秋は台風シーズン 過去に大きな被害をもたらした台風も

秋は台風シーズンです。この時期は日本付近を通る台風が増え、過去に大きな被害をもたらした台風は、9月や10月に多くなっています。

» 2023年09月05日 09時30分 公開
[日本気象協会 tenki.jp(http://www.tenki.jp/)]
Tenki.jp


台風 台風による被害(イメージ)

 秋は台風シーズンです。この時期は日本付近を通る台風が増え、過去に大きな被害をもたらした台風は、9月や10月に多くなっています。

7月から10月は台風シーズン

台風

 年間で平均およそ25個発生する台風。7月から台風の発生が多くなり、8月をピークに、9月から10月にかけて、台風シーズンが続きます。日本への接近や上陸の数もこの時期が最も多くなっています。

9月になると日本付近を通りやすくなる

台風

 日本の南の海上で発生する台風は、太平洋高気圧の位置や上空の偏西風の流れによって、大きく進路が変わってきます。

図は月別の平均進路を示したものです。6月や11月、12月は西へ向かう台風が多くなりますが、7月頃になると、それまで太平洋高気圧の縁辺を周って西よりに進んでいた台風が、北上するにつれて次第に東よりにカーブし、日本付近に向かうようになります。

台風

 8月は発生数では年間で一番多い月ですが、台風を流す上空の風がまだ弱いために台風は不安定な経路をとることが多く、9月頃になると、次第に太平洋高気圧の勢力が弱まり、偏西風が日本付近に南下するため、偏西風に乗りやすく、ちょうど日本付近を通りやすくなるのです。そのため、過去に日本に大きな災害をもたらした台風は、9月や10月にこのような進路をとったものが多くあります。

 ただ、太平洋高気圧の勢力や偏西風の位置など、その時期により異なる場合もありますので、必ずしもこのルートを通るわけではありません。

9月・10月に大きな被害をもたらした台風事例

 9月から10月に発生した台風で、大きな被害をもたらした台風といえば、昔から多くあり、代表的に知られているのが、1934年(昭和9年)の室戸台風、1945年(昭和20年)の枕崎台風、1958年(昭和33年)の狩野川台風、1959年(昭和34年)の伊勢湾台風などがあります。

伊勢湾台風(1959年台風15号)

 中でも1959年(昭和34年)に発生した台風15号、いわゆる伊勢湾台風は、マリアナ諸島で発生し、急激に発達。紀伊半島に上陸し、東海地方を中心に甚大な被害をもたらしました。

 特に高潮による被害が大きく、名古屋港では観測史上最高となる3.89mの高潮が襲いました。紀伊半島沿岸一帯や伊勢湾沿岸では、激しい暴風雨に加えて、高潮により被害が拡大、大規模な浸水や河川の氾濫が発生して、多くの犠牲者が出ました。死者・行方不明者は5000人を超え、明治以降で最悪の犠牲者数となりました。

令和元年房総半島台風(2019年台風15号)

 まだ記憶に新しい台風としては、2019年(令和元年)に発生した房総半島台風です。関東に上陸したものとしては観測史上最強クラスの勢力で9月9日に千葉県に上陸しました。千葉市では、観測史上1位の最大風速35.9メートル、最大瞬間風速57.5メートルの暴風が吹き荒れるなど、関東を中心に19地点で記録的な暴風となりました。

 これらの暴風により、千葉県を中心に4000棟を超える住宅が全半壊、また送電用鉄塔が倒壊し、関東地方で最大で90万戸以上が停電しました。またゴルフ練習場の鉄柱が倒壊し、近隣の家屋に被害をもたらすなど、各地に甚大な被害をもたらしました。

令和元年東日本台風(2019年台風19号)

台風 東日本台風による被害(福島県福島市)

 2019年(令和元年)9月の房総半島台風の翌月、10月に発生した東日本台風も、また更なる被害をもたらしました。房総半島台風は暴風により被害が拡大しましたが、こちらの台風は大雨による被害が甚大となりました。

 東日本台風は、10月6日にマリアナ諸島で発生し、その後、12日に大型で強い勢力で静岡県伊豆半島に上陸しました。特に神奈川県箱根町では、降り始めからの降水量が1,000ミリを超え、台風が上陸した10月12日の日降水量も922.5ミリを観測し全国歴代1位となるなど、静岡県や関東、甲信、新潟県、東北を中心に記録的な大雨となりました。この大雨の影響で、阿武隈川など広い範囲で河川の氾濫が相次ぎ、また土砂災害や浸水害が 発生し、多くの犠牲者が出ました。

台風だけでなく秋雨前線にも注意

 秋は台風だけでなく、秋雨前線にも注意しなければなりません。

 9月頃になると、本州付近には秋雨前線が延びやすくなります。日本付近に台風と秋雨前線がある場合、台風周辺からの暖かく湿った空気の影響で、秋雨前線が刺激されて大雨になることがあります。

 同じ場所で長時間に渡って雨が降り続き、大雨となると、土砂災害が発生したり、河川の増水や氾濫が発生したりと大きな被害をもたらします。

 秋雨前線がある場合は、 台風が日本から離れた場所にあっても大雨に警戒が必要です。

関連リンク

読まれている記事

 

 

 

Copyright (C) 日本気象協会 All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/27/news008.jpg 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  2. /nl/articles/2404/27/news009.jpg しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
  3. /nl/articles/2404/27/news005.jpg “女子小学生”がメンズカットしたら……「え!」 その驚きの大変身に「な、なに!?」「絶対モテる」と反響
  4. /nl/articles/2404/27/news003.jpg 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
  5. /nl/articles/1901/08/news126.jpg 正体不明の「なにかふしぎなもの」がハードオフで販売→Twitterで情報集まり正体が判明
  6. /nl/articles/2404/28/news005.jpg 「とんでもないものが売ってた」 ハードオフに“33万円”で売られていた「まさかの商品」に思わず仰天
  7. /nl/articles/2401/18/news035.jpg 「起動しません」 ハードオフで4000円のジャンクPS4購入→電源入れると“驚きの結果”に「そんなことあるんだ」
  8. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  9. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  10. /nl/articles/2404/28/news019.jpg 「ワンピース」ナミに扮したイタリアのコスプレイヤーが麗しい! 「完璧」「美しい!」と称賛
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」