ヘルニア、角膜腫瘍、歯周病に悩まされるも…… 前向きに生きるワンコと介護に“笑顔”で向き合う飼い主に感動

「ペットの介護エピソード」第7回はミニチュアダックスフントのたまごちゃんです。

» 2023年10月14日 20時45分 公開
[かのんねとらぼ]

 近年、飼い主の「ペットは家族の一員である」という意識が高まり、ペットに対しても健康で長生きできるように、生態や習性に合わせた適切な飼養管理が行われるようになってきました。生活環境や栄養状態の改善、ワクチンや駆虫薬の普及、獣医療の進歩などさまざまな要因で、ペットの平均寿命が延びています

 「一般社団法人ペットフード協会」による「令和2年(2020年)全国犬猫飼育実態調査」では、犬の平均寿命は14.48歳、猫の平均寿命は15.45歳。10年間で犬は0.58歳、猫は1.05歳寿命が延びています。成犬・成猫は1年で人間の4歳分の年齢を重ねるといわれており、大きく寿命が延びていることが分かります。

 寿命が延び、愛するペットとともに長く暮らしていけることはとても幸せなことですが、長寿化ゆえに新たな課題も発生しています。それは加齢により生じる体の不調です。

 ペットも人間と同じで、歳を重ねるにつれ体力や免疫力が落ち病気にかかりやすくなったり、足腰が弱ってきたりします。それだけでなく、認知症や寝たきりになって、人と同様に介護が必要になるケースも。もちろん加齢だけでなく、病気やケガなどが原因で介護が必要になることもあるでしょう。

 そこで、ねとらぼ生物部ではペットを介護した経験のある読者にアンケートを実施。寄せられた数々のエピソードと写真を紹介するとともに、介護の現実や厳しさだけでなく、その経験から生まれるペットへの深い愛情や命の尊さを伝えていきます。

犬の介護 たまごちゃん

第7回 ミニチュアダックスフントの「たまご」ちゃんと飼い主さん

―― 介護が始まったときのペットの年齢と、きっかけを教えてください

 18歳で、老化による目の角膜腫瘍、歯周病により頬に穴が開くなどの症状がありました。20歳で虹の橋を渡りました。

―― どのような介護をしていたのでしょうか

 若いころから首の三叉神経障害、腰のヘルニアを2回と大病をしながら、18歳を迎えたころに目の角膜腫瘍を起こし、他の犬の血液で作った血栓目薬と薬が手放せなくなりました。1日3回×3本の目薬が必要で、さらに冷蔵保存のため出掛けるときはドライアイスに入れてました。

 目はつぶった状態で目ヤニがすごく、状態が良くなって目が開いても、目薬は手放せませんでした。また、若いころの三叉神経障害のため首はやや斜めになっており、歩くときも斜めになっていました。

 頬には歯周病で穴が開いて膿が常に出ており、消毒と薬の塗布を毎日していました。視力、嗅覚の低下が著しく、食事は目の前にお皿を常に持った状態で食べていました。

犬の介護

―― 介護する中で一番大変だと感じていたことを教えてください

 薬が手放せなくなり、要冷蔵のために出掛けるときなど常にドライアイスを持参していたことです。また1日に多いと7〜10回と頻回に目薬をしなければならなかったこと。そして、活発だった愛犬がどんどん自由を奪われる姿を見ていることがつらかったです。

犬の介護
犬の介護

―― 介護生活のなかでの学びや気付いたことがあれば教えてください

 愛犬は、宝。私が介護をしないと生きていけないので、精神的強さを学びました。あとは、愛犬の前向きさと飼い主に対する愛情を感じました。

犬の介護

―― 介護生活の中で心掛けていたことがあれば教えてください

 笑顔! 愛犬のためにできることを考えていました。

犬の介護

―― 介護していたペットへの思いを教えてください

 本当にありがとう。寂しい思いばかりさせてごめんなさいね。いつまでもいとおしいたまごちゃん。

犬の介護

―― 介護中の方へのアドバイスがあれば教えてください

 やっぱり笑顔! どんなにつらくても愛犬のかわいらしさで、ファイトです!

―― 最後にたまごちゃんとの1番の思い出を教えてください

 たまごちゃんが若いころ、犬の厄払いに行ったときのことです。おはらい中に住職がほら貝を吹き、すごく大きな音が出て……。犬用ベビーカーの中に3匹いたのですが、2匹は驚いて飛び起き、抱っこしてもプルプル震えていました。そんな中1匹だけ、悠々とおなかを出してあおむけでグーグー寝てる子がいて……それがたまごちゃんでした。人間も驚くような音の中で、何事も無かったように寝てるたまごちゃんは大物だったなぁと、とても印象に残っています。

(了)

犬の介護 たまごちゃんの飼い主さん、ありがとうございました
犬の介護

 少しでも健康で長生きしてほしいからこそ、介護に全力を尽くし、自身の生活や心身に大きな負担を掛けてしまう飼い主さんも少なくありません。状況によってはペット介護サービスを利用する、同じく介護をしている人たちと情報を共有するなど、1人で抱え込まない環境づくりも大きな助けになるでしょう。

 これからペットを迎えようと考えている人や、現在介護の必要がない飼い主さんは、健康寿命を伸ばす対策をする、介護の知識を取り入れるなど、少しずつ準備を始めておくと良いかもしれません。介護も含めて大切なペットとの一生です。その時間も愛せるようにペットと寄り添い続けていきたいですね。

 ねとらぼ生物部では、引き続き「ペットの介護エピソード&お写真」を募集しています。犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。

 貴重な体験談を【こちら】までお寄せください。皆さまからのご応募、お待ちしています。

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