通販サイト「楽天市場」で、一定額以上の購入について送料込みの表示にするように出店者に求めている問題で、公正取引委員会は2月28日、独占禁止法に基づき、楽天に対する緊急停止命令を東京地裁に申し立てました。公取委による緊急停止命令の申し立ては2004年以来、16年ぶりとなります。
公取委は申し立ての理由として、楽天が導入を計画している「共通の送料込みライン」の導入が、「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、取引の相手方に不利益となるように取引の条件を変更しているもの」と指摘、独禁法違反の疑いがあるとしています。
楽天が予定通り3月18日に導入すると、出店者などに重大な悪影響を及ぼすことになり、通常の「排除措置命令」を待っていては「侵害された公正かつ自由な競争秩序が回復し難い状況に陥ることになる」として、緊急の必要性があるとしています。
楽天は、楽天市場の店舗で3980円以上(税込)を購入すると送料を無料とする方針を打ち出していますが、送料を負担することになる出店者が反発。2月10日には公取委が楽天を立ち入り検査していました。
楽天は法令違反はないとして予定通り3月18日に導入する計画ですが、これまでの「送料無料」という表現を「送料込み」に変更。出店者が商品の価格を調整しやすい表現に改めていました。
独禁法では、緊急の必要があると裁判所が認める場合、公取委の申し立てを受け、企業などによる同法違反行為を一時停止することができると定めています(70条)。公取委による緊急停止命令の申し立ては04年6月、有線ブロードネットワークス(当時)が有線放送契約を不当に安い料金で契約しないように求めて以来となります。
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