4月22日、東京都・稲城市の南多摩駅前で「南多摩駅前まちびらき式典」が開催されました。同式典内では、アニメ「ヤッターマン」の人気犬型巨大ロボット・ヤッターワンのモニュメントの除幕式が行われ、ヤッターワンのデザインを手掛けた稲城市在住のメカニックデザイナー・大河原邦男さん、2008年版「ヤッターマン」でヤッターワンの声を担当した声優の山寺宏一さんらが出席しました。
1977〜1979年にかけて放映されたアニメ「ヤッターマン」は、タツノコプロによるタイムボカンシリーズの2作目。宝のありかを記すという謎の石“ドクロストーン”をめぐってヤッターマンとドロンボー一味が冒険と戦いを繰り広げ、「今週のビックリドッキリメカ」「ブタもおだてりゃ木に登る」など数々の名(珍)セリフ・名(珍)場面を生み出したシリーズ屈指の人気作です。2008年にはリメイク版が放送されました。
「機動戦士ガンダム」「装甲騎兵ボトムズ」などで知られる大河原邦男さんのデザインを感じさせる作品を稲城市に設置する「メカニックデザイナー大河原邦男プロジェクト」の一環として、南多摩駅前に登場したヤッターワンのモニュメント。この日、稲城市の公式キャラクター・稲城なしのすけの時計台とそろってのお披露目となりました。
除幕式に続いて、大河原さんと山寺さんによるトークイベントが行われました。
「めちゃめちゃうれしいんだワン。自分のやったキャラがモニュメントになるのは初めてなんだワン。やっといてよかったワン」と、ワンワン多めのヤッターワン声で喜びを表した山寺さん。初代「ヤッターマン」や「破裏拳ポリマー」「おらぁグズラだど」など、タツノコ作品が大好きだったそうで、小学生のころにものまねをしていたという“グズラが鉄を食う声”や、さらに“犬”つながりでおなじみ「アンパンマン」のチーズや馬(ピクルス)の声なども披露しました。最近、「彼岸島X」で50のキャラクターを担当したことも話題になった山寺さんですが、動物そのものにしか聞こえないその声のクオリティーは、まさに神業。「そこまでリアルにやらなくていいです」といわれることもあるんだとか。すごすぎる。
日本を代表する元祖メカニックデザイナーの大河原邦男さん。「ガンダム」をはじめシリアスなロボットアニメも多数手掛けており、「ヤッターマン」のようなコミカルな作品とリアルな作品で描き方は違うのか? と聞かれると「あ、一緒ですよ」とあっさり。世界観が全く違う作品作りについて「息抜きになるんですよね。タイムボカンシリーズみたいなところでチャレンジングなデザインをして反響を見て、またリアルなロボットに反映させるとか、両方やっていると精神衛生上すごくいいんです」と話し、さらに「やわらかいのとハードなのと両方できると、その間が全部できることになるので、生活が安定するんですよ(笑)」と冗談混じり(?)なコメントも。
「ヤッターマン」ではヤッターワン、ヤッターペリカンなどの主要メカやおだてブタをはじめとするコクピットメカ、さらにナレーションも担当し、劇場版では16もの役を演じた山寺さん。もちろん、山寺さんが演じたメカの数々は大河原邦男さんがデザインを担当しており、大河原さんいわく「ヤッターマン」で一番好きなメカは「2008年版の場合は、ヤッターアンコウ」とのこと。
その理由として、「30年前のヤッターアンコウは上からパイロットの主役の2人が見えないんですが、(2008年版では)キャノピーにして、商品にしたときに中に2人が見えるようにデザインに落としこむのがうまくいった」と語った大河原さん。さらにお気に入りとして、「羽をつけてかなり先鋭的にして面白かった」というヤッターペリカン(2008年版)や「おだてブタのヤシの木」とまさかの“木”も。ヤシの木も大河原さんがデザインしていたとのことで、山寺さんも司会の五十嵐さんもまさかの事実に驚き、「この駅にそのうちヤシの木が立つかも」(山寺さん)という話まで持ち上がりました。
楽しいトークショーの最後は、おなじみ「ヤッターヤッターヤッターマン!」と勝利のポーズの声を皆であげ、“ヤッターワン”山寺さんが「ヤッターワン! ワオ〜ン!」と雄たけびをあげて締めくくられました。
2016年、稲城長沼駅高架下に作られたガンダムとシャア専用ザクに続いて、今年も大河原メカのモニュメント設置が実現した稲城市。ガンダムにヤッターワンと日本を代表するロボットが集結し、もはや彼らがいるかぎり、悪は栄えないメカニカルな町になっていきそうです。
(田下愛)
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むせる。