8割が「子ども欲しい」婚活市場 “子どもを望まない婚活男性”が逆境を乗り越えてつかんだ幸せ(1/3 ページ)
Yahoo!ニュースとの共同連携企画「『子どもを持たない夫婦』のいま」の2回目では、「子どもを持たない夫婦」を目指して婚活する男女に取材した。
近年、子どもを意識的に持たない共働き夫婦「DINKS(ディンクス)」をはじめ、子どもを持たない夫婦の形が身近になっている。Yahoo!ニュースとの共同連携企画「『子どもを持たない夫婦』のいま」の2回目では、子どもを持たない家族・夫婦を目指して婚活をする当事者らに話を聞いた(1回目はこちら/全2回)。
かつては特別な理由がない限り、社会に出たらなるべく早く結婚し子どもを持つことが、当たり前とされていた。しかし、女性の社会進出などの社会変容とともに晩婚化が進み、婚姻率は年々下がり、同性婚の法制化を求める動きが出てくるなど、結婚への考え方は変わりつつある。
皆婚規範にとらわれなくなった現代では、結婚後の家族の在り方や夫婦のスタイルもそれぞれに委ねられるようになった。結婚後に子どもを持たない夫婦も、現代の結婚の1つの形と言えるだろう。そこで、今回は夫婦のみの世帯を希望して婚活する人たちにスポットを当てて、その声を聞いた。
子どもを望まないことでぶち当たった現実
現在39歳のヨシオさん(仮名)は、38歳のときに結婚相談所で婚活をスタートさせ、10カ月の活動の末に4歳上の女性、シオリさん(仮名)と成婚した。
そもそも、なぜヨシオさんは夫婦のみの世帯を希望したのか。
「親が小学校のときに離婚をして、夫婦円満、家族団らんのイメージを私自身が抱くことがなく、大人になったんです。 『自分は結婚しないのだろうな』と、ずっと思っていました。特に子どもが嫌いなわけではなく、結婚しないのだから、子どもを持つことへの考えも及びませんでした」
ところが、38歳のときに、ふと「婚活をしてみようか」という気持ちになった。
「あまり共感が得られないんですが、偶数の年にふと自分の人生を考えるようなクセが昔からあるんです。38歳になって、このまま1人で歳をとっていくのは寂しい。これからの人生を一緒にいられる人がいても良いのかな、と。
一時的な気の迷いかなとも思ったんですけど、無駄に行動力があるタイプなので(笑)、マッチングアプリに登録して向かないと感じたので、試しに婚活パーティに参加してみました」
そこでのマッチングはなかったものの、そのパーティを主催していたIBJのスタッフに結婚相談所での婚活を勧められ、入会することにした。
「なぜ入会したかと言うと、ちゃんと婚活をしてみて、『ああ、やっぱり結婚できなかった』という結果が欲しかったんだと思います。あと10年したら、結婚はもっと難しくなる。婚活を頑張ったけれど結果結婚できなかったら、『歳を取って寂しいな』と思ったときに後悔しない気がしたんです」
ヨシオさんの年収は600万円以上。趣味や生活費に散財するほうではなかったので、そのなかから婚活に使う予算を決めて、1年間活動してみようと決めた。
ただ、もし結婚できたとしても、子どもは望んでいなかった。そこは明確にして活動をしたかった。サイトで公開されるプロフィールには、子どもを「望む」「望まない」「どちらでも良い」という3択があったので、「望まない」にチェックを入れた。
ところが、現実は甘くなく、お見合いは思うように組めなかった。ヨシオさんは痩せ型で清潔感があり、正社員で年収も平均より上。一般的にはサイトに登録をすれば、苦労することなくお見合いが組める条件を備えていた。それほど組めなかったのは、子どもを望んでいなかったからだ。
「自分が会える地域、自分の年齢のプラスマイナス5歳で『子どもを望まない』人が何人いるか条件検索をかけてみたんです。そうしたら、全体の人数の0.5%くらいしかいなかった。
これが『どちらでも良い』だと20%くらいに上がる。それだったら『どちらでも良い』にしたほうがお見合いは組めると思って、チェックをそちらに変えたこともありました」
ただそうなると、子どもが欲しい気持ちがある女性ともお見合いすることになる。その後、すぐに「子どもを望まない」に戻し、かつ自己PRの文章のなかに「子どもが欲しいわけではありません」という一文を入れ、活動を続けることになった。
「子どもを望まない」婚活者は約2割しかいない
子どもを望まない結婚について、こんなデータがある。
IBJが1528人の婚活者(男性938人、女性590人)を対象に、「将来的に子どもは欲しいですか?」とアンケートを取ったところ、「はい」が全体の約8割、「いいえ」が約2割。
このうち年齢を25歳から39歳に絞り込むと、「はい」が約9割、「いいえ」が約1割という結果になった(2023年3月調べ)。さらに男女別に見てみると‥‥。
「男性のほうが子どもを望む人が多いという結果が出ています。結婚相談所にご入会いただく方は、基本的に子どもを欲しいと思って婚活を始める人が多いので、望まない方が極端に少ないのが現状です」(IBJ広報担当者)
また、「いいえ」と回答した男女を対象に、その理由を聞くと(「年齢的に難しい」の72.1%を除き、複数回答可)、こんな声が聞こえてきた。
- 育てる自信・余裕がないから:24.8%
- 経済的な不安があるから:24.5%
- 夫婦の時間を大切にしたいから:18.1%
ヨシオさん以外にも、子どもを希望せずにIBJで婚活をしている29歳の女性、ヨウコさん(仮名)は、子どもを希望しない理由をこう話す。
「まず私が子どもを持つことに興味がないのと、経済的な負担を考えて、夫婦だけの結婚を望んでいます」
ヨウコさんは婚活を始めて、約1年になる。最初はマッチングアプリで活動していたが、子どもを「望む」「望まない」のチェック項目がないものも多く、マッチングして会ったときに相手が子どもの有無についてどう考えているのかが分かりづらくて苦労したと明かす。
そこで、今年の7月からIBJに入会し、お見合い婚活をスタートさせた。
「今は『子どもを希望しない』ことを提示して活動をしているので、ミスマッチが避けられるのは、良かったなと思っています。
ただ子どもを希望される方が多いのが現状なので、選択肢から外れる可能性が高いですが、私が子どもを希望していないのだから、それは致し方ないと思っています」
どんな結婚をしたいか、またどう生きたいかは個人が選択する時代。ヨウコさんの結婚相談所での活動はまだ約1カ月だが、人生を共に歩いていくパートナーに出会うために、今後も地道に活動を続けていくという。
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