将棋棋士・藤井聡太四段の地元にある瀬戸市の銀座通り商店街。シャッター街に悩むなか、その「シャッター」を使う逆転の発想で「対局を大盤解説する」チャレンジが静かに注目を集めています。
シャッターによる大盤解説がはじまったのは2017年7月2日、藤井四段が30連勝をかけて佐々木勇気五段と対局したときのこと(関連記事)。
瀬戸焼きそばのお店だった跡地を使ったもので、「ネット中継が観られない人にも、見せてあげたい」と洋品店「noveRuga」の店主・飯島加奈さん(@ruga_cana)が発案し、商店街の皆さんで大盤を作ったそうです。
このとき藤井四段は負けてしまったのですが、そこから対局がある度にこの「シャッター大盤解説」が恒例になったとか。なお駒はダンボールにマグネットを貼ったもので、大盤のマス目はマスキングテープで作っています。
大盤解説は飯島さんが聞き手となり、やってきたおじさんたちが飛び入りの形で解説。藤井四段と対局者の手を検討していきます。
なお大盤の駒を動かすともとの局面を忘れてしまったりするため、縁台の将棋盤を使って検討することも多いそうですが、長時間の対局だと大盤の駒を動かしてテレビ解説のような形で行うとか。
集まる人数は基本5〜6人くらいで、多いときは20人ほど集まることも。特に終局間際になると多くの人が集まってくるそうです。
また終局後は、投了図を使ってみんなで詰将棋にチャレンジ。しかしそこから長い手順が残っていることも多いため、詰める手筋が見つけられないこともあるとか。
なお次の大盤解説会が行われるまで、シャッター盤は「前の対局の投了図」になっているほか、地元将棋ファンたちの憩いの場になっています。
飯島さんは当初、将棋のルールもうろ覚えだったそうですが、これを機にアプリを使うなどして急速に将棋を身に着けていき、今では「矢倉囲い」「振り飛車」などの用語もバッチリ頭に入っているとか。
「これで商店街が盛り上がってほしい」と語る飯島さんは、最後に藤井四段へこう言葉をかけています。
「瀬戸の希望でもあるし、親心のようなものを感じて、応援したくなります。彼に伝えたい言葉は『ありがとう』。これからも長く一緒に将棋を楽しんでいきたいです」
(辰井裕紀)
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