「絶対に日本語で歌うべきだと思っている」 ダイアモンド☆ユカイ、「トイ・ストーリー」主題歌が持つ“日本語の力”を語る
「トイ・ストーリー4」では約23年ぶりに「君はともだち」を新録。
映画「トイ・ストーリー」シリーズ最新作となる「トイ・ストーリー4」が7月12日に公開。第1作目からおよそ四半世紀に渡って愛され続けるウッディやバズたちの新たな冒険が繰り広げられます。
今回は、同シリーズでおなじみとなった主題歌「君はともだち」を1作目から歌い続けるダイアモンド☆ユカイさん(☆は六芒星が正式表記)に、同曲の魅力を聞いてきました。
――「君はともだち」はユカイさんの代表曲の1つだと思いますが、1995年に1作目が公開された当時、バリバリのロックシンガーだったユカイさんにとっては少しテイストの違う曲だったと思います。当時、この曲についてどう思いましたか?
ダイアモンド☆ユカイ(以下、ユカイ): 当時は、ロックンロールバンドでシャウトしているような時期だったし、ディズニーとかもピンとこなかった。でも、ちょうどその話をもらったときはバンド「RED WARRIORS」を解散して何かを探していた時期だった。作曲したランディ・ニューマンがすごく好きだったから取りあえず聞いてみることにしたら、曲調や歌い方もブルージーで、すごくいいなと思った。
でも、日本語に翻訳されると、ランディ・ニューマンが歌うブルージーな雰囲気とはまた違ったんだ。訳詞は俺も大好きなフォークシンガーの中川五郎さんが務めていらっしゃるけど、ずいぶんシンプルな歌詞になっていて、「ピンとこないな」って当時は文句言いながら歌っていたかな。今でも自分のライブでは必ずと言っていいほどこの曲を歌うけど、当時は日本語で歌うのが恥ずかしくて英語をミックスして歌ってたんだ。英語で歌う方がかっこいいなって思ってた。
――当時から約23年たちますが、その気持ちに変化はありましたか?
ユカイ: まず、「トイ・ストーリー」にすごく感動したんだ。ギンギンに粋がっていたのに、ジーンと心にくるものはみんな一緒なんだと気づいて、気持ちは全然変わった。
歌詞は、ランディ・ニューマンの歌をそのまま翻訳していると思うけど、その中に日本語が持つ意味や表現があると感じていて、その意味合いは時代とともに変わり、歌えば歌うほど新しい感覚にさせてくれる曲になった。当時子どもだった人が大人になって、子どもができて、一緒に見たりして……歌っている俺も無精子症で不妊治療を経て子どもを授かったりして、歌う度に日本語歌詞が持つ意味合いは変わっていった。今では絶対に日本語で歌うべきだと思っているよ。
歌って、俺は“サムシング”ってよく言うけど、目に見えないものでしょ。俺はそういう“目に見えないもの”を歌いたいなとずっと思っていたけれど、「君はともだち」にはそれがあった。俺の人生になくてはならないものだよ。
――「トイ・ストーリー」シリーズにとっても「君はともだち」はなくてはならないものだと思います。ユカイさんにとって、「トイ・ストーリー」シリーズはどんな作品ですか?
ユカイ: 自分にとって、鏡を見ているようなところがある。「トイ・ストーリー」はシリーズを通して成長を描いていて、3作目でウッディたちは別れを経験して終わりかと思ったけれど、4作目で新たな冒険を繰り広げる。人生にもいえることで、出会いと別れを経験して大人になって完結するのではなくて、そこからまた冒険がある。「トイ・ストーリー」は人生だね。
――今作では「君はともだち」を新録されていますが、ユカイさんの提案ですか?
ユカイ: いえ、ディズニーから依頼をいただきました。
作品のために歌い始めた曲だけど、ずっと歌い続ける中で「ユカイさんのものになっいるんじゃない?」と言われるようになって……ありがたいですよね。当時は、ウッディ役の唐沢寿明さんが歌っていると思われていて、「俺が歌っているんだ」と言い続けてきたけど、この曲は俺だけのものじゃなくて、みんなのものになったよね。そう思える歌に出会えたことに感謝している。なかなか出会えるものじゃないから。今作でも「トイ・ストーリー」を作っている一員として歌わせてもらうことに喜びを感じているよ。
――今作では新曲「君のため」も歌われていますね。何か意識されたことはありますか?
ユカイ: ランディ・ニューマンは難しいコードをよく使うけれど、初めて「君のため」を聞かせていただいたとき、エルヴィス・プレスリーのような王道のロックを感じた。歌は、ウッディのフォーキーやボニーに対する思いを歌ったものだけど、その気持ちはもう親心。俺も子どもが3人いるから、子どもに説得したり、分かってもらえないけど一生懸命だという気持ちを込めて歌わせてもらったよ。
――ウッディのフォーキーに対する思いを歌った曲であると同時に、“フォーキーの使命”を歌っているようにも感じました。ユカイさん自身の使命は何だと思いますか?
ユカイ: これまで、ブロードウェイに行って歌いたいとか、全米デビューしたいとか思ってやっていたけれど、今できる限られた才能を使って、できることをやりたいな。一番大切にしているのは“感動”で、それを形にできるのが自分の中では歌なんだろうなと思う。感動を形にしたいという思いは表現者だったらみんなあるんじゃないかな。
――これからもチャレンジしていきたい?
ユカイ: もちろん。挑戦しているときって燃えているでしょ。何もかも忘れて真っしぐらになっている自分が好き。そういう気持ちを知っているから、逆に何もないとつまらない。挑戦できるものにどんどん出会いたいね。
「トイ・ストーリー4」インタビュー
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