「ぷよぷよのeスポーツ化」をうたったクローンゲーム「マジカルストーン」めぐり物議 セガは「許諾の事実ない」

3月27日にリリースされた「Magical Stone(マジカルストーン)」というゲームに対し、ネット上では批判が集まっています。

» 2016年03月30日 22時59分 公開
[池谷勇人ねとらぼ]

 「ぷよぷよのeスポーツ化」をうたった、「Magical Stone(マジカルストーン)」というゲームが3月27日にリリースされ、物議をかもしています。「Magical Stone」側はねとらぼの取材に対し「(セガから)開発の容認を得たという認識」と回答していましたが、セガホールディングス側に問い合わたところ、「公式に許諾した事実はございません」とのことでした。




「ぷよぷよ」プレイヤーが開発した「eスポーツ版ぷよぷよ」

 「Magical Stone」は基本無料でプレイ可能なPC用パズルゲーム。ゲームの基本ルールや画面構成、操作方法などは「ぷよぷよ通」とほぼ同じで、オンライン対戦機能や、実力に応じたマッチングシステムなどを備えている点が特徴です。現在はβテスト中ですが、今後は一部機能を有料化し、収益の20%を賞金付き大会の原資にすることで、「ぷよぷよ」のeスポーツ化を目指していくとしています。


ぷよぷよvsMagic Stone

ぷよぷよvsMagic Stone

ぷよぷよvsMagic Stone

 開発したのは、「ぷよぷよ」プレイヤーの「れそ(上西恒輔)」氏を中心とするグループ。3月27日に行われたイベント「『ぷよぷよ通』統一王座戦」(Twitchのアーカイブ)の最後に、れそ氏から「Magical Stone」のリリースと、開発に至った経緯について発表がありました。


ぷよぷよvsMagic Stone 発表の様子はTwitchのアーカイブで見ることができます(3:46:44ごろから紹介PV、3:51:34ごろかられそ氏による発表 → 全文書き起こしはこちら

 れそ氏は以前から「ぷよぷよ」の競技性に着目し、どうにかして「ぷよぷよ」をeスポーツ化できないかと思案していたそう。しかしセガに企画を持ち込んだものの断られたたため、同じルールの別ゲームとして開発することを決意。セガ側にもその旨を伝え、「法のもとに許されている範囲でどうぞご自由にやられてみてください」と、事実上「容認」の言質をとったと説明していました。また開発にあたり、周囲の「ぷよぷよ」プレイヤー20〜30人にも相談したところ、全員がこの考えに賛同してくれたことも明かしています。(発表の全文書き起こしはこちら


画像 公式サイトには現役「ぷよぷよ」トッププレイヤーたちの写真も


ネット上では「クローンゲーム」と批判 運営元に疑惑も

 しかし発表後、インターネット上では「なんでそれをぷよぷよでやらないの?」「クローンゲーム作って功績だけ引き継ごうってクソ過ぎる」など、運営・開発側に批判が相次ぐ形に。仮にまったく同じルールのゲームを作ったとして著作権的に問題はないのか、「ぷよぷよのeスポーツ化」をうたっているが不正競争防止法には抵触しないのか――など、さまざまな議論を呼びました。



 発表後、これらの指摘について「Magical Stone」運営側にメールで質問したところ、回答は次のようなものでした。


2015年2月頃、株式会社SEGAの法人窓口を介して、

ぷよぷよ、ソニック、龍が如くなど権利関係の最終責任者である○○様と、踏み込んだお話をさせて頂きまして、

最終的に「開発の容認を得た」という認識であり、ライセンスは受けておりません。

尚、○○様の方には、リリース前にも4度に渡り、連絡させて頂いております。

ご指摘の通り、知財関連は非常にセンシティブな側面がございますので、

商標権などを侵害しないよう、特許庁の審査官補を務めていた顧問弁理士からアドバイスを受け、慎重に対応しております。

(※担当者名は編集部側の判断で伏せています)



 ただ、ゲームの「ルール」は著作権の保護対象とはならず、まったく同じルールのゲームを作っても著作権法上は問題ない――という見方が現在では一般的です。「Magical Stone」側の「容認を得た」という説明が事実だったとしても、セガ側もそれを理解しているからこそ「法のもとに許されている範囲でどうぞご自由にやられてみてください」と発言していた可能性が高く、これで果たして「容認の言質をとった」と言えるのかどうかは疑問が残ります。

 加えて今回、セガホールディングス側からあらためて「公式に許諾した事実はございません」とのコメントが発表されたことで、「Magical Stone」の正当性をめぐる議論はますます複雑になっていきそうです。

 また、一部では「Magical Stone」の開発運営会社であるGameFactory、および「れそ(上西恒輔)」氏について、別の社名でRMT(リアルマネートレード)サイトを運営したり、BOTプログラムを販売したりしているといった指摘も見られました。これについても「Magical Stone」側に問い合わせたところ、れそ氏本人より次のような回答を得ることができました。


はい。

事実ではありますが、世間で出回っているのは一部のアンチがあることないこと付け足した、

大分事実と捻じ曲がったものにはなりますが。

株式会社GameFactory

上西 恒輔




「ぷよぷよ」トッププレイヤーによる一斉蜂起か

 今回の件は、見方によっては、eスポーツ化にいつまでも腰を上げないセガに対し、「ぷよぷよ」のトッププレイヤーたちが一斉蜂起したとも見ることができます。実際、発表時の映像を見ると「よくやってくれた」「ぷよぷよをもっと活発にするなら支援する」といった声も見られ、批判も多い一方で、この動きを喜ぶプレイヤーがいるのもまた事実のようです。


画像 発表時のTwitch視聴者のコメント(一部)

 「Magical Stone」は3月27日よりオープンβ版が配信中、5月1日より正式サービスに移行予定。また6月25日には秋葉原e-sports SQUAREで第1回ワールドチャンピオンシップを開催するとしています。



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