バイクの取り回しが重くて苦手……お店やサービスエリアの駐車場で苦労している人もよく見かけます。「大丈夫、コツがあります」と、大きく重いバイクも楽々取り回せる「通称:ディーラー押し」のコツをハーレー専門店が解説してくれました。
使用するのは、バイクの中でも大きなハーレーダビッドソン、その中でも大きく重い車種「FLHTK ウルトラリミテッド」(関連記事)。車重は約413キロもあります。
取り扱うのは体重55キロのスタッフさん。「正直、取り回しがきついサイズのバイクです。でも、コツとポイントを押さえれば何てことはありません」。
ポイント1つ目は「バイクを傾けない」。とにかくバイクを垂直に立てて、寝かさない/左右に傾けないようにします。
“重い”のは、バイクが傾くことで重さがずしっと掛かってくるからです。反対側へ倒れてしまうのが怖いので車体を身体の方へ少し傾けておく人は多いですが、重量400キロのハーレーはおろか、400ccクラスの重量200キロほどの車体となると、傾けば傾くほど人力では支えきれなくなってきます。垂直ならばその重さは掛かりません。
「垂直状態を保てば“片手で支えられる”くらい、うまくバランスを取れば指1本でも垂直のままバイクの自立を保てます。これを意識しながら動かします」。
ポイント2つ目は「ハンドルをしっかりと保持し、体重を掛けて押す」。腕の力だけでは重いバイクは動きません。車体から少し離れることで、全身でグッと力を込めやすい体制で押せるようになります。
「身体を離すというより、足をハンドルから遠くにするイメージです。身体を車体に近づけておけば倒れにくく感じますが、上手に押せません。慣れるまでは怖いかもしれませんが、力を込めやすい姿勢を見つけると驚くほど軽く車体を押せることに気が付くと思います」。
倒れるのが心配ならば、身体の腰や胸付近を車体のタンクやシートあたりに当てておきつつ、ちょっと低く構えて一歩車体から離れて押すようにすると力を込めやすくなるとも言われます。
ポイント3つ目は「進行方向に身体を向けて押す」。前進時は当たり前ですが、後退時もそうです。後退時も、ポイント1つ目である車体を垂直にしてバランスを保ったまま、身体ごと足ごと進行方向へ向いて「押し」ます。左手はハンドルを保持し、右手をシートやフレームに当てて「車体を押す」イメージです。曲がりながら押すならば、「最初からハンドルを切っておく」のもポイントです。「曲がりながらハンドルを切るのはバランスを崩しやすいです」。
前を向いたままハンドルで「引く」のは、力を掛けにくいので自身の体力を超えた重さの車体になると動きません。また、後方ノールックでは周囲の危険に気付けません。見えない足元の石などにつまずいたら一気にバイクごと転倒してしまうかもしれません。前向きで引くのではなく、「進行方向を向いて押す」のがポイントです。
動画には「とてもわかりやすいです」「大型バイクに乗っているので、役に立ちました」「ビビらず実践してみます」などのコメントが多数。「入社したばかりのときはコツが分からず、比較的軽いスポーツスター系も前へ押すことさえできませんでした」とスタッフさん。日々何台もの重いバイクを楽々取り回すコツは、そのまま一般ライダーにも当てはまります。駐車場からの脱出だけでなく、同じく苦手意識を持っている人が多いUターンの押し歩きのときも役立ちそうですね。
(カナブンさん)
おすすめ記事
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.