近年、動物の虐待や飼育放棄、悪質な業者による繁殖・販売、不適切な飼養が社会問題となっています。個人や団体、地域が行き場をなくした動物たちを守るため、日々保護活動に取り組む一方で、動物たちが命を失う悲劇は後を絶ちません。
昨今、COVID-19(新型コロナウイルス感染症/以下、コロナ)の影響でペットを飼う人が増加。一般社団法人ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査によると、2021年の新規飼育者は犬がわずかに減少しているものの猫は昨年より多く、ともにコロナ前より増加している結果となっています。
そんなペットブームの裏には、多頭飼育崩壊や飼育放棄などの問題が潜んでいます。家族の一員としてかわいがられるペットたちが多くいる一方、飼育放棄されたたくさんの犬猫たちが愛情を求め、里親を探しているのです。
そこで、ねとらぼ生物部では保護動物と暮らす読者にアンケートを実施。寄せられた数々のエピソードと写真を紹介するとともに、尊ぶべき命の輝きや、愛する家族との暮らしの喜びを伝えていきます。
第30回は飼い主・ミナクサシードさんと暮らす保護猫「ハナ」ちゃん(現在の年齢:10歳)。運命の出会いを思わせる子猫との出会い、10年後の姿を紹介します。
―― ハナちゃんとの出会いと、保護当時の状況を教えてください
ミナクサシードさん:2013年7月、梅雨があけてすぐのことでした。とても暑い昼間、日頃は乗らない自転車で、日頃は通らない歩道を通ったときに、草むらから“何か弱々しい赤ん坊の声”が聞こえた気がしたため、戻って見てみました。
そこにはふたの閉じられた段ボール箱があり、開けてみると片手で収まるくらいの子猫が……。子猫は目もちゃんと開いておらず、あまり動かない状態で、迷う暇もなくそのまま片手に子猫を持ち、家の近くに最近できた動物病院へ駆け込みました。本当のところはこの日、私は人生で一番つらいことを決めないといけなかった日で、子猫どころではない心情でした。
動物病院で診てもらった結果、子猫は女の子で生まれて2週間くらいで、もう少し見つけるのが遅れていたら脱水症状で危険だったことが判明。獣医師にたまたま道で発見し連れてきた事情を説明したら、「今回は診察料はいいです、もし飼い猫になったら次回はいただきます。保護してくれてありがとう」と言っていただきました。
家族に相談しないまま家へ連れて帰りました。最初に子猫と対面したのは学校から帰宅した小学生の息子、次に仕事帰りの妻です。二人ともにすぐ子猫にメロメロで、それはもう神様が遣わした天使のような存在でした。
―― ハナちゃんの現在の様子を教えてください
ミナクサシードさん:名前は妻が「ハナ」と命名。わが家はその後、つらいことが続きましたが、ハナが家族に笑顔を運んでくれました。今はハナを含む3匹の保護猫たちと暮らしていますが、中でもハナはお嬢様気質で、自身がやっているお店の看板娘としてかわいがられています。
特にお店に用事がなくても人が「癒やし」を求めて来てくれたり、ハナのおかげで商売につながったりで、「看板招き猫」として活躍中です。ちなみにハナは、FIFAワールドカップのときに日本の勝利を続けて的中! 「勝利の女神」としても君臨しています。
―― 最後に、保護動物に対する思いを聞かせてください
ミナクサシードさん:多頭飼いの崩壊、動物に向けての暴力、アクセサリー感覚で衝動買い、SNSアップのためだけに飼い、飽きたらポイ捨て……。日本の法律はもっと、欧米のように厳しくするべきだし、何よりも「物」ではなく「生き物」として扱っていくべきだと思います。
ここ数年でちょっとは前進したかもしれないけど、まだまだ遅れているように感じます。まずは生体の販売を厳しく制限するべきなのに、そこがダダ漏れの状態ではないでしょうか。動物に全く興味のない人たちも多いですが、“命は人間の物だけではない”という子どものころからの教育が重要だと思います。
(了)
神様からの贈り物だったのかもしれないと信じたくなるような、すてきな出会いですね。きっとハナちゃんも、つらいときに迷わず救ってくれたミナクサシードさんとの出会いに感謝しているはずです。
看板招き猫、そして勝利の女神としての一面も見せるハナちゃん。これからもミナクサシードさん一家とともに、たくさんの笑顔を見つけていってくださいね!
ねとらぼ生物部では、引き続き「保護動物のエピソード&お写真」を募集しています! 犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。
愛する家族との出会いのエピソードや、クスッと笑ってしまうかわいいお写真など、お気軽に【こちら】までお寄せください。皆さまからのご応募、お待ちしています。
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