トリミングへ行ったあと、河川敷に捨てられ…… 迷子犬かと思われたワンコの悲しい過去と新たな家族との出会い
第32回は保護犬「マロ」さんです。
近年、動物の虐待や飼育放棄、悪質な業者による繁殖・販売、不適切な飼養が社会問題となっています。個人や団体、地域が行き場をなくした動物たちを守るため、日々保護活動に取り組む一方で、動物たちが命を失う悲劇は後を絶ちません。
環境省Webサイト「動物の愛護と適切な管理」は、2020年4月1日〜2021年3月31日に殺処分された犬・猫の全国総数が2万3764匹と発表。昨今、国内では殺処分への否定的な意見と保護への関心が高まり、殺処分数は減少傾向、保護犬・猫の譲渡数は増加傾向を見せています。微力でも地道に保護という選択を伝え続けていくことが、動物たちの命を守ることにつながるかもしれません。
そこで、ねとらぼ生物部では保護動物と暮らす読者にアンケートを実施。寄せられた数々のエピソードと写真を紹介するとともに、尊ぶべき命の輝きや、愛する家族との暮らしの喜びを伝えていきます。
第32回は飼い主・かんさんと暮らしていた保護犬「マロ」さん。迷子犬かと思われたマロさんの悲しい過去と、新たな家族との出会いを紹介します。
―― マロさんとの出会いと、保護当時の状況を教えてください
かんさん:2009年5月、母が河川敷の歩道を歩いていたところ、マロが川のほうから出てきたそうです。最初は迷子犬かと思い保護、届けを出しましたが、警察の話によると同じ場所で同じ色の同じ犬種がもう1匹保護されていたそうで、「捨てられたのだろう」とのことでした。
保護から3カ月、飼い主からの届けや連絡がなかったとのことで、わが家で引き取ることにしました。ちなみに同じ場所で保護された同犬種の子も、別の方に引き取られたそうです。
マロを迎えたちょうど1年前あたりに、先代の犬が虹の橋を渡ったことから、母は「あの子が連れてきたのかもしれない」と話していました。先代の犬は私にとっては初めてのペットだったため、そのころはペットロス気味でしたが、「また犬と暮らせる」とうれしかった記憶があります。
保護当時マロは推定6歳で、とても元気でした。保護して気付いたことは、おそらく捨てられた当時、トリミングに行ったばかりだったことです。保護した直後は直毛で短い毛の子だと思っていたのですが、くるくるの長めの毛になっていきました。
保護した当日、マロは抱っこをせがんだり、私の足にピッタリ寄り添ったりと離れず、ごはんも食べませんでした。声も出さないため、鳴けないように手術されているのかと思ったくらいでした。1週間くらいたったとき、私が帰宅した際、かすれた声で控えめに「ワンッ」と鳴いて、それから感情を表すようになりました。
マロは2020年に老衰で息を引き取りました。推定17歳なので、なかなかの長生きだったと思います。
―― 最後に、保護動物に対する思いを聞かせてください
かんさん:マロを捨てた飼い主さんは、すぐに拾ってもらえるようにトリミングをしてから捨てたのかもしれません。前の飼い主さんからもかわいがられていたと思われますし、相当の理由があって捨てたのだとは予測できます。
ただ、今回この子たちはたまたま運良く保護されて、たまたまもらい手が見つかっただけで、そのまま河川敷で命を落とす可能性もあります。河川敷などに置き去りにすることは絶対にやめてほしいと思います。
保護した当時、マロはおじさんの声、バイクの音、他の犬に異常な執着を持っていました。前の飼い主さんや一緒に暮らしていた子を探していたのではと思います。
(了)
河川敷をさまよっていたところを、かんさんのお母さまがたまたま見つけ、家族として迎えられたマロさん。かんさんの言う通り、偶然が重なり合わなければ、マロさんともう1匹は命を落としていたかもしれません。
人間の事情で動物の尊い命が振り回される悲劇が起こらないよう、終生飼養、もしものときの引取先の手配、マイクロチップの装着などを徹底していきたいですね。優しい家族のもと、マロさんが寿命を全うできて本当に良かったです。
ねとらぼ生物部では、引き続き「保護動物のエピソード&お写真」を募集しています! 犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。
愛する家族との出会いのエピソードや、クスッと笑ってしまうかわいいお写真など、お気軽に【こちら】までお寄せください。皆さまからのご応募、お待ちしています。
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