元「メロン記念日」大谷雅恵がOGとして現役メンバーに伝えたいこと「私が言っていいのかな?」 ハロプロ25周年参加の可能性も聞いてみた(2/2 ページ)
「アンチコメントって関心の1つ」 SNSとの向き合い方
―― メロン記念日として活動していた時期との大きな違いとして、SNSの存在が挙げられます。アイドル時代にSNSがあったらと思うことはありますか?
大谷 なくてよかった派です。当時はブログだけだったんですけど、メンバーの性格的にも頻繁に更新したがり一番熱が高いのはきっと私だったはず。その当時からSNSがあったら「大谷ばっかり」ってウザがられていたと予想できるし、反論しちゃってもめそう。当時は聞かなくていい言葉とか見なくていいことからも会社が守ってくれていたので。
―― 大人になった今はどうでしょう?
大谷 いいものだと思えてます。個人に任せられているものなのでいつでも発信できる。あとは「書いたらちゃんと責任持てよ」ってかみしめながら打ってます。
―― 事務所チェックとかはなく?
大谷 ないですね。ぽーんと、私が。
マネジャー そこは自由にやってもらった方が面白いかなっていうだけですね。うそをついてもしょうがないので。
―― 先日はInstagramでご自身への誹謗(ひぼう)中傷について「ナンセンス」と呼びかける投稿もありました。
大谷 今はいろんな意味で吹っ切れている状態です。アンチコメントはずっとついて回るものだとしても、どこかでくぎを刺さないといけない。「だったらSNSやめれば?」という声も飛んでくるんですけど、そうじゃないですよね。「何でこっちがやめなきゃいけないんだ」って強い気持ちでいなきゃって、自分のコメントを見てより強く感じました。
ただアンチコメントも関心の1つじゃないですか。良い意見も、悪い意見も、見方を変えれば私のことを応援していると思う。何も言われなくなったら終わりだし、まだこれだけ見ている人がいると思うと一気に方向性を変えるチャンスとも捉えられますよね。
これからはテレビにも進出していきたい。いろいろあったけど今こんなに幸せです、ハッピーな人生を送れていますという自分を見せたいです。
―― 発想の転換ですね。エゴサーチは結構する方ですか?
大谷 しますね、だから嫌なコメントも見えちゃう。友たちで芸人のエハラマサヒロくんも心配してくれて「そういうことをするから喜んじゃうんだよ」って。エハラくん自身も炎上と無縁ではなくて、それでも強いから発信を続けていると思うし、燃えても「何か言われると思っていた」って。
私も書きながら「絶対これは何か言われるな」って思うことはあるんです。でも思っていることは書きたいし、じっと我慢しているのもつらい。思ったことはその時に発信して、いいコメントが来たらうれしいし、そうじゃない人がいても「そうだよね」って振り分けてやっていくスタイルを変えるつもりはありません。
―― 先日はInstagramで、恋人の存在を公表しました。ネイルのお仕事や気持ちのアップダウンを含め、プライベートもオープンにされていますね。(※インタビューは6月末)
大谷 今は恋愛系も含めて、プライベートなことも「自分は今こんな状態です」って出していこうと思っています。隠さなきゃいけないことは隠して相手を守りつつ。2022年まで結婚願望なんて全然なかったので、SNSで恋愛の話をすることなんてもちろんなかったんです。活動報告とか告知くらいだったんですけど、なぜか2023年から「パートナーがほしい」って思うようになって。
―― そもそもアイドルって基本的に、恋愛禁止という印象です。
大谷 でもメロン記念日って、割と自由だったんですよ。「分かってるよな」「別にいいんだよ、でも応援してくれてる人のこと考えて生活しろよ」と。大人だったので※事務所もあんまり厳しくなかったですね。
実際にメロンはみんな大人しくて夜遊びなんて全然せず、クラブなんかにも行かず、お仕事が終わったらそれぞれご飯行ったり、私は村田めぐみちゃんとカフェ行ったりしていました。
※解散時の「メロン記念日」メンバー平均年齢は27.75歳
―― 一般の会社員みたいですね。いい意味で芸能人感がない。
大谷 よく言われていました(笑)。
―― お聞かせいただける範囲で、お付き合いされている方のお話を聞かせてください。
大谷 本当に普通の会社員です。知り合いの紹介で出会ったんですけど地元がどっちも北海道で、その共通点が一番大きいかな。年は私より下なんですけどすごくしっかりしていて、私の過去も知った上で付き合ってくれています。
私の金銭面の弱さも含めて「この先の楽しいことも、過去につらかったこと、今つらいことも2人で分け合っていきたいから気にしないで」とすごく助けてくれるから、「裏に何かあるんじゃないか?」って心配なくらい(笑)。こんなに優しい人いるはずがないと思ってるんですけど、もし何かの詐欺だとしても向こうにメリットはないなって、ちゃんと現実を見て信じるようにしています。
彼はもともと私がアイドルだったって知らなくて、今YouTubeでいろんな動画を見てくれているんです。ちょっと恥ずかしい。今の私とは全然違うから「本当に同じ人?」みたいな感じ。曲を覚えてくれてますがカラオケで「歌って」って頼まれても恥ずかしいから断ります。
―― のろけられてしまった。すごくすてきな関係ですね。
大谷 そうですね。今は私が助けてもらってばかりなのでもっと恩返ししたい。ネイルのお仕事のペースはこのままで、もっと体力と気力をつけて芸能にもパワーを入れていくことで、何かきっかけを作りたい。今ひらめいていないことで何かできるかも。
動き出しそうな案件もあるんです。きっと面白くなる。うまくウケたら日本だけじゃなくて世界的に見てもらえる。それはメロンに関わっていたりして……詳しくはまだ話せないけど。
「困っていると言いづらい環境をちょっとでも柔らかく」 経済問題、メンタルヘルスも全部オープンにする理由
―― メロン記念日の解散当時に描いていた将来像は?
大谷 もともと平家みちよさんに憧れてオーディションを受けたので、ソロアーティストとしてデビューしたいと思っていました。それがメロン記念日としてアイドルの道に変わったので、与えられた運命だと活動して10年間、自分たちでここまでと決めて走り切った。次は何をしようと思った時に、“1人で武道館に立つ”という夢がまだ残っていたのでそこからまたスタートしました。もう13年たっちゃいましたけど。
コロナも挟んだし今は音楽活動が全然できていないけど、何をきっかけに見てもらえる機会が増えるか分からないじゃないですか。今私が歌に集中したところで人がたくさん集まるかといえば違う気はしていて、もっと経験が必要だなと思っています。それはネイルとかお仕事なのか、もっと歌手としての技術を高めることなのか、今動き出そうとしている案件が成功することなのか分からないけど。
今は“アーティスト大谷雅恵”の顔が負けていて、見てもらえてもバックグラウンドや過去が気になるようじゃ、やってきたことが無駄になっちゃう。どこからチャンスが巡ってくるか分からないですけど歌プラス何かだと思うんですよね。その“何か”を今探してます。
―― そういう意味では生活保護、自己破産と歌とは別のプライベートな側面を自分から打ち明けるにはすごく勇気が必要だったと想像します。それでも自分からオープンにしたことへ後悔はないんでしょうか?
大谷 ないですね。私も職業が違うだけで、皆さんと変わらない生活をしています。お給料をもらって、そこからお金を払って……と。それが崩れちゃってメンタルもやられてしまった時に職業は関係ない。どうせなら発信できる立場として、私が公表することで困っていると言いづらい環境をちょっとでも柔らかくしたいと思いました。
生活保護受給者に話を聞く機会って、なかなかないと思うんです。外から見て分からないし本人も言わないだろうから。ネット上の話も、どこまで本当か分からないし生の声を届けたいと打ち明けてみたら反応はバラバラでした。
「自分も大変でした。でも抜け出せた方を見て勇気が出ました」という方もいれば、全く反対の「人のお金で生活して」みたいな言い方をする人もいる。ずっと変わらないものかもしれないけど、表に出る立場として体験を話すことで何かが変わったらと私は言うことにしてます。
―― メンタルの病気の話もオープンにしてらっしゃるのは、同じような理由からですか?
大谷 そうですね。韓国のアイドルを見ていると、鬱になったとオープンにして休業する方が多くて、公表は当たり前なんだと感じます。でも日本はまだ隠すことが多いじゃないですか。昔は体調不良っていう言葉だけでお休みして、後になって「実は……」という人もいれば、そのまま触れずに終わる人もいた。
それでいい人もいるけど、私は人と分かち合いたい。心を病む人も年々増えていると思うし、病気でもこれくらいの生活はできていて、病気だからといって閉じこもることはないと伝えていきたい。
今まで我慢、我慢で生きてきたから爆発しちゃった。だから言わなきゃダメなんだなと思ったんですよね。その時の感情というか考えていることを出していく方が性に合っている。溜め込んで溜め込んで爆発するんだったらちょこちょこ発散していく方が自分のメンタルにはいいといいますか。
―― 考え方を変化させたことで、周囲の関係は変わりましたか?
大谷 いいことも、悪いこともあります。家族に迷惑が掛かるのは一番嫌で、私が発信したことについて「雅恵ちゃん大丈夫?」と家族に聞くのはちょっと。心配してくれているのは分かるんですけど大丈夫だから発信してます。私が発信していない時の方がやばいと思って。最近何もないなって思ったらメンタルが弱ってる時です。
―― なるほど、便りのないのは良い便りではないんですね。
大谷 逆ですね。出てるからには大丈夫。そう思っておいてください。
「私が言っていいのかな?」 ハロプロOGとして伝えたいこと
―― 今のハロプロのメンバーはご覧になっていますか?
大谷 たまにテレ東の深夜番組で見たり※、カバーしてくれたよって教えてもらったりした時に。モーニング(娘。'23)だったらふくちゃん(譜久村聖リーダー)とか、(牧野)真莉愛ちゃんをフォローして活動をチェックしています。
※「ハロドリ。」テレビ東京系列で放送中のハロー!プロジェクト密着番組
―― OGの立場から現役メンバーに、アイドルではなくなった時にどうするのか、大谷さんから伝えたいことはありますか?
大谷 私が言っていいのかな? 大きなグループで活動していると特に、ぽっと1人になった時、寂しさが敵になるというか、プレッシャーのかかり具合がまた変わってくるんですよね。それを楽と感じるか「1人だけでステージ立ったらこんなに寂しいものなんだ」と思うかはスタートしてみなきゃ分からないんですけど、絶対に本当のファンの方は支えてくれるのでそこだけは本当に信頼していいと思います。
―― それは実体験からでしょうか?
大谷 ソロになると、どれだけの方が来てくれるのか数字でバッチリ見えちゃう。ライブも舞台も「迷惑かけたくない」「主催の方にがっかりされたくない」と思いながら仕事していました。でもなんとか大丈夫だったので!
フリーランスの時期には自分で考えて発信したり、曲も昔お世話になった方と一緒に自主制作したり大変だったんですけど、ちゃんと事務所がついてるんだったら大丈夫。甘えすぎず自分からやりたいことを逐一伝えて形にできたら、グループの時にはできなかったもっと楽しい活動ができるんじゃないかな。
プロデュースされて光る子と、自分発信で光る子がいる。4人しかいないメロンでもジャンルはそれぞれあったので、自分がソロになった時に何がやりたいかをいっぱい書き出してみるでもいいし、見て吸収するでもいいし、いっぱい探しておくことはお勧めです。
―― 逆に「これだけはやらない方がいい」と伝えておきたいことは?
大谷 「あのグループの子がソロになった!」ってたくさんの人が寄ってくると思うんです。フリーだと特に、守ってくれる人がいないのはすごく怖い。「1人になっても何かあったら相談してね」って言ってくれる人を作っておくのは大事です。今までそばにいた人で、守ってくれる人は絶対いるから。私も「なんかこんな話来てるんですけど……」って当時のチーフマネジャーに投げることが今でもいっぱいあります。
―― ちょこちょこお話に出てきますが、今も助けてくれるんですね。
大谷 LINEとかしょっちゅう。「またネットになんか出てるけど大丈夫か?」「マグロ食べに行くぞ!」て連れて行ってもらったり(笑)。そういう人が1人いただけでも全然違いますね。当時は苦手だったんですよ。体育会系で結構ガシガシ言ってくるから。多分私が弱かったから怖く感じていたんでしょうね。当時より自分が強くなったのかな。ちょっと離れたからか今は何でも言えます。平気でホイホイホイホイ言っちゃう。
―― アイドルでなくても、これから新しくスタートを切ろうとしている人へエールを送るとしたら?
大谷 やりたいことが見つかったらやらずに後悔するより取りあえずやってみていいんじゃないですか。合わなかったら戻ればいいし、新たに見つかるものもあるかもしれないし、まず動いてほしいと思います。
人それぞれだから、1つの仕事を全うしたでもいい。好奇心が多い方はいろんなことをやれば全部身になるはず。私は経験値が高い人間になりたいんです。自分が死ぬ時にどれだけお金じゃない財産がそろっているか。寿命を迎えた時に、「あれやった」「これもやった」といっぱい数えて幸せだったなって思いたいんですよね。
―― これが最後の質問になりますが、今の大谷さんにとって夢って何でしょうか?
大谷 取りあえず結婚はしたいです。今の私に必要なのは支えてくれて、“この人のため、この人がいるから自分も頑張れる、この人にもっと幸せをあげたい”と思える人で、そういう人が現れた。すごく私のことを考えてくれて、ネイルの仕事で疲れてしまっている私を見て「もったいない」って言ってくれる。ずっと一緒にいられるパートナーとして、仕事もプライベートも一緒に進んでいきたいな。
―― 先方と具体的な将来のお話とかってされてるんですか?
大谷 向こうが真面目に考えてくれて私の仕事的にも「結婚はどうなの? 大丈夫?」「悪影響はない?」と話しています。私は何でもプラスに発信していくから大丈夫だけど、守りたいのは彼のプライバシー。私のメンタルの不調もすごく心配してくれていて、この先一緒に住むことも考えてるんですけどまずは健康を全集中で考えて生活していこうと。お互い仕事大好き人間だから、体だけは壊さないように。
―― プライベートでもお仕事でも、うれしい報告をお待ちしています。もちろん「メロン記念日」の周年コンサートも。
大谷 実現したら本当にうれしいんですけど、発表どころかまず声がかかるまでに自分を整えとかなきゃ。だいぶ久々なので体力面が心配。踊らなくては歌わなくてはなので(笑)。
―― すてきなステージを期待してます。本日はありがとうございました。
大谷 ありがとうございました!
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