電車で座れる確率を上げたい→「目の筋肉を鍛える」「日々PDCAを実践する」!? 山手線の車内広告に“役に立ちすぎる”謎の資料が登場
電車の中で座るための3つの戦略、とはいったい?
電車に乗車中の人々にさまざまな情報を伝えてくれる車内広告。最近、山手線内で展開されている、ある車内ジャック広告が異色の雰囲気をかもし出しています。一見すると何かの資料のようですが……?
何の広告だろう、と思ってよく読んでみると、実は電車に乗っている人々にとってめちゃめちゃ役立つ資料になっていました。ズバリ、タイトルは『電車の中で座るための戦略とアクションプラン』。
この資料は、「解決する頭脳。」をキャッチコピーに事業を展開する「みずほリサーチ&テクノロジーズ」が作成した車内広告とのこと。アクションプランって言いたいだけだろー! とツッコミ気分で読んでみたら、本気で役に立つような、やっぱり役に立たないような……? じわじわくる大作となっていました。
電車で座りたい人、必見の資料……かも
じっくり読みたい人に向けて、車内広告に貼られているものと同じ資料が、公式サイトに掲載されています。電車に乗っている時間だけでは読み切れないので見てみよう、と開いてみると驚愕。全部で94ページもある大作となっています。
堅苦しい資料に見えますが、スッと読むことができました。ニュース番組のアナウンサーが突然ダジャレを言う程度に軽く、楽しく、ツッコミどころがあります。電車で座るためなら超がんばれる人必見。さっそく読み込んでいきましょう。
電車で座りたいと思っている人は75%もいる
具体的な戦略を考える前に、まず必要なのがしっかりとした現状分析です。コンサルっぽい。
埼玉・千葉・東京・神奈川に住んでいて通勤・通学で週1回以上電車に乗るという人3000人にアンケート調査を実施したとのこと。その結果、立って過ごしたい人は8%、座りたい人は75%にのぼることがわかりました。やはり、ライバルは多し。
ちなみに、いろいろなデータが提示されるなかで、気になったものありました。それは「立つ場合よりも座る場合に多い過ごし方」の統計。なんと、全年代、性別問わず、1位は「睡眠をとる」でした。みんな、寝たいんだね……! 日本人、疲れすぎー。
一方で、朝の首都圏の各路線における混雑率を思い出せば、希望者全員が座れる可能性は極めて低いということもすぐにわかります。絶望的な状況のなかで、どうしたら座れる可能性を少しでも上げることができるのでしょうか?
ブルーオーシャンを狙って座れる確率アップ!
この資料で提示されたのは3つの戦略、ズバリ「ブルーオーシャン戦略」「鳥・虫・魚・コウモリの目戦略」「ファーストペンギン戦略」です。このコンサルっぽいネーミングがたまらなくいいっすね。
戦略はまさかの出発前から始まります。ブルーオーシャンとは、激しい競争が続く分野(レッドオーシャン)を避ける手法。つまり、混んでる時間・車両に乗らなければいいのです。なんなら行くのをやめればいい(意訳)とまで書いてあります。
なんだ、そんなことかと思うことなかれ。資料を見ると、首都圏の有休奨励日は月曜と金曜が多いなど、避けるためのデータがいろいろ載っています。
アンケートによると、7割近くが改札へのアクセスがよい車両を選んで乗っています。平日の朝、首都圏の電車で乗降者が多いエリアで改札に近い車両に乗れば、降りる人も多いので座れる確率が上がります。この発想は目からウロコでした。
鳥・虫・魚・コウモリの目で座れる確率アップ!
次は「鳥・虫・魚・コウモリの目戦略」です。多角的な視点での観察力を使います。なんかいろんな目を詰め込みすぎてる気もしますが、つまり各エリアで降りる人の特徴を知り、見極められるようになれということです。
そこで、アンケート結果から首都圏の各エリアで降りる人の傾向を分析しています。たとえば新宿エリアではスニーカーが52%でした。一方、新橋では革靴が50%。一見使えそうなデータに見えますが、他のエリアも似た傾向なのでうまくいかないかもしれません。
けれども個人的に気になったのは、新宿エリアの服装「青・ブルー系 80%」です。他のエリアはすべて黒・ブラック系が1位だったので、この特徴は気になります。今度、青いスニーカーの人を見かけたら、本当に新宿で降りるかそっと観察しよう。
ファーストペンギンになって座れる確率アップ!
最後に「ファーストペンギン戦略」です。リスクを恐れず最初に海に飛び込んだペンギンこそ、成功したときのメリットも真っ先に受けられます。つまり、競争相手よりも先に挑戦を繰り返すのがこの戦略。席が空いてからの行動を素早くするのがポイントです。
ちなみに、この章から妙なツッコミどころが増えてきます。「みずほリサーチ&テクノロジーズ」って楽しい会社だよ、ってアピールしたくて面白い担当者呼んできたんですかね。席に座るために必要なことは「水筒の中身を減らして軽くする」「基礎体力の向上」とか書いてあります。まさかの筋力です。ここでも筋肉は裏切らないというのかー!
さらにはですね、初動を素早くするためには「目の筋力トレーニングが有効」とまでありまして、なんなら「トレーニングをやってみよう」みたいな資料まではさみこまれています。
なるほどね、ちょっと筋トレしてみようかな……って、そうはならんやろ! なぜ座りたいのか思い出してみましょう。寝たいんです。睡眠がとりたいんです。トレーニングとかやってる場合じゃないんですっ。休ませてくれー。
PDCAサイクルを回していこう
と、いうわけで、ツッコミどころいっぱいのこの資料。今後、着実に座れるようになっていくためにはPDCAを回せとのアドバイスで締めくくられます。それ、PDCAって言いたかっただけじゃ……。
資料で紹介された内容をもとに実際の動き方を計画して(Plan)、実行して(Do)、計画通りにできたか・計画は適切だったかを評価して(Check)、それをもとに計画を改善してまた新しい行動に移っていく(Action)――わかりますよ、わかりますけど。座ることに対して本気出しすぎ!
座席に座りたい人、ツッコミの練習をしたい人にオススメ
シュールなのに本気さがうかがえる「みずほリサーチ&テクノロジーズ」の広告は、山手線内の車内ジャック広告のほか、東京駅と品川駅の駅構内にも掲出されています。
通りすがっただけで全ての内容を読み切れることはまずないであろう情報量の多さなので、興味がある人は特設サイトでじっくり読んでみるのがオススメです。
「解決する頭脳。」をうたう会社だけあって、「提示された課題に対してどうアプローチするのか」を超大作の資料で教えてくれる車内広告でした。コンサル業界への就職・転職を考えている人にとっても勉強になりそうですし、まだまだボケはいっぱい仕込まれています。ツッコミの練習にも使えますぞ。
(高橋ホイコ)
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提供:みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ねとらぼ編集部/掲載内容有効期限:2024年3月28日