公益社団法人日本生産性本部から毎年3月に発表される「新入社員の特徴」。2017年は昨年流行したポケモンGOにちなんで「キャラクター捕獲ゲーム型」と命名され、昨年は「ドローン型」、その前は「消せるボールペン型」など、単なる思い付きで付けたとしか思えないネーミングが毎度話題を集めます。でもこれ、実はある程度裏打ちされたデータを元に発表されているということは、案外知られていません。
命名を行っているのは、同財団の「職業のあり方研究会」。社会学者でライズコーポレーション代表取締役の岩間夏樹さんが座長を務めています。報道では見出しの「ポケモンGO型」といったキーワードが目立つため、そちらに注目が集まりがちです。しかし発表内容をよく確認すると「キャラクター(就職先)は数多くあり、比較的容易に捕獲(内定)出来たようだ」「一方で、レアキャラ(優良 企業)を捕まえるのはやはり難しい。すばやく(採用活動の前倒し)捕獲するためにはネット・SNS を駆使して 情報収集し、スマホを片手に東奔西走しなければならない」など、命名がその年の就職状況を背景に行われていることが分かります。
実は同財団では毎年、新入社員に対し「春の意識調査」「『働くことの意識』調査」「秋の意識調査」といった調査を行っており、これらの結果を細かく公開しています。こうしたデータに加え、各種企業の調査結果、大学のキャリアセンター職員や企業の採用担当者からのヒアリングなどを踏まえて、その年の特徴がどうであったか、話し合いの場が持たれます。
ところが、データに裏打ちされた調査が行われていることまでは分かるものの、実際のところ誰がどのように「ポケモンGO」「ドローン」といったキーワードを決めているかは不透明です。今年の「ポケモンGO」を発案したのは誰なのか、決定に伴う会議の回数、参加人数、期間などはどうなっているのか、ねとらぼ編集部が同財団に取材を申し込んだところ、残念ながら詳細は「非公開」との回答でした。
「○○型」といったフレーズは耳目を集めますが、そのフレーズを支える論拠も調べてみると面白いもの。単なるレッテル貼りと切り捨てるのではなく、年度ごとの社会背景を知るきっかけとして利用すると、より有意義かもしれません。
出典:公益財団法人 日本生産性本部
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