「作品の対価が音楽文化の発展に寄与する」 JASRACが楽器教室からの著作権料徴収について概要を解説
一部報道やSNS等において事実と異なる情報も広がっている状況を鑑みて解説したもの。
楽器教室からも著作権利用料を徴収する意向を示し、物議を醸していた日本音楽著作権協会(JASRAC)(関連記事)が、公式サイト上で今回の意向についてQ&A形式であらためて概要を解説しました。
JASRACは、2011年からフィットネスクラブ、2012年からカルチャーセンター、2015年から社交ダンス以外のダンス教授所、2016年からカラオケ教室・ボーカルレッスンを含む通う教室など、さまざまな音楽教室から使用料を徴収を開始しています。この状況を踏まえ、これらの音楽事業者との公平性を保つ観点からも、「これ以上楽器教室の使用料徴収開始を遅らせる事はできない」と楽器教室から著作権料徴収を開始する経緯を説明しています。
「楽器教室は教育目的であり、演奏権は及ばないのではないか」という疑問に関しては、“営利を目的としていない”“聴衆・観衆から料金を徴収しない”“出演者に報酬が支払われない”の3要件を満たす場合には演奏権が及ばないものの、「営利事業であるため音楽教室には演奏権が及ぶ」と説明。また、「公の演奏ではないので演奏権は及ばないのでは」という疑問については、「楽器教室における音楽著作物の利用は不特定の顧客(受講者)に対するものなので、公の演奏にあたる」としています。
「音楽文化の発展に寄与するという著作権法の趣旨に沿っておらず、音楽文化を衰退させることにつながる」という意見については、「著作権の保護を図らなければ持続的な発展を実現できない」「作品への対価が次の創作を支えていく循環になり、音楽文化の発展に寄与する」とJASRAC側の考えを明かしています。
JASRACの著作権料徴収の意向を巡っては、2月3日に音楽教育事業を営む企業が「音楽教育を守る会」を発足し、「著作権法の目的に合致しない」「音楽教室での練習・指導のための演奏には演奏権が及ばない」と主張していました(関連記事)。今回のJASRACの発表は一部この主張への回答となっていると言えます。
このJASRACの発表は「一部報道やSNS等において事実と異なる情報も広がっている状況」を鑑みて行われたもの。ネット上では今回の方針が示されてから“4分33秒黙っていると著作権料が発生する”(関連記事)といったウワサが流れたり、JASRACをかたる偽者のTwitterアカウントが登場する(関連記事)などJASRACに関する真偽不明の情報が多数みられました。
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