妻は更年期、50歳の夫が家事・育児に協力してくれない理由とは…… 更年期の悩みとの向き合い方を描いた体験談マンガ『私の生理のしまい方』(1/2 ページ)
著者インタビューと合わせて、マンガ本編を出張掲載。
「最近なんだかイライラが止まらなくて、自分が自分でなくなったみたい」「家族に伝えたいけど自分でもよく分からない不調。私はこれからどうなってしまうんだろう?」―― 40代以降の女性が経験する悩みをテーマにした漫画『私の生理のしまい方』(10月26日刊行/KADOKAWA)。
生理不順、疲れやすい、眠れない、気分の乱高下など、特に閉経前後10年間はこれまでとは違う心身の不調に悩むもの。9人の体験談を通じて、そんな心身のトラブルと、向き合い方を描いた著者・原あいみさんにインタビューしました。合わせて、漫画本編も掲載します。
漫画『私の生理のしまい方』とは
年齢に伴う心身の変化。思春期の子どもであれば学校で教わることができ、親や先生といった理解者がしっかりサポートしてくれるものですが、大人になると事情が変わります。
『私の生理のしまい方』では、更年期を乗り越えた40代以降の女性たちの体験談をマンガ化して分かりやすく紹介。また、女性医療クリニックLUNA理事長・関口由紀さん監修のもと、ホルモンの変化と不調の関係性、病院の探し方などが学べるコラムも掲載しています。
著者・原あいみさんインタビュー
―― 本書のメインテーマは、女性の更年期の悩み。ですが、今回掲載する「第8話」は男性の更年期を取り上げています。その理由は?
まさに私の夫(50代)が、疲れ方がひどく、覇気がなく、メンタルな落ち込みがひどい時期がありまして。私がこの本を作っていたのでもしやと思い「取材も兼ねて更年期外来に行ってみてよ!」とお願いしたところ、やはりホルモン値が60代くらいまで落ちているとの結果でした。
雑談として編集さんにお話ししたら、「やはり更年期は女性だけのものじゃない。夫婦の話を入れたほうがいいね!」と。
―― 本書の制作を通じて感じた「男性の更年期の難しさ」は?
本の中で監修の関口先生も解説していますが、正確には“男性の更年期”というものはなく、女性の更年期症状によく似た不調(加齢性腺機能低下症)が起こるそうです(分かりやすさを重視して“男性の更年期”と呼ばれているのだと思います)。
女性の場合は「閉経の前後5年ずつ10年間が更年期」とされていますが、男性の更年期症状が現れる時期ははっきり決まっていなくて、分かりづらいみたいですね。
女性なら同年代のみんなで「更年期だからねー」と会話しやすい気がしますが、男性が、特に30〜40代など若いうちにこういった症状に悩まされたら、周りにも話しづらいだろうなと思います。
―― “加齢と関係のある心身のトラブル”なのに、同年代の人たちはまだ起こっていない……となると、別の原因を疑うのが自然でしょうしね。
それから、男性にも加齢による不調があることは徐々に認知されてきましたが、まだまだ「更年期症状は女性特有のもの」という感覚があって、自分ごととして捉えにくいかもしれません。
想像ですが、もしかしたら女性以上に「更年期の症状かも」と受け入れることに抵抗があるのではないかいう気もしていて。だから、夫に対しても「取材だと思って行ってきて!」とお願いしました。これなら「仕方ないなあ」と行きやすいかなと思って。
―― 更年期は、社会的にはまだまだ若いとされ、家庭や仕事のために頑張らなくてはいけない年代。そんな板挟みな悩みと、上手に向き合うには?
私自身、高齢出産で娘を産んでいて、更年期世代に突入した今も、子育ての真っ最中。職業人生的なことを考えても、ここからラスト10年間が最後のイチバン面白い時期では、と感じます。会社勤めの方であれば、役職に就いて責任ある立場にいる方も多いかもしれませんね。
でも、20〜30代のころと比べると、やっぱり圧倒的な体力の衰え、そして老いを感じずにはいられません。個人的には、まだまだ若いと言われても、やはり無理はできないという自覚があります。
しかし、更年期の年代になると、自分の性格や特性が分かってきて(良いところもダメなところも)、良い意味でずうずうしさも備わってくるものでしょう(笑)
限りある体力と時間を何に優先的に使うべきか、上手に大胆に決めていける時期かなと感じていますので、「やりたくないこと」「自分がやるべきことではないこと」をどんどん切り捨てていくのがよいのでは、と思っています。
だって、「アレもコレも」はもう無理なんですから!
―― 読者へのメッセージをお願いします
今回、取材に協力してくださった皆さんは、口をそろえて「自分が苦労した体験談が、少しでも皆さんの役に立つのなら!」と仰ってくださいました。さまざまなタイプのさまざまな症状(不調がなかった方のお話も!)のリアルな様子が分かる本になっていると思います。
タイトルを『私の生理のしまい方』にしたのは、「更年期」という言葉にまだ抵抗を感じる年代の方にも手にとって読んでもらいたかったから。女性にとって「生理」は日常的にあるものなので、そちらの方が受け入れやすいかなぁ、と。
男性からすると「生理」でもまだとっつきにくい言葉かもしれませんが、私のまわりでは、けっこう男性の方が「勉強させてもらうよ」と手にとってくれています! 夫は一気に読んで「これは、男女問わず広くみんなが知った方がいいねぇ」としみじみと言ってくれました。
―― 誰しもいつかは当事者か、当事者の身近な人間になるテーマですからね。
この作品が更年期についての認知が広がる一助になって、みんなでフツーのこととして話せるようになっていくといいなぁ、と思っています。「こんなことがあるんだって」「私ももしかして?」と家族や友達、身近な人と雑談できるきっかけになったら、うれしいです。
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「アドバイスをくださる人もいたんですけど、どれも一般論で」
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