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同人誌違法アップロードサイト「同人あんてな」を作家が訴えた裁判が決着 サイト運営者はVTuber「ゲーム部」にも関与

「ゲーム部」の炎上や、さらに過去には「マジカルストーン」問題でも話題になった“れそ”こと上西恒輔氏が関与していたことが明らかに。

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 同人誌違法アップロードサイト「同人あんてな」を同人誌作家が訴えた裁判が、2020年12月に決着していたことが分かりました。最終的には和解となり、十分な和解金を得ることができたとのこと。また裁判の中では、実質的なサイトの運営者として、“れそ”こと上西恒輔氏の関与も明らかになったといいます。


同人あんてな サイト「同人あんてな」(現在は閉鎖/画像加工は編集部によるもの)

 2019年にお伝えした「同人誌まとめサイト『同人あんてな』に同人作家が1000万円請求 香港企業装い運営か」の続報。原告は2018年、自身の作品がサイト「同人あんてな」に無断でアップロードされているのを発見し、著作権を侵害されたとして、サイトの運営者に対し1000万円の損害賠償を求める訴訟を起こしていました。なお、その後の調査でより直接的に運営に関わっていた人物を突き止めることができたため、このときの被告とは和解し、新たにその人物(れそ氏とはまた別の人物)を被告とする訴訟を起こしたそうです。

 裁判を担当したのは、電羊法律事務所の平野敬弁護士。平野弁護士によると、今回訴えたのは「同人あんてな」の“サイト更新を請け負っていた人物”で、さまざまな角度から調査を行ったところ被告の存在が浮上。さらに調査を続けたところ、被告の素性や運営実態なども明らかになったため、今回の裁判に踏み切ったとのことでした。なお、広告費は香港の複数の会社(恐らくペーパーカンパニー)に支払われる仕組みになっており、運営元を巧妙に隠そうとしていた形跡もみられたといいます。

 「同人あんてな」は、主にアダルト同人誌を中心に無断転載を繰り返していたサイトの一つ(現在は消滅)。Internet Archiveで調べると2014年には既に存在しており、主にサイトに掲載した広告費で利益を得ていたとみられます。サイトの実質的な“持ち主”は冒頭で触れたれそ(上西)氏で、被告はれそ氏から委託され、利益の一部を受け取る形でサイト更新を行っていました。

 ちなみにれそ氏といえば、元「ぷよぷよ」の有名プレイヤーで、2016年には「ぷよぷよ」のプロスポーツ化をうたった「マジカルストーン」というゲームをセガに無断でリリースし、大問題に発展したことも(関連記事)。また、最近ではパワハラ問題で炎上していたVTuber「ゲーム部プロジェクト」の運営に関与していたことも発覚し、ファンの間で物議をかもしていました(現在は運営から退任/KAI-YOUの記事)。他にも、前述の「マジカルストーン」炎上の中で、裏ではRMT(リアルマネートレード)サイトを運営していたことも発覚しており(関連記事)、ネットの炎上騒動に詳しい人の間では有名な“問題児”としても知られていました。




「マジカルストーン」PV

 最後に、原告と平野弁護士に今回の裁判を振り返ってもらいました。

平野弁護士:もしも自分の作品が転載されているのを見つけたら、まずはTwitterなどで騒いだりしないで、落ち着いて“URLと撮影時間が分かる形で”証拠を保全しておくことが大切です。少なくとも、サイトのスクリーンショットを“ブラウザのURL込みで”撮っておく。ブラウザの印刷機能を使って、ヘッダ・フッタをつけてPDFファイルとして出力するのもいいでしょう。一番いいのは、画面の横に電波時計を置いて、画面の外からカメラで撮影しておくことです。証拠を押さえる前に騒ぐと、相手側に証拠隠滅のチャンスを与えてしまうことになります。

原告:(海賊版サイトの現状について)僕らが訴えないと何も変わらないと思います。裁判=面倒というイメージがあるかもしれませんが、今回、僕は最初に平野弁護士にお願いしただけで、自分はほとんど動く必要がなかったというのはぜひお伝えしておきたいです。現状、海賊サイトに自分の作品を転載されても、ほとんどの人が何もできず、泣き寝入りしているというのが実情ですが、泥棒に遭ったら普通は警察を呼びますよね。この記事をきっかけに、もっと「自分も転載されてる」と声をあげる人が増えてくれればと思います。


同人あんてな

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