「ナゾ解明!」のカタルシスは、寝るのも忘れるほどの快感に「レイトン教授と不思議な町」レビュー(5/5 ページ)

» 2007年03月02日 15時07分 公開
[桜山憂太,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5       

「変化」――同じ場所でも時間による変化、人物による変化が起こる。そしてWi-Fiで新たなナゾが

 やはり、当初の予想通り、本作の手応えはなかなかのものだった。わたしたちのプレイは物語を進めるのに重点を置くのではなく、ゲームとして隅々まで遊ぼうと言う気概で進めていた。そのせいか、見つけられず発動できなかったナゾを扱ってくれる「ナゾーバの館」には、最後までお世話にならずに済んでしまった。隠されたナゾや住人が持っていたナゾなども、日にちが変わったり物語が進んでしまうと、もう遊べなくなってしまうものもある。そんな時にナゾーバの館に行けば、見つけられなかったナゾがそこに集まっているというわけだ。

「結局、ナゾーバの館にいつ行っても、ナゾがありませんでしね」

「それだけ、わたしたちがゲームを隅々まで遊んでいるという証拠じゃないか」

 そして、本作では物語が進むと夜が訪れたり、行ける場所が増えたりと、行動範囲が変わる。その都度、画面上で様々な場所をタッチしてみよう。新たにヒントメダルが発見できたり、新しいナゾが見つかったりする。また、住人に一度話し掛けてナゾが出題されたあとも、もう一度話し掛けてみよう。中には続けて何問も出題してくる住人もいるからだ。

「ま、攻略の基本と言ったところかな」

「同じ場所にいた住人でも、物語が進むと突然ナゾを出しくる人もいますしね。結構侮れないですよ」

「とにかく、骨までしゃぶり尽くしたい人は、いろいろ動き回って、調べたり話し掛けたりしてみるといい」

「遊び方は人ぞれぞれですけどね。でも、どうせ遊ぶなら、より多くの要素をプレイしたいのが人情ってものですよ」

 そう、ミシカ君の言う通り、本作に詰まっている要素は意外に多い。最後までプレイをしたとしても、そのあとにもいろいろあったりするので。エンディングを見たからと言って、レイトン教授の全てを遊んだ事にならないのだ。そのあとに、本当のナゾが待っていると言っても過言ではない。

ナゾーバの館では、もう見つけられないナゾを画面のように集めておいてくれるのだ(左)。これで、逃したナゾも、安心して解明できるぞ。そして、物語を進めて行くと、町には夜が訪れる(中)。夜になると昼にはいなかった場所に、新たな住人が出てきたりもするので、いろいろ移動してみるのがいいだろう。ナゾを解くためには、行動するのも重要なポイントだ

 そして、本作品は「頭の体操」シリーズでもお馴染みの多湖輝(たごあきら)氏監修の元、ナゾが100問以上収められている。しかし、ソフトに入っているものだけが、すべてのナゾというわけではないのだ。

「先生、それってどういう事なんですか?」

「ミシカ君は、Wi-Fiと言うものを知っているかね? そのWi-Fiを使用してネットワークに繋げれば、毎週新しいナゾをダウンロードできるんだよ」

「それって、無料なんですか?」

「もちろん、レイトン教授のソフトと、ネットワークの環境が必要だがね。ナゾを落とすこと自体は無料だよ」

「でも、新しいナゾが貰えるって言っても、たいした数じゃぁ……」

「いや、今のところの予定では、1年間毎週新しいナゾを配信するとアナウンスしているのさ」

「1年間って太っ腹ですねぇ」

 そう、毎週毎週新しいナゾを落とせば、最初から入っていたナゾと合わせて、200問近い数になるだろう。これだけの数のナゾを、果たしてキミはすべて解くことができるのか?

新しく配信されたナゾの一部を公開。このように、ソフトには入っていなかった新しいナゾが、随時配信されて行く予定だ

「愉悦」――ナゾ解明! でアドレナリンを出しまくれ!!

 これで、「ナゾトキ・ファンタジーアドベンチャー」と銘打たれた本作の概要は、わかっていただけたと思う。とにかくナゾに対して頭をひねるという行為が繰り返されるわけだが、「ナゾ解明!」と正解だった時のカタルシスは何物にも変え難いと言えるだろう。

 また、前述した通りレベルファイブの作品らしく、やり込み要素がとても多い。そのため、物語本編だけでなく、寄り道してしまい先に進めたくないなんて時もしばしばあるぐらいだ。おかげで、わたしなんかも止め時が見つからず、毎日毎日夜遅くまでプレイしてしまう始末。解けないナゾがあればモヤモヤし、ヒントを使うかどうするか悩み、あっけなくナゾが解けた時は、喜び勇んで次のナゾへと向かって行く。これほど、のめり込めるようにできているのは、さすがレベルファイブと言ったところ(いや、多湖教授のおかげでもある)。

 なんにせよ、他の脳トレーニングゲームとは一線を画しており、純粋に頭を悩ませている自分が客観的によくわかるものだ。物語に出てくる住人たちも、全員に名前が付けられており、それぞれに性格もある。ファンタジーらしい絵柄、特徴のある住人たち、美麗なアニメーションと、世代を問わず幅広く楽しめる作品と言えるだろう。実際“中の人”の子供たちも、一緒になってプレイしていたほどだ。ただし、ナゾはほとんど理解できてはいなかったが(笑)。

 セーブもどこでもできるので「ちょっと一問だけ解こう」なんて遊び方もできるし、ナゾ辞典を見れば過去の問題も遊べたりもする。まさに至れり尽くせりのソフトではないだろうか? ただ、あえて苦言を呈するならば、本当に本当に残念だったのが、一部の不具合。詳細は公式HPを見てもらうとして、回避策があるとしてもこれほど単純なものが残っていたのは、悲しい限りだ。これを糧に改めてレベルファイブには、より良い作品を手掛けて欲しいと願うばかりだ。

「さて、本編を遊びきったところで、言いたい事は言わせてもらった感じだが」

「結局、一気に遊んじゃいましたねぇ。編集者さんの挑発的な言葉も忘れるぐらいに(笑)」

「ま、本編のナゾも隠し要素もすべてやり切ったわたしにすれば、彼の依頼には十二分に応えられたんじゃないかと思うがね」

「さすがに、文句は言われないと思いますよ。ユウタン先生に掛かれば、どんな物でも、ナゾ解明! って」

「ただ、これで終わりではないんだよ、ミシカ君」

「えぇぇぇ! まだ何か残ってるんですか? 確かに、週間ナゾ通信は、まだまだ残ってますけど…」

「そうじゃないよ。この『レイトン教授』作品は、全三部ですでに次回作が決まっているのさ。その名も『レイトン教授と悪魔の箱』というタイトルだよ」

「う〜ん、悪魔なんて、なんか怖そうな感じですね……」

「そうだね、ストーリーも不思議な町とは一線を画す感じで、ミステリアスホラーのようだ。しかも、長距離鉄道が舞台らしいから、彼らのさらなる活躍も期待だ」

「と、言う事は、次作の『レイトン教授と悪魔の箱』でも、またわたしたちの出番が?」

「そうなると良いね。でも、それは編集者次第か……。そのナゾは取っておくことにしよう」

ナゾ解明! ピカラットの高い問題が、一瞬の閃きで解けた時ほどの快感はたまらない。まさに愉悦の瞬間であり、間違いなくアドレナリンが分泌されている。この感情を得たいがために、ゲームを止められない毎日が続くのだ。次作「レイトン教授と悪魔の箱」が待ち遠しい……
「レイトン教授と不思議な町」
対応機種ニンテンドーDS
メーカーレベルファイブ
ジャンルナゾトキ・ファンタジーアドベンチャー
発売日2007年2月15日
価格4800円(税込)
プレイ人数1人
仕様ニンテンドーWi-Fiコネクション対応
CERO全年齢対象
(C)2007 LEVEL-5 Inc.


前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/19/news005.jpg 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  2. /nl/articles/2405/18/news066.jpg 「なぜ今になって……」 TikTokで“15年前”の曲が大流行 すでに解散の人気バンド…… ファン驚き 「戸惑いが隠せない」
  3. /nl/articles/2405/18/news004.jpg 「現場を知らなすぎ」 政府広報が投稿「令和の給食」写真に批判続出…… 識者が指摘した“学校給食の問題点”
  4. /nl/articles/2405/19/news014.jpg ソファに座る息子を見ると……→“まさかのもの”を食べる姿が585万表示 ママ絶叫の光景に「あああ!!」「バイタリティがすごい」
  5. /nl/articles/2405/19/news058.jpg 本田真凜、ショートパンツのスウェット姿に注目の声 「かわいいー!」「スタイルよすぎる」
  6. /nl/articles/2405/16/news066.jpg 伝説のスポーツカーが朽ちている……!? ある田舎の風景を描いた精巧なジオラマに「リアルすぎる」「ホンモノかと」驚きの声
  7. /nl/articles/2405/19/news036.jpg 「ウンコ食い」という毒魚に刺され“骨に激痛”→その40時間後…… ゾッとする経過報告に「えげつない」「何かの病気になりそう」
  8. /nl/articles/2405/19/news019.jpg 車両置き場から何かの鳴き声→探しても見つからずフォークリフトの中をのぞいたら…… まさかの正体に「困ったもんだ(笑)」「ここはマズイ」
  9. /nl/articles/2405/21/news018.jpg 側溝の泥に埋もれて瀕死の子猫→救助されて1年後…… 涙あふれるビフォーアフターに「良かった……良かったです」「奇跡ってある」と182万表示
  10. /nl/articles/2405/18/news068.jpg 『HUNTER×HUNTER』の冨樫義博がXで怒り 立て続く“誤配”で「三度目です」「次はもう知らん」
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評