「病院ではすることない」 51歳の「BreakingDown」公式レフェリー、がんで余命2カ月 息子の説得で“決断”「中途半端嫌いって」「最後までやりきってよ」(1/2 ページ)

4400万円以上の募集金が集まりました。

» 2024年05月22日 12時25分 公開
[斉藤賢弘ねとらぼ]

 格闘技イベント「BreakingDown」スペシャルアドバイザーを務める朝倉海さんが5月21日にYouTubeを更新。同イベントメインレフェリーを務める鬼木貴典さんが余命数カ月のがんを患っていることに関連し、援助を申し出る動画を公開しました。

がんで余命2カ月を宣告された「BreakingDown」レフェリー 2人を迎えた鬼木さん(画像はYouTubeから)

数日前に伝えた“ステージ4”

 「BreakingDown」公式レフェリーとして、同イベントファンには高い知名度を誇る鬼木さん。

 しかし5月18日にX(Twitter)を通じ、自身がステージ4のがんであるため、次回以降の同イベントレフェリーを辞退すると発表。

 現在では「サイドステップ、バックステップなどレフェリーに必要な機敏な動きが出来なくなりました」「今は筋肉が日々減少し歩くだけでも身体に激しい痛みが走ります」としており、「好きな格闘技やブレイキングダウンを視聴しながら残りの人生を楽しみたいと思ってます」と余命を安らかに過ごす心づもりであることも告白。

 直接知らせる勇気を持てないまま、SNSでの発表となってしまうことを謝罪して投稿を終えていました。

自由診療に切り替えるも……今は「家族と過ごしながら最後を迎えたい」

 今回の動画では、沈痛な表情を浮かべた朝倉さんが、「BreakingDown」COOの溝口勇児さんらとともに鬼木さんの自宅を急きょ訪問する場面を配信。

 2人を迎えた鬼木さんは「大会前の本当に忙しいときにご迷惑かけて申し訳ありません」「すいません」と涙声で幾度となく謝罪し、手にしたタオルで顔をぬぐいながら現状を報告。数年にわたって通院しており、抗がん剤治療も欠かさずやっていたものの、2024年4月頭に「1カ月程度」「長くても3カ月ぐらいじゃないか」「うちの病院ではすることがない」と余命宣告を受けたといいます。

 保険の範囲で受けられる治療がなくなったため、自由診療に切り替えたものの、最低1000万円ほどかかる上に病が治る確証も持てないこと、21歳長男、13歳次男、11歳三男、8歳長女という4人の子どもの将来も考え、「楽しく家族と過ごしながら最後を迎えたいなと思っています」と抗うことを止めたとしていました。

 なお、助かる可能性については「状況的には万の一つもない」「(可能性が)10%ありますよ、20%ありますよだったら、まだ抗おうと思ってたんですけどやっぱりもっともっと低い位置で」と思うところを吐露していました。

周囲の説得でCF実施へと翻意

 まだ幼い子どもたちに「どう説明していいかも分からない」と漏らす鬼木さん。妻の説得を受け、事情が分からないまま入室してきた子どもたちに向かって真実を告げた後、号泣する4人に「今まで皆に言えなくてごめんね」「お父さんも自分で治せると思ってたから」「みんなでお母さん支えてがんばってください」と説いて聞かせていました。

がんで余命2カ月を宣告された「BreakingDown」レフェリー 告白を受けて泣き出す子どもたち(画像はYouTubeから)

 すべてを受け入れたかのような鬼木さんでしたが、溝口さんが「奇跡を一緒に起こしましょう」と必死に説得し、長男も「チャンスが来てるならつかんでほしいし、中途半端で終わってほしくない」「中途半端嫌いってずっと言ってたじゃん、最後までやりきってよ」と思いのたけをぶつけたところ、ついに翻意してクラウドファンディング実施を受け入れています。

がんで余命2カ月を宣告された「BreakingDown」レフェリー 息子の説得(画像はYouTubeから)

 当該クラウドファンディングは記事執筆時点で、1000万円の募集額をはるかに上回る約4480万円を約5600人から集めて無事終了

 運営サイドは「治療費に対して余剰が出た場合は、BreakingDownには恵まれない家庭環境で育った選手や応募者が多いことから、里親支援や子どもたちを取り巻く環境改善に取り組むNPO法人日本こども支援協会に全額寄付をさせていただきます」としています。

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