ディズニー作品の“ステマ(ステルスマーケティング)疑惑”について12月11日、ウォルト・ディズニー・ジャパンの謝罪後初めて、関係する漫画家たちがTwitter上で謝罪を行いました。
代理店に「PR表記必要ない」との説明受けた
ディズニーが謝罪を行う以前、12月4日の段階で当該漫画家7人がそれぞれ謝罪を行っていましたが、その中の小雨大豆さん、大和なでしこさん、山本アヒルさん3人があらためて経緯の説明と、謝罪を行いました。
小雨大豆さんは、「仕事を依頼してきた代理店はPR表記をつけないよう依頼してきましたが、本文にアナ雪2のタグ2つと時間を揃えての投稿にする事で、これがステルスマーケティングにはあたらないと認識していたようです」との説明と共に、「この度はお騒がせして本当に申し訳ありませんでした」と謝罪。大和なでしこさんも、「依頼主側から作家達が同じ時間、同じタグを使用するのでPR表記は必要ないと説明がありましたので、その指示に従いマンガをツイートしました」と、自身の認識が甘かった点を謝罪しつつ説明しました。
一方で山本アヒルさんは、「ディズニーさんから謝罪を頂いたので、一旦区切りとして僕からも改めて謝罪をさせてください」と切り出しつつ、「タグの指定、他作家さんと同時投稿ということからPR表記がなくてもPRだと理解されると思い、表記の重要性をわからずツイートしてしまいました」と、自らの非を強調しつつ、あらためて謝罪しています。
“共通のハッシュタグが入っていればステマではない”は間違い
一般論として、“共通のハッシュタグが入ってさえいればステマに当たらない”ということはなく、ユーザーが広告物だと認識できない形でのPRは、ステマに該当する可能性があります。同件について、いわゆる「ステマ防止ガイドライン」を定めているWOMマーケティング協議会は「消費者が保護されていないようであれば『WOMJガイドライン』の精神に反している」との見解を示しています。
漫画家が4日に投稿した謝罪文では、それぞれが一様に自らの認識不足を謝罪しており、ディズニー側や仲介となった代理店側からの声明がなかったことから、「ディズニーや代理店側が漫画家に責任を押し付けている」と批判を集めていました。漫画家側の認識不足も一因であったことは間違いない一方で、「PR表記無し」とした依頼主側の責任も明確になったといえます。
なおディズニーは11日の謝罪で、「クリエイターのみなさまに責任はございません」と、責任があくまで自社にあることを強調しています。
同様の事案としては、10月に吉本興業に所属するお笑いコンビ「ミキ」が京都市からの依頼を受け、「#京都市盛り上げ隊」などのハッシュタグと共に投稿したツイートが「ステマに当たるのでは」と批判を集めていました。こちらについて京都市側と吉本興業は「ステマには当たらない」という見解を表明しており、そういう意味では悪しき前例として今回のディズニーの騒動につながっているとの見方もできます。
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「アナ雪2」ステマでは複数社が関与か
また小雨大豆さんは、「大きな案件は何社にも渡って仕事がつくられていくのでスピードが必要な映画案件においてそこが疎かになってしまったようです」とも説明。
ディズニー側は今回の問題の原因は、マーケティング活動における社内指針の周知・厳守が徹底されなかったためであると説明していましたが、小雨大豆さんの投稿の通りであれば、ディズニーの他に複数社が同件にも関わっていたことになります。つまり、ディズニーだけではなく、複数社がコンプライアンス意識の欠けた決定を素通りさせたことを意味します。
問題が明るみに出たのはたまたま「アナと雪の女王2」でしたが、「アラジン」「アベンジャーズ/エンドゲーム」「キャプテン・マーベル」などでも類似行為が疑われており、こちらでも同様に複数社が関わっていたとすると、ディズニーだけではなく業界の体質的な問題である可能性もあります。
既報の通り、今回関与していた複数の漫画家がエージェント会社「wwwaap(ワープ)」に所属していたことから、ねとらぼ編集部では同社に対し再三問い合わせを送っていますが、現在まで「担当者不在」の状態が続いており、回答は得られていません。
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