コーヒーは「カフェイン」で選ぶ時代に? 含有量猛アピール、“微カフェイン”の概念も…… メーカーの狙いは(1/2 ページ)

背景には何があるのでしょうか。

» 2023年12月09日 08時00分 公開
[ねとらぼ]

 「味わい」や「香り」などが重視されてきたイメージが強いコーヒー市場にあって、カフェインの含有量を打ち出したコーヒーが相次いで販売されています。各社の狙いはどこにあるのでしょうか。メーカーに取材しました。

カフェイン コーヒーは「カフェイン」で選ぶ時代に?(出典:PIXTA

若者中心にヒットした商品も

 スーパーやコンビニ、自動販売機で売っているコーヒーとしては、サントリーの「ボス」やコカ・コーラの「ジョージア」、アサヒの「ワンダ」などのブランドが知られます。そうした有名ブランドから、「カフェイン」をコンセプトにした商品が今年、相次いで登場しました。

 サントリー食品インターナショナルが4月に発売した缶コーヒー「ボス カフェイン」シリーズは、パッケージに「コーヒーでカフェイン200mg」と大きく記載された、カフェイン量の多さを打ち出した商品です。既存の缶コーヒーは40〜50代がメインユーザーだったものの、「ボス カフェイン」は今まで缶コーヒーをあまり飲んでいなかった20〜30代のユーザーの間で評判に。発売2カ月で販売本数2000万本を売り上げるヒットとなり、9月には新フレーバー「カフェモカ」も登場しています。

カフェイン サントリーが販売している「ボス カフェイン」シリーズ(画像はニュースリリースより)

 アサヒ飲料がAmazon.com限定で10月末に発売したペットボトルコーヒー「ワンダ SLOW TIME COFFEE」は、「微カフェイン」をコンセプトに、同社の主要製品比でカフェイン量を55%カットしているブラックコーヒー。「夕方にコーヒーが飲みたくても、日中に仕事のために飲んだコーヒーのカフェイン量が気になり、諦めざるを得ない」というユーザーの声をきっかけに、「自分のために楽しむようなコーヒーを作れないか」と、カフェイン量を減らしたコーヒーを販売したといいます。

カフェイン アサヒが販売している「ワンダ SLOW TIME COFFEE」(画像はニュースリリースより)

 「カフェイン量」を打ち出したコーヒーはコンビニでも。ローソンが11月から販売しているチルド飲料「カフェラテ カフェイン」「カフェラテ カフェインレス」は、それぞれカフェインの有無をコンセプトにしたカフェラテです。前者は同社のチルド飲料「Uchi Cafe カフェオレビター」(1本当たり)と比較してカフェイン量が1.1倍。後者はカフェインを90%以上除去したコーヒーを使用しています。

カフェイン ローソンが販売しているチルド飲料「カフェラテ カフェイン」「カフェラテ カフェインレス」(画像はニュースリリースより)

背景にある消費者意識の高まり

 カフェイン量を打ち出したコーヒーの販売が相次ぐ背景にあるのは、消費者の「カフェイン」に対する関心の高まりです。

 サントリー食品インターナショナルの広報担当者は「ボス カフェイン」シリーズの販売にあたって、「SNSでカフェインに関する投稿が2年前の1.2倍以上になっていた」ことが背景の1つにあったと説明。アサヒ飲料の広報担当者も「実際に体質などで制限のある方でなければ、細かい数字まで気にされない、という考えもありましたが、エナジードリンクの隆盛などを通して徐々にカフェイン含有量についての認識も高まっていると思っています」と、消費者意識の変化を実感しているといいます。

 こうした中でメーカーが着目したのは、カフェインを目的にコーヒーを飲むという消費者の価値観でした。サントリー食品インターナショナルの担当者は「缶コーヒーをカフェイン飲料として捉え、今までの缶コーヒーにはない魅力づくりをすることで、市場の成長を追い風に、新しいマーケットで成長するチャンスがあると考えた」と、「ボス カフェイン」シリーズに込めた狙いを語ります。

 意識的なカフェイン摂取に対する考え方が広がりを見せる一方で、「カフェインを取らない」という価値観も広がっています。ネスレの調査によると、家庭内でのカフェインレスコーヒー市場は 2012年から2022年にかけて約3倍に成長。今後も伸長が予想されているとしています。サントリーも「ボス」ブランドから濃縮タイプのコーヒー「割るだけボスカフェ 贅沢カフェインレス」を以前から販売するなど、カフェインレス市場も活発化しています。

カフェイン サントリー食品インターナショナルが販売している「割るだけボスカフェ 贅沢カフェインレス」(画像はニュースリリースより)

 ローソンの広報担当者は「気持ちのオン・オフの切り替えのために、コーヒーとカフェインレスコーヒーを飲み分けている方が増えている」とし、「カフェラテ カフェイン」を“オン”、「カフェラテ カフェインレス」を“オフ”に、ターゲットをそれぞれ位置付けたといいます。

 そして、「ワンダ SLOW TIME COFFEE」を通じて、「微カフェイン」という概念を打ち出したアサヒ飲料の担当者は「(カフェイン量を)半分にすることで味わいの面でもカフェインレスコーヒーでは実現できない、適度な苦味やおいしさなどいう価値がうまれると考えました。間を狙うことで、お客様にとって新しい飲用シーンがご提供できるのではないかと考えています」と説明。「カフェイン特化」でも「カフェインレス」でもない、独自の立ち位置からの勝機をうかがっています。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/28/news195.jpg 岡田紗佳、一連の騒動を生中継で謝罪 頭を深く下げ「申し訳ございませんでした」
  2. /nl/articles/2501/28/news155.jpg がん闘病の森永卓郎、容態急変後にモルヒネ投与で“結構厳しい状況” スタジオ出られず弱々しい声で「そう長く持たないかもしれない」「本格的に転移が始まったよう」
  3. /nl/articles/2501/29/news045.jpg 新潟のお葬式で香典返しにもらった“謎の白い物体” パッケージにも情報なし「これなんだかわかりますか?」
  4. /nl/articles/2501/26/news053.jpg 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
  5. /nl/articles/2501/29/news086.jpg 鮮魚店で売れ残ったタコを水槽に入れたら、数週間後まさかの展開が…… 胸を打つ光景に「目が腫れるくらい泣いてます」
  6. /nl/articles/2501/28/news034.jpg 大人なら5秒で解きたい!「9+0÷2−3」の答えは?【算数クイズ】
  7. /nl/articles/2501/29/news058.jpg 「うちの祖父(81)わけてほしいわこのセンス……」 衝撃的な私服コーデに驚きの声「本物のイケジイ」「目標にします!!」
  8. /nl/articles/2501/27/news073.jpg 「昔はモテた」と自慢げな父→娘は“絶対ウソやん”と思っていたけど…… 当時の姿に「ハハハ冗談だろ?」【海外】
  9. /nl/articles/2501/29/news122.jpg 正方形のスカーフ1枚→切ってゴムを縫い付けるだけで…… 魅力的な完成品に「デザインがきれい」「簡単に作れました」【海外】
  10. /nl/articles/2501/29/news036.jpg 【かぎ針編み】ダイソーの毛糸1玉で完成する“肌寒いときに便利なオシャレアイテム” さくさく編みやすい解説が「良いですね」と話題
先週の総合アクセスTOP10
  1. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  2. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  3. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議
  4. スーパーで買った半玉キャベツの芯を植え、5カ月育てたら…… 農家も驚く想像以上の結末が1300万再生「凄い」「感動した」
  5. 東京藝大卒業生が油性マジックでサンタを描いたら? 10分で完成したとんでもない力作に「脱帽です」「本当にすごい人」
  6. 定年退職の日、妻に感謝のライン → 返ってきた“言葉”が約200万表示 大反響から7カ月たった“現在の生活”を聞いた
  7. 【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
  8. 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
  9. 「すんごい笑った」 “干支を覚えにくい原因”を視覚化したイラストが勢いありすぎで1700万表示の人気 「確かにリズム全然違う!」
  10. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」