6月1日(現地時間)、米俳優ジョニー・デップが元妻で米俳優のアンバー・ハードとの名誉毀損(きそん)裁判でほぼ全面的に勝訴しました。この裁判はアンバーが2018年に米Washington Post紙へ寄稿した文章が名誉毀損にあたるとして5000万ドル(約65億円)の損害賠償を求めていたもので、陪審員はジョニーの主張を認めアンバーへ1500万ドル(約19億5000万円)の支払いを命じました。
一方、アンバー側もジョニーの弁護士によるDVはなかったとする発言が名誉毀損であるとして訴えており、そちらの主張も認められジョニーからアンバーへ200万ドル(約2億6000万円)の支払いが命じられています。
2015年に結婚し翌年離婚した2人は、その後アンバーがジョニーからのDVを受けていたと訴え、あざになった顔写真などの証拠が提出されました。ジョニー側はDVを否定し、むしろアンバーから暴力を受けたなどと主張。また、英ロンドンの高等法院で英The Sun紙の発行元を相手取り名誉毀損を訴えた裁判では、記事内容が「おおむね真実」と訴訟が却下されていました(関連記事)。
評決後の長い声明を、ジョニーは自身のInstagramにも投稿。6年前に自分や子どもたち、支援者らの人生が「がらりとかわってしまった」とし、6年後の今日「陪審員は私に人生を取り戻してくれた」と感慨深い思いを述べました。また、この裁判自体の法的な難しさや、裁判をすることで自身の人生が「世界的な見せ物になる」ことを予想し、考えつくした末の決断だったとのこと。
しかし結果にかかわらず、裁判の目的は「真実を明らかにすること」だったと明かし、それは「私の子どもたちや、変わらず私を支え続けてくれた人たち」のためやるべきことだったとしています。そして「ようやく新しい章が始まった」とこれが終わりではないことを示唆しつつ、「Veritas numquam perit」とラテン語で「真実は決して滅びない」の言葉で結びました。
ジョニーがアンバーからDVで訴えられた直後、元パートナーである仏俳優で歌手のヴァネッサ・パラディは、自身との14年間にわたるパートナーシップでジョニーが「一度も私を肉体的に傷つけたことはない」とコメント。娘のリリー・ローズ・デップも「私と弟にとって彼はただ素晴らしい父親であるだけ」と擁護していました(関連記事)。
また、今回の裁判では元交際相手であった英モデルのケイト・モスが証言台に立ち、自身はジョニーから肉体的な暴力を受けたことはないと証言。アンバーが証言台で口にした、過去に「ケイトがジョニーに階段から突き落とされた」といううわさもデマであると否定しました(関連記事)。
両者ともに名誉毀損の訴えを認められたものの、内容的には敗訴となるアンバーも、声明をSNSで公開しています。「今日の失望は言葉では言い表せない」と自身の率直な落胆を述べつつ、この評決が女性が発言することを軽視された「時代への後退」であるとアンバー。さらに、評決にはジョニーの権力が強く影響しているとも主張しています。
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