高温傾向この先も続く 今年の冬は季節風が吹きにくく 日本海側は雪が少ない可能性

高温傾向は、冬にかけて続く見込みです。

» 2023年09月10日 21時32分 公開
[日本気象協会 tenki.jp(http://www.tenki.jp/)]
Tenki.jp


気温

 今年2023年の春と夏は、記録的な高温になりました。この秋、残暑はまだまだ厳しく、季節の進みはゆっくりでしょう。高温傾向は、冬にかけて続く見込みです。

今年2023年の春と夏 記録的な高温

気温

 今年の春は、降水などの天気現象が起こる対流圏のさらに上の成層圏で、急に温度が上昇する成層圏突然昇温が発生していたなどの影響で、偏西風が蛇行し、日本付近は暖かい空気に覆われました。

 今年の春、平均気温は全国的に高く、特に北日本、東日本、西日本でかなり高くなりました。北日本と東日本では1946年の統計開始以降、春として1位の高温になりました。

 春に、南米ペルー沖で海面水温が平年より高くなるエルニーニョ現象が発生しました。

 典型的なエルニーニョ現象は、西部太平洋熱帯域で、海面水温が平年より低くなり、この海域では対流活動が不活発になります。このため、エルニーニョ現象が発生している時の日本の夏は、太平洋高気圧の張り出しが弱く、低温傾向になります。

 ところが、今年の夏は、典型的なエルニーニョ現象とは違い、太平洋熱帯域の全体で海面水温が平年より高くなりました。このため、西部太平洋熱帯域も含めて、太平洋熱帯域で対流活動が活発になり、熱帯で大気が暖められた影響などが、日本にも及びました。

 今年の夏、平均気温は北日本、東日本、西日本でかなり高くなり、1946年の統計開始以降、夏として1位の高温になりました(西日本は1位タイ)。

この秋 高温傾向が続く 秋雨前線や台風の影響が長引く可能性

気温

 今年の秋、エルニーニョ現象はピークに向かいます。

 それに加えて、正のインド洋ダイポールモード現象が発生する可能性があります。正のインド洋ダイポールモード現象は、エルニーニョ現象やラニーニャ現象とは独立した海洋の変動として知られています。インド洋熱帯域の海面水温が南東部で平年より低く、西部で平年より高くなる現象です。その逆は負のインド洋ダイポールモード現象です。この現象は、おおむね夏から秋に発生します。

 この秋、西部太平洋熱帯域では、海面水温が次第に低くなることが予想されますが、正のインド洋ダイポールモード現象が作用することにより、海面水温が低くても対流活動は活発な状態が続く予想です。このため、太平洋高気圧の後退は遅いでしょう。残暑はまだまだ続きます。秋の深まりもゆっくりでしょう。

 2023年の秋は、本州付近は前線や湿った空気の影響を受けやすく、沖縄や奄美、西日本や東日本の太平洋側は、降水量が平年より多い見込みです。

 秋は台風シーズンでもあります。今年は秋雨前線や台風の影響が長引く可能性があります。

 側溝の掃除をして、家の周りの水はけをよくしておくなど、日ごろから大雨への対策をしておくとよいでしょう。

今年(2023年/2024年)の冬 季節風が吹きにくく 日本海側は雪が少ない可能性

気温

 エルニーニョ現象は、今年(2023年/2024年)の冬にかけて続くでしょう。

 エルニーニョ現象が発生している場合、日本の冬の統計的な特徴としては、西高東低の気圧配置が弱く、高温傾向になることです。

 今年の冬、今のところの予想では、熱帯の状況や大気の振る舞いは、典型的な冬のエルニーニョ現象の状況と、おおむね類似しているといえそうです。

 上の図は、北半球の12月から2月にかけて、上空1500メートル付近の温度の予想です。日本付近は、平年より温度が高いオレンジ色のエリアになっています。今年の冬は、全国的に高温傾向になりそうです。

 今年の冬の特徴は、本来吹くはずの大陸からの冷たい北よりの季節風が吹きにくいことです。例年に比べて、日本海からの雪雲の流れ込みが少ないことが考えられます。

むしろ、西日本付近に南から湿った空気が流れ込みやすいでしょう。太平洋側の地域では、南岸低気圧の影響で、くずついた天気になり、雨や雪が平年より多くなる可能性もあります。

 今後、気象庁から発表される最新の季節予報をご確認ください。

関連リンク

読まれている記事

 

 

 

Copyright (C) 日本気象協会 All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/04/news038.jpg 米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
  2. /nl/articles/2501/04/news025.jpg サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
  3. /nl/articles/2501/03/news057.jpg 「箱根駅伝」10区ランナー、“父親が大物アーティスト”と判明し「息子が走ってたなんて」「イケメン息子」と驚きの声
  4. /nl/articles/2501/02/news034.jpg 「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
  5. /nl/articles/2501/03/news005.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」→こだわり満載の完成品に「すごすぎて意味わからない」と大反響 2024年に読まれたハンドメイド記事トップ5
  6. /nl/articles/2501/01/news001.jpg 【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
  7. /nl/articles/2501/03/news004.jpg 授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後……「時間止まってる?」父子の姿に驚愕 2024年に読まれた家族記事トップ5
  8. /nl/articles/2501/04/news004.jpg 高校生息子にリクエストされたお弁当を作ったら……驚きの仕上がりに「うらやましい」 2024年ねとらぼで読まれた【お弁当記事トップ5】を紹介
  9. /nl/articles/2501/03/news012.jpg 小さなカエルを大事に育て、たった1年後…… 娘が「こわい!」と逃げ出すレベルの“ヤバい成長”に「デカすぎやろ」「僕でも怖いわ」
  10. /nl/articles/2501/03/news007.jpg 考え方も性格も“正反対”の2人が結婚→それから13年後…… 苦楽をともにした“現在の姿”に反響 「素敵ですね」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  2. 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
  3. 「すごい漢字!」 YouTuberゆたぼん、運転免許証公開 「本名の漢字」に衝撃の声続々
  4. 「麻央さんにそっくり……」 市川團十郎の11歳息子・勸玄の成長ぶりに驚きの声 「大きくなってる!」「すでに貫禄がある」
  5. チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
  6. 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
  7. 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
  8. 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
  9. 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
  10. 「デコピンを抱き寄せたのはもしかして」 妻・真美子さん第1子妊娠発表で大谷翔平の発言と行動に再注目 「“もう帰る?”は気遣っていたのかも」
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」