「架線のない路面電車」がリオデジャネイロで運行中です。え? 架線がない路面電車とはどういうこと……? あ、でもスマートな車体でカッコイイですね!
YouTubeのLuke Starkenburg氏チャンネルで、リオ市街地を軽やかに走る路面電車「VLT(ヴェー・エリ・テー/Veículo Leve sobre Trilhos)Carioca」の様子が見られます。
LVT Cariocaは、リオ五輪を機に2016年6月に開業した次世代型路面電車(LRT:Light Rail Transit)。新しい都市交通を担う最新鋭車両による明るい車内と、ホームと車両の段差が全くない構造、ICカードによる乗車方式などの最新技術を取り入れています。
周囲を見ると背景の空や街並みが実にすっきりきれい。もともと景観の美しい街ですが、景色を邪魔してしまう架線が一切ないこともかなり大きいでしょう。
電車は、文字通り電気でモーターを回して走る鉄道車両。大半はレールの上に架線を張り、屋根上のパンタグラフで電力を受け取って走ります。では架線のないリオの路面電車はどうやって走っているのでしょう……?
架線のない「第三軌条方式」もある。こちらは線路の脇に設けた3本目の給電用レール(画像赤丸)で電力を得る仕組み。ただこの方式は、線路内へみだりに立ち入ると感電の恐れがあって大変危険なため、日本では立ち入りが難しい地下鉄などに使用を限定している(画像:呼んでる渋沢)
リオの路面電車が採用したのは「地表集電方式」という方式です。電力をレールの間に施設したもう1本の給電用のレールから電力を受け取ります。
3本目のレールからというと「第三軌条方式」を想像するかもしれません。動画を見ると、人が給電用レールの上をスタスタと普通に横断しています。え、感電しないの……? 全く大丈夫なようです。地表集電方式は、電流が流れるのは車両が通過する瞬間のみ。普段はレールに触れても感電する心配はありません。
利点は「景観を損ねない」
架線レスによる最大の利点は「都市の景観を損なわない」ことです。歴史的建造物の多い都市でも景観破壊を回避しつつ、交通および観光の利便性を高める新しい交通システムを導入できます。
地表集電方式の路面電車はフランスでも運行しています(2003年開業)。また架線レスの新世代型路面電車には、地表集電方式の他に充電式もあります。車載したバッテリーとモーターで動く蓄電池電車のLRT「輕軌」が2018年に台湾・高雄で開業しました。バッテリーの電力で走り、駅に着くたびにパンタグラフを上げて充電する仕組み。なお、日本には残念ながら架線レスの路面電車/ライトレール路線はなく、具体化した計画も今のところないようです(2020年現在)。
LVT Cariocaは「最新鋭の姿でかっこいい」「街並みの風景がやはりきれいに見える」など、世界の鉄道ファンからの反応も上々。動画ではリオを走るこの他の個性豊かな鉄道も紹介されていました。ほぉぉ、日本では見られない強烈な車両、区間がたくさん……!! 思わずリオに行ってみたくなってしまいますね!
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親近感わいちゃいます。