、それがクッションのような役割をして水滴が直接葉っぱにくっつかないようになっています。

 さらに、突起からワックスのような成分がでているため、水をはじいているのです。

 これは「ロータス効果」といわれています。

 スイレンの葉は、雨が降って濡れても、ハスのように美しい雫はできません。

 スイレンが咲き終わったあとは、何も残りませんが、ハスが咲き終わったあとは、花托(かたく)が残ります。

 花托は、形がハチの巣に似ていることから「はちす」→「はす」となったとも言われています。

ハス

 上の写真の花の右側の緑色したものが「花托」です。

 花托は、「果托(かたく)」に変化し、「硬く」なります。

 「果托(花托)」は、乾燥させてドライフラワーとして、花屋さんや雑貨屋さんなどで販売されています。

ハス スイレン

 ハスもスイレンも土の中は地下茎でつながっています。

 食用のハスは、みなさんご存知「レンコン」です。

 レンコンは、「蓮田(はすだ)」という泥沼の中で育ちます。

 穴は、葉っぱつながっていて、穴を通して酸素を取り込んでいるのです。

 観賞用のハスも、レンコンと同じように穴が開いているのが特徴です。

 スイレンは、ワサビのような感じで、穴は開いてなくて、中身が詰まっています。

ハス スイレン

 いかがでしたか?

 今回は、混同しやすいハスとスイレンの簡単な見分け方のコツをご紹介しました。

 これからの季節、水辺で咲いているのを見かけたら、よ〜く観察してみてくださいね。

参考文献

  • 「古代蓮の里」ホームページ
  • 「日本蓮学会」ホームページ

関連リンク

読まれている記事

Copyright (C) 日本気象協会 All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/29/news009.jpg 高校生のときに出会った“同級生カップル”→「親に頼らん!」と必死に貯金して…… 19年後、現在の姿に反響
  2. /nl/articles/2501/31/news120.jpg 大野智さん巡る悪質“逮捕デマ”巡りSTARTO社が発信者情報開示請求 「株式会社嵐」代表は「一呼吸おいてよく考えて」と心境吐露 
  3. /nl/articles/2501/31/news085.jpg “自分を醜い”と感じてきた49歳女性が…… “別人級の大変身”に感動 「衝撃的だった」「信じられない」
  4. /nl/articles/2501/30/news026.jpg 普通の折り紙1枚を、パタパタ折っていくと…… プレゼントにぴったりな美しいアイテム完成に「すげぇつくりたい」「かわいい」
  5. /nl/articles/2501/31/news185.jpg 大谷翔平、“消防士たちとの5枚のショット”に反響 「どの消防士より屈強」「これは期待の新人」
  6. /nl/articles/2501/31/news014.jpg 手芸で余った大量のハギレ → あまさず活用する“驚きの方法”に反響 「ナイスアイデア」「考えたこともなかった」
  7. /nl/articles/2501/31/news050.jpg 「許されると思ってんの?」 スマホのアラームを設定→翌朝…… “絶望の通知内容”が430万表示 「ほんとこれ」
  8. /nl/articles/2501/30/news047.jpg 「死ぬほど笑ったw」 “ほろよい”限定デザイン → 人気ゲームの“例のロゴ”に見えると話題に まさかの公式も反応「ほろよい うま」 投稿者に話を聞いた
  9. /nl/articles/2501/31/news019.jpg “部屋が汚すぎて”彼氏に振られた女性→1人孤独に片付けを続け、600日後…… まさかの光景に「感動しました」
  10. /nl/articles/2412/09/news077.jpg 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
先週の総合アクセスTOP10
  1. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  2. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  3. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議
  4. スーパーで買った半玉キャベツの芯を植え、5カ月育てたら…… 農家も驚く想像以上の結末が1300万再生「凄い」「感動した」
  5. 東京藝大卒業生が油性マジックでサンタを描いたら? 10分で完成したとんでもない力作に「脱帽です」「本当にすごい人」
  6. 定年退職の日、妻に感謝のライン → 返ってきた“言葉”が約200万表示 大反響から7カ月たった“現在の生活”を聞いた
  7. 【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
  8. 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
  9. 「すんごい笑った」 “干支を覚えにくい原因”を視覚化したイラストが勢いありすぎで1700万表示の人気 「確かにリズム全然違う!」
  10. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議