ショパンがいまわの際に見た夢とは?――実在した音楽家をモチーフにした異色のRPG:「トラスティベル 〜ショパンの夢〜」レビュー(1/2 ページ)
ロマン派を代表する音楽家で、特にピアノ曲で数多くの傑作を遺したショパン。39歳という若さでこの世を去った天才作曲家は、その命が絶えるとき、いったいどんな夢を見ていたのか。バンダイナムコゲームスが放つ新作RPG「トラスティベル」は、その着想の奇抜さとXbox 360ならではの美しいグラフィックに舌を巻く。
題材や世界観にオリジナリティを感じさせる期待作
ちょうどいまから1年前、「トラスティベル 〜ショパンの夢〜」の制作が公表されたときには、ずいぶんと変わったところに目をつけたなあ、と思った。著名な作曲家であるショパンをモチーフにしていることや、彼が亡くなる3時間前に見た夢というシチュエーションには、大いに心がひかれ、これまでにないRPG作品の登場を予感させた。
1810年にポーランドで生まれたショパンは、ロマン派を代表する音楽家の1人。早くから卓越した作曲能力を開花させ、「別れの曲」や「幻想即興曲」など、現在でも広く親しまれている名曲を数多く書いた。ほかの作曲家の多くは、交響曲、管弦楽、歌曲など、さまざまなジャンルの楽曲を手がけているのに対し、ショパンはピアノ曲の数が群を抜いて多いという点で特異な存在だ。ピアノ協奏曲も書いているが、それもわずか2曲だけで、作品の大部分はピアノ曲の小品で占められている。その作風は、甘やかで繊細、抒情的、そしてメランコリック。その一方で、故国ポーランドの民族舞曲をベースにしたマズルカやポロネーズも多く作曲しており、「英雄ポロネーズ」のような勇壮で力強い楽曲を書くという一面もある。作曲家として、またピアニストとしても早くから名声を得ていたショパンだが、結核に長く苦しみ、1849年、39歳という若さで亡くなっている。
短い生涯の間にショパンが書いた楽曲の数々は、映画やテレビ、CMなど、現在でもいたるところで使われているので、誰もが一度は耳にしているはず。たとえ「ショパンの曲といわれてもひとつも思い出せない」という方でも、この言葉を出せばメロディが頭に浮かぶだろう。とある胃薬のCMで昔から変わらず使われているピアノ曲は、実はショパンが作曲した「24の前奏曲 第7番 イ長調」という曲だ。なんでも、“胃腸”薬と“イ長”調を掛けてこの曲が選ばれた、という話も……。本当かどうかは分からないが、実際、ショパンの楽曲でイ長調の曲は数えるほどしかないことを考えると、あながち冗談とも言い切れないような気がする。
この「トラスティベル」では、ショパンという実在した音楽家を題材にしつつも、彼が最期に見た夢の世界というフィクションになっているが、これをRPGに仕立てるという着想がおもしろい。その夢の中は、おとぎ話のように幻想的でありながら、人々が独立した自我や感情を持ちながら生きているという、虚構と現実がない交ぜになったような不思議な世界として描かれる。
物語は、ショパンの夢の中に生きる少女“ポルカ”が、「一番大切な人のため」という言葉を口にしながら、断崖から身を投げるというショッキングな場面から幕が開く。続いて、幼少期のポルカとその母親が、美しい花畑で話をしている様子が回想のように描かれる。ここで母親は、幼い子供にはおよそ似付かわしくない難解な話を始める。さらに場面が転換し、舞台は1849年10月16日深夜のパリに移る。そこには、病床に伏せるショパンと、彼を見守る医師や身内(うちひとりは、おそらく姉のルドヴィカだと思われる)がいる。時間軸を前後させたり、夢と現実とを交錯させながら進む導入部に、見ているプレイヤーはすっかり惑わされてしまう。
夢の中の世界設定で興味深いのは、不治の病に冒され、余命短い者は魔法が使えるということ。ポルカもその1人で、また現実世界で死を迎えようとしているショパンもそう。また、ショパン自身が「これは自分の夢だ」とおそろしく冷静に受け止めていることもやるせない。しかし、夢の中でポルカたちと接するうち、その考えが揺らぎ始める。
控えめな色遣いと繊細な線で描かれたグラフィックが見事
ゲームを始めて、まず感心させられたのが、ため息の出るような映像の美しさ。単にHD出力で精細感が高いというだけでなく、繊細なタッチと淡い色彩を巧みに用いていて、どこを見ても優美さが感じられる。中でも、序盤に訪れることになるリタルダントという港町の美しさは格別で、ファンタジックな魅力にあふれている。柔らかな光の表現や、被写界深度を浅めにして奥行き感を出すなど、空間表現も凝っている。
キャラクターのデザインも魅力的に映る。トゥーンシェードでアニメチックに描かれていながら、平面的になりすぎず、デフォルメも極端すぎず、とバランスよく作り上げられているところに好感を覚える。
また、ショパンを題材にしているだけあって、ショパンの有名な楽曲が使われていることも、このゲームの大きな注目点。しかも、あのスタニスラフ・ブーニンが弾いているというから、大した力の入れようだ。ブーニンといえば、ポーランドで5年に一度開催されるショパン国際ピアノコンクールの第11回(1985年)で、弱冠19歳という若さで優勝したという経歴の持ち主。これをきっかけに、とりわけ日本で絶大な人気を集め、当時の熱狂ぶりは「ブーニン現象」とまで呼ばれた。その彼が、今回の「トラスティベル」のために全て新録音でショパンの曲を弾いているのだから、話題性十分だ。
「トラスティベル」で個人的に一番注目していたのは、ショパンのどの曲がどんな場面に使われるのか、という点にあったが、これが想像とは大きく違っていた。ショパンの曲はイベントシーンなどのバックで流れるのではなくて、各章の途中に鑑賞コーナーのような形で挿入される。ショパンの曲がかかるときは、画面が絵画風の静止画になり、ショパンの生い立ちやその楽曲が書かれた背景などの解説が字幕で表示される。
これは本当にもったいない……。ブーニンの演奏をじっくり聴かせたいという思いからか、あるいはゲーム中に使うことで曲が分断されたり、声優のボイスと被さることが忍びなかったのか。発売前に公開された予告編映像では、ポルカが崖から飛び降りるシーンに「別れの曲」が効果的に使われていて、大変感銘を受けた。ゲーム本編でも、“ブーニンが弾くショパンの名曲が重要なシーンで流れる”という贅沢な使い方を期待していただけに、至極残念だ。収録されているショパンの楽曲も、想像していたよりは数が少ない。
ただ、ブーニンのピアノ演奏は、楽曲に対するひたむきな解釈が強く表れていて、聴き応えがある。楽曲にもよるが、遅いテンポで弾いているため演奏時間が長めになるのが特徴的。ほかのピアニストのCDと聴き比べたとき、ブーニンの方が1分以上長くなる曲もある。遅いといってもしまりのない演奏では決してなく、速いところはものすごく速く弾くなど、緩急と抑揚を恣意的につけながらドラマチックに聴かせる。音の粒がきれいに揃ったトレモロは、本当に美しくて感動的だ。
また、5.1chサラウンドによる効果音の演出もなかなか凝っている。フィールド上ではわざとらしくない程度に環境音が鳴っているが、後述するバトルシーンになると仲間の声が真横から聞こえてきたり、必殺技を発動した際の効果音が部屋中を飛び交うように聞こえたりと、かなり派手な音響効果が楽しめる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 同情せざるを得ない衝撃の光景に「私でも笑ってしまう」「こんなん見たら仕事できない」
-
【今日の計算】「2+7×9−3」を計算せよ
-
80代一人暮らし女性の“その都度が大事”なキッチンお掃除術 毎日少しずつ……の習慣に「尊敬しかない」「すごくやる気をもらえます」と称賛の声
-
IKEAの新作カーテンが「家中これにしたい」ほどすてき!→どうやって付けているの? 垢抜けインテリア術に視線集中「すっごいかわいい」「色味が最高」
-
犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
-
なんでそうなった? のこのしまアイランドパーク園内看板の名称が「俺は間に合わなかったがトイレはあっちだ君」に決定
-
「笑い止まんないw」 少女漫画風の顔をメイクで再現したら……? 衝撃の“おもしれー女”が爆誕 「笑うと怖!!」
-
業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
-
【今日の難読漢字】「鱸」←何と読む?
-
“スケスケ成人式コーデ”が物議のモデル、「3度見される服」を披露 「コレは見ちゃうわ」「洗っても大丈夫なのか」の声
- 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
- 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
- しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
- 天井裏から変な音がする→スマホを突っ込んで撮影したら…… 映った“とんでもねぇ”モノに「恐ろしい」「何これ」と騒然の196万表示!
- 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
- 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
- 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
- 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
- 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
- スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
- 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
- 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
- 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
- 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
- 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
- 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
- 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
- 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
- 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
- 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評