40キロ超の減量、エリートな経歴 元子役・細山貴嶺が今「本当になりたい自分」とは私の人生が動いた瞬間(1/2 ページ)

“細山くん”としてお茶の間に親しまれた細山貴嶺さん。いじめや減量を経験し、エリート街道をひた走る中で見つけた“本当にやりたいこと”。

» 2023年08月23日 07時45分 公開
[のとほのかねとらぼ]

 人生100年時代といわれる現代、「何歳からでも新しいステージに踏み出すのは遅くない」という考え方が広がっています。著名人も例外ではなく、ある分野で成功を収めた人が転機を経験し、別のフィールドで奮闘する姿は多くの人に勇気を与え、モチベーションやインスピレーションを与えています。

細山貴嶺 細山くんとして親しまれた細山貴嶺さん(画像提供:京都大学イノベーションキャピタル株式会社)

インタビュー連載 「私の人生が動いた瞬間

 “細山くん”の愛称で親しまれた細山貴嶺さんは、1994年に誕生後、生後2カ月で赤ちゃんモデルとして芸能の世界へ。2006年からは、「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)をはじめとしたバラエティー番組やクイズ番組を中心に出演し、ぽっちゃりした見た目に蝶ネクタイ、眼鏡をかけた少し生意気なお坊ちゃまキャラがお茶の間で親しまれました。

 最近では、ぽっちゃりキャラを卒業し、慶応大学へ入学、ゴールドマンサックスに新卒入社した華々しい経歴も話題に(関連記事)。一方で、幼いころから“大人に求められる自分”を演じる中で、“本当の自分”を見失っていた時期も。インタビューでは、「本当にやりたかったことに向けて走ってるタイミング」と新しいスタートへ向けた現在の様子を伺いました。

お坊ちゃまな“細山くん”と、引っ込み思案な“細山くん”


――生後2週間で赤ちゃんモデルとしてデビューしてから、慶応大学卒業まで芸能界で活躍されました。パブリックイメージですと、たまに生意気なお坊ちゃまキャラという印象です。細山さんご自身は子どものころ、どんなお子さんでしたか?

細山貴嶺(以下、細山) 引っ込み思案で、人と話すことが苦手な性格でした。そのくせ変なところは頑固なところもありましたね。

――テレビで見た“細山くん”とは異なる性格だったんですね。

細山 本来の自分と、仕事で求められる自分が正反対なので、最初のころはそのギャップに苦労することもありました。逆に言えば、求められるものに応えられるようになってくると本当の自分は何なんだろうと悩んでいた時期もありました。

細山貴嶺 小学4年生ごろの細山さん(※画像は一部編集部で加工)

――仕事で求められる自分というのは、徐々に理解していくようになるんですか?

細山 そうですね。小学校5〜6年生ごろから、人がどんなことを求めているのか考える習慣が身についていきました。

 大人の方々と一緒にお仕事をさせていただく機会が多かったので、プロデューサーさんやディレクターさんの目線が気になったり、周りの方々のお仕事の様子を見たりする中で、僕自身もいただいているお金に対して、「ちゃんとアウトプットを出さなきゃいけない」という、変な社会人マインドがあったような気がします。

――大人からの視線を気にしながら生活するのはストレスやプレッシャーがかかりそうです。

細山 生後2週間のころから大人の方に囲まれて仕事をする環境だったので、ストレスはありませんでした。同年代の子としゃべるよりも大人の方が話しやすかったです。一方で、テレビに出演すると母親が「今日は●●点だったね。残りの●●点は、こういう発言を受けたときの返しがこうだから〜〜」とマネジャーのように管理していたので、プレッシャーは大きかったですね。

 母親もオールナイターズ(※1983年4月に放送されたバラエティー番組「オールナイトフジ」の一般公募として集められた女子大学生の集団)として芸能活動をしていたので、そういった目線で気になることが多かったのかもしれません。

細山貴嶺 母親との1枚
細山貴嶺

――今振り返って、一番多忙だったなと思う時期はいつですか?

細山 かわいいぽちゃぽちゃ感がなくなる前の小学校4年生ごろでしょうか。そのころは、「おはスタ」や「世界一受けたい授業」の収録が土曜日にあって、平日は、たまに呼んでいただけるクイズ番組の収録で、お昼を食べた後の13時ごろから早退して、タクシーで現場に向かって15時から19時まで収録するというのが週に2〜3回ほどありました。

――学業との両立はどのようにされてたんですか?

細山 無理やり時間を捻出して頑張っていましたね。打ち合わせが終わった後の楽屋で算数の宿題を進めたり、スキマ時間を有効活用していました。

幼稚園から中学卒業までのいじめ

――著書『デブ、死ね、臭い! を乗り越えて 』では、幼稚園のころからいじめられていた経歴も明かされています。

細山 幼稚園から中学校卒業までなので、長い期間いじめられていました。いじめや先生からの嫌がらせが原因で小学校は3回転校したので、合わせて5校でいじめに遭っていました。

――いわゆる、容姿がいじめの原因になっていたのでしょうか?

細山 原因は2つあると思っていて、1つは今おっしゃったような容姿。はっきりと分かるように太っていましたし、からかいの対象になりやすかったのかなと思っています。もう1つが、仕事で欠席や早退をすることが多かったので「なんで貴嶺だけテレビに出て、授業もサボれるんだ」という、出る杭は打たれるというような状況だったのかなという気がしています。

――学校に行かないという選択などもされたのでしょうか?

細山 それはしなかったです。「どんなことがあっても、学校には行きなさい」という母親の教育が大きかったのか、仕事以外の理由で学校を欠席したことはなかったです。

 今思えば、僕も「行きたくない」とは言わなかったんですよね。昔のことで記憶がふわっとしているんですが、明確に「学校が嫌だ」とは言ったことが無かったと思います。性格的に我慢してしまうところがあるからでしょうか。例えばコップに水を注いで表面張力でギリギリこぼれずに耐えているようなイメージで、突然ワッとこぼれてしまうまで意外と自分のつらさに気付けないということが多いんです。今、大人になるにつれて向き合っている部分ではあります。

――そうした中で、細山さんの楽しみは何だったのでしょうか?

細山 食べることですね。ご飯を食べていると幸せだし、ストレス食いみたいな感じですごい食べていたので、太っちゃったというのはあると思います。小学校がインターナショナルスクールで、日本の小学校の給食とは違って、カフェテリアみたいな所があるんです。ラザニアやボンゴレビアンコみたいなおしゃれなご飯が出てくるから食べたくなっちゃって。当時、つらさは全部食にあてていました。

――ご家族に相談はされたんですか?

細山 母親にはしていました。それこそ何回も転校をさせてくれたり、「何があっても私がいるから大丈夫」と味方でいてくれたり、自殺未遂をしたこともあるときはフルでサポートをしてくれたりと相当サポーティングだったかなと思います。

「いじめられる自分を変えたい」 43キロの減量

――「ピン子の時間」(TBS系)のダイエット企画でかなり減量されましたね。ぽっちゃりのイメージは徐々になくなっていった印象です。

細山 テレビでは太っているキャラクターが価値として認められていましたが、いざ日常生活に戻るといじめの原因になってしまう。「ピン子の時間」は、“痩せること”が仕事として求められるということもあって、本気で痩せたらいじめられなくなるかもしれないし、トライしてみようと思いました。

――どのくらいの期間で体重は落とされたんですか?

細山 番組で1〜2カ月で108キロから90キロ台まで落として、番組後にまた1〜2カ月の夏休み期間中に90キロ〜65キロまで落としました。当時は、レタス1枚に2時間走るっていう極端なダイエットをしていて、おすすめはできないですね。そこまでできたのはやはり、どこかでいじめられる自分を変えたいという思いがあったんじゃないかと思います。

細山貴嶺 約43キロ減量

――容姿の変化が現れてから、周囲の反応は変わりましたか?

細山 夏休み明けに学校に行ったら、細山の席に知らない転校生がいるって思われたこともありましたが、体重が65キロほどになるにかけて、徐々に周囲も慣れていきました。どちらかというと僕自身が自分の姿に慣れておらず、自分の痩せた姿が不思議すぎて鏡を見る度に「なんだこいつ」と思うことが多かったです。

――高校卒業後はカリフォルニア大学にも1年交換留学へ行かれて、心理学を学ばれていますが、やはりいじめの経験があったからでしょうか?

細山 それは相当大きいと思います。僕の個人の考えからすると、“いじめ”という行為だけ聞けばいじめる側が良くないとは思うんですが、その背景には実はもっと複雑な問題があると思うんです。1つ、すごく記憶に残っているのが、当時、算数のテストで僕が100点、Aくんが95点をとったときに、すごくいい成績であるにもかかわらず、Aくんが「貴嶺に点数で負けたと言ったらお母さんに怒られる、お父さんに殴られる」と言っていたことがあるんです。

 実はいろいろな家庭環境が1人の心理に影響しているんじゃないかなと思って、そういう心理状況はどう生まれるのか、ある意味そのいじめる側のことを理解するっていうのも1つのアプローチとしてすごく重要なことだと感じて心理学を勉強し始めました。

――心理学を学ばれてからいじめに対する考え方に変化はあったのでしょうか?

細山 いじめられた当時は悲しい思い出ではありますが、結局1人1人が置かれてる状況を変えないと意味が無いと思っています。そういう意味だと、当時よりは幅広く物事を見れるようになりました。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news174.jpg 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  2. /nl/articles/2404/26/news154.jpg 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/12/news174.jpg 築年数不明の平屋にある、ボロボロ床板をはがしてみたら…… 発覚したヤバい事実に「ビックリ!」「大丈夫でしたか?」心配と驚きの声
  5. /nl/articles/2404/26/news022.jpg ママの足にくっつく生後7カ月の赤ちゃん、甘えてるのかと思いきや…… 計算された行動と「ちいこい後ろ姿がかわいすぎ」て目が離せない
  6. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  7. /nl/articles/2404/25/news069.jpg “作画軽減ガンダム”をガンプラで作成 → 使用パーツも最小限の再現ぶりに「完全に一致」「部品軽減ガンダム」
  8. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  9. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  10. /nl/articles/2404/26/news024.jpg 0歳赤ちゃん「(ママ来たっ!)」→喜びが抑えきれなくて…… 尊すぎるダンスが300万再生「心が浄化されていく」「朝から癒やされました」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」