飼い主が事故にあったら、そのとき猫たちは…… 誰にも起こりうる「もしも」を描いた猫漫画に共感と応援が集まる 作者に話を聞いた(1/2 ページ)

“もしも”は突然やってくる。

» 2023年07月25日 21時00分 公開
[かのんねとらぼ]

 もしも、飼い主の身に家に帰れない何かが起こったら、残された猫たちは―――。そんな誰にでも起こりうる事態を描いた漫画「もしもなんて来ないと思ってた猫」がイラストレーターのオキエイコさんのTwitter(@oki_soroe)で連載されています。記事執筆時点で第1章のまとめ読みが594万件表示を超えるなど注目を集めています。

もしも猫 家に残されたクロとマメ

 厚生労働省が発表した「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況(動物愛護管理行政事務提要より作成)」(対象期間:2021年4月1日〜2022年3月31日)によると、全国で収容されている犬・猫のうち飼い主からの引き渡しが1万2466匹(犬:2864匹/猫:9602匹)。猫に至っては全体収容数の28パーセント(犬は12パーセント)に及びます。その理由の1つとして“飼い主が死亡”“飼い主が病気や施設に入所”したために飼えなくなったということがあげられます。このような社会的背景を踏まえて、飼い主の身に何かが起こったときのために事前に備えることが大切であるといえるでしょう。

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 そんな「もしものとき」を描いた漫画の主人公は29歳の女性・澤田凛。子猫のころから育てている「マメ」と半年前に野良から保護した「クロ」の2匹の猫と一緒に暮らしています。その日も凛はいつものように会社へと出勤、猫たちはお留守番です。

もしも猫

 ところが通勤の途中で事故にあい、救急車で病院へ搬送されてしまいました。そして意識が戻ったのは6日後……その事実に凛はハッとし、家にいる猫たちへの心配が胸にあふれます。「あの子たち、今どうしているの……?」と。

もしもなんて来ないと思ってた猫

 一方、凛が事故にあった日の夜。いつもなら帰宅する時間を超えても飼い主が帰ってこないことに不安を覚えるマメとクロ。ごはんも無い中、窓から外を眺めながら待ちますが、そのまま丸2日も凛は帰ってきませんでした。

 さすがにおかしいと思い始めた矢先、なんと家に空き巣が侵入。何日も明かりがついていないことから狙われていたようです。小さなマメを守ろうと頑張るクロ。しかしマメは空き巣が開けた窓から外へ飛び出してしまいました……!

もしもなんて来ないと思ってた猫

 マメは凛を探すために飛び出し、それを追ってクロも外の世界へ。半年前、凛に保護されるまで野良猫だったクロはマメとともに当時の仲間の元へ向かい、飼い主探しの手伝いを依頼。数日ぶりのごはんと寝床の提供に安堵(あんど)の涙を流しながら、凛を探しだすことを決意。翌日から野良猫仲間たちとともに捜索に乗り出すのでした。

もしもなんて来ないと思ってた猫

 そして目覚めた凛も、早々に退院し家に戻ります。そこで見たのは空き巣に入られ、マメとクロがいない部屋。最悪の事態を想像して絶望する凛でしたが、元野良猫のクロがいるなら外で生きているかもしれないと希望をもち、絶対に見つけ出すと心に決めるのでした。そして事故のきっかけを作った隣人の酒井や会社の同僚たちの協力を得て、猫たちを探し続け……。

もしもなんて来ないと思ってた猫
もしもなんて来ないと思ってた猫

 漫画の続きはオキさんのTwitterで連載中。毎日20時1話ずつの更新となっています。凛とマメ&クロは再会できるのか。猫を探す方法とは。野良猫たちの友情や、凛と猫たちの絆……物語の続きが気になる人はTwitterをチェックしてみるといいでしょう。記事執筆時点で第1章第2章までのまとめ読みが公開されています。

 ねとらぼ生物部は、この誰にでも起こりうる「もしも」の世界を描いた作者でイラストレーターのオキエイコさんにお話を聞きました。

オキエイコさんインタビュー

――― この漫画を描こうと思ったきっかけは

 普段から「猫を残して自分が先に死んでしまったらどうしよう」ということを考えて生活しているのですが、恐れるのではなく逆にそこからはじまるストーリーがあってもいいなと思って構想が始まりました。漫画にすることで、飼い主の健康がペットの命に直結するということを考えてもらえるきっかけになったらと思っています。

――― キャラクターへの思い

 それぞれの関係性を考えながら描いているので、どのキャラも思い入れが強いです。何も知らない家猫だったマメが、クロを通じてたくさんの仲間とつながり勇気をもらえたのと同じで、飼い主の凛も酒井くんとの出会いでどんどん広がっていく……そんな関係性に注目してもらえたら、と思います。マメクロが幸せになってほしいからこそ、凛にも幸せになってほしいですね。

――― 漫画で読者に1番に伝えたいことは

 飼い主である凛のために猫たちが大活躍する漫画なので、とにかく純粋に応援してもらいたいという気持ちで描いています。そして凛やマメ、クロが、たくさんの仲間と出会い、協力してもらいながら成長していく姿を描いていきます。猫たちの活躍と同じくらい、人に頼るのが苦手な凛が勇気を出して仲間を増やしていく様子にも注目してほしいです。

――― 漫画への反響はいかがでしょうか

 最初は「怖い! どうなるの?」という目線で見てくれてた方が多かったのですが、今はだいぶ話も進んで「頑張れ!」「もうすぐ会えるよ!」という応援目線で見守ってくれています。「毎日20時が楽しみです」と言ってもらえるのが、更新する上での励みになっています。

――― オキさん自身の愛猫への非常時の対策や、猫飼いさんへの対策・対応のアドバイスがあれば

 とにかくごはんと暑さ対策が大切だと思うので、空調管理と自動餌入れ・水飲み場の複数設置などは気を使っています。それ以外にも、緊急連絡先などをまとめてある「ねこヘルプ手帳」という手帳を作って持ち歩いています。何かあったときに意思表示になる、猫の母子手帳として役立てたらいいなと思っています。

――― フォロワーや読者へ一言お願いします!

 今回100話まとめ読み(!)をありがたいことにたくさんの方に読んでいただいたのですが、物語は100話以降もまだまだ進んでいます。ぜひ101話以降も見守ってくれたらうれしいです。1日1枚というゆっくり更新なじれったい漫画ですが、その分この先たくさんのドキドキと喜びをみんなで共有できると思います。「1日1枚漫画からしか得られない成分」を摂取していただけたら……。

 物語も後半にかかり、日に日に近づいてくる凛とマメクロ。再び巡り会う、その時を見守っていただけたらうれしいです!

(了)

 オキさん自身も保護猫2匹と暮らす愛猫家。保護猫をおうちに迎える体験を描いた漫画『ねこ活はじめました』や、もしものときに役立つ「ねこヘルプ手帳」が販売中です。

 日々の暮らしや漫画、活動情報などはTwitter(@oki_soroe)Instagram(@soroe.handmade)にて発信しています。

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