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あぁついに……「奥出雲おろち号」引退決定 これからどうする、どうなる? 鉄オタ目線の「まだ間に合うおいしい楽しみ方」(1/2 ページ)

ついに決まってしまいました……。名物トロッコ列車の魅力を再確認し、鉄道ファン目線の「まだ間に合う楽しみ方」をお届けします。

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 西日本旅客鉄道(JR西日本)が、名物トロッコ列車「奥出雲おろち号」の次年度以降の運行計画を発表。2022年度と2023年度はそれぞれ4月から土日祝を中心に運行。そして……2023年度の運行を最後に引退することが決まってしまいました。

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車両の老朽化により、2023年度の運行を最後に引退が決まった「奥出雲おろち号」(JR西日本公式Webサイトより

 今回は、奥出雲おろち号の魅力を再確認し、ちょっと濃い鉄道ファン目線の要素も含めた「まだ間に合うおいしい楽しみ方」をお届けします。

山陰地方屈指の秘境路線を走る「景色と風が心地いい」トロッコ列車

 奥出雲おろち号は、1998年に登場した木次(きすき)線名物のトロッコ列車です(関連記事)。定員は64人、年間運転日は約150日(2021年度から約130日)、年間利用者は約1万4000人。毎年4月〜11月の土日祝日に運行します。

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奥出雲おろち号トロッコ客車の車内。窓はなく、涼しい風が吹き抜ける(写真:杉山淳一)

 奥出雲おろち号が走る木次線は、島根県の宍道駅と広島県の備後落合駅を結ぶ路線です。中国山地を越える山岳路線で、県境を越える木次駅と備後落合駅の列車本数は1日3往復。かなりの「秘境路線」です。

 途中の出雲坂根駅にはJR西日本唯一の「スイッチバック(関連記事)があります。スイッチバックは線路の進行方向を変えながら勾配を上っていく、主に山岳区間の路線で見られるものです。JR西日本では唯一ここにだけにあります。

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木次線の主力車両「キハ120形」。普段は海沿いを走る塗装の車両が山越えに挑むことがある(写真:呼んでる渋沢)

貴重な「12系」 「プッシュプル運転」も見逃せない

 奥出雲おろち号は、ディーゼル機関車1両とオープンエアのトロッコ客車、雨天時の控車による3両編成で走ります。

 機関車はDE10型あるいはDE15型、トロッコ客車と控車は12系を使います。これらは全て国鉄時代に製造された古い車両。山陰地方では「唯一の客車列車」です。

 もちろん人気があるのはトロッコ客車ですが、雨天時用の「控車である12系」にも注目です。

 こちらは、かつて大阪駅と出雲市駅で運行していた夜行急行「だいせん」で使われました。車内は夜行列車時代に交換された簡易リクライニングシートを設置しています。座席は変わったものの、12系の原型がまだ残っている貴重な車両なのです。

 「特殊な運転方式」も要チェックです。

 備後落合駅に向かう奥出雲おろち号は、機関車が客車を後ろから押す「プッシュプル方式」で運転します。ヨーロッパでは「ペンデルツーク」と呼ばれるこの方式は、日本ではここと、大井川鐵道井川線(関連記事)、嵯峨野観光鉄道、JR北海道のノロッコ号でのみ体験できます。

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(参考)プッシュプル方式で走る大井川鐵道井川線。ディーゼル機関車と電気機関車が「後ろ」から客車を押して坂を登っていく(写真:呼んでる渋沢)

出雲市駅延長運転で「客車急行」のレトロな追体験も

 奥出雲おろち号の基本運行区間は木次線の木次駅〜備後落合駅ですが、日曜日と祝日には出雲市駅→木次駅間の延長運転も行います。出雲市駅発の片道のみです。

 この延長運転区間では「出雲市駅から宍道駅まで山陰本線」を走ります。そう、前述した「急行だいせんと同じルート」をたどるのです。トロッコ車両のオープンエアな解放感を楽しむだけでなく、控車に乗れば「かつての客車急行列車のレトロな追体験」も堪能できるというわけです。

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全国でも残り20両をきったという貴重な客車「12系」(写真:呼んでる渋沢)


 ついに引退までのカウントダウンがはじまってしまった奥出雲おろち号。でも最終運行日はまだまだ先です。乗車するチャンスを逃さないようにしたいですね。



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